簡単なことです、
本人が貰って嬉しいものを差し上げればよろしいのですわよ!
出来うる最大のお返しを
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Io gle mi do
「…なに、それ?」
開口一番、彼はそれだった。
無理もない
ワタシが持っているのはプレゼントとかではなく、会うには必要のない荷物たち。
察せたら逆に凄いというものだ。
「何って、お泊まりセットとでも言えばいいんでしょうカ?」
「……え…?」
聞いてもない、想像もしていないと顔に書いてある。
わかりやすいほど驚いている彼に、ワタシは密かに満足だ。
「ワタシね、何をアナタにあげたらいいか凄く悩みまして」
話す主旨がわからないのか、彼は不思議そうに首を傾げた。
「ちょっとね、某お方に相談してみたんですよ」
異性に相談もどうかと思ったのだけど、友人に会うには些か難があったので無理だった。
「そうしたら、アナタが欲しいと思うものを差し上げろと言われました」
静かに聞いていた彼はそこで気付いたらしく、
頬が段々赤く染まっていく。
恥ずかしいですよネェ
全く、お嬢様のロマン好きは今日にまで及ぶのですから賞賛ものです。
普通はバレンタイン側がやる手段です、これは。
「アナタが欲しいのは、ワタシとの時間ですよね?」
「………っ///」
言えば、否定の出来ない彼は返す言葉に詰まって恥ずかしそうに俯いた。
かわいい反応だ。
荷物を置き去りに、彼に歩み寄る。
下を向いたまま上目遣いにワタシを見る彼を、腕の中に閉じ込めた。
密接した体から、脈動の加速した音が伝わってくる。
「今日のワタシはアナタのものですよ、ヴィンセント」
(ブレイク様、お部屋はどう致しますか)
(ああ、ここでいいですヨ)
(畏まりました)
(おやどうしましたヴィンセント、照れちゃって)
2010.03.14