次富転生パラレル。作が女の子です。













…俺には、幼なじみがいる。


いつも俺の手を引いて、いつも眉間に皺を寄せていて、いつも悪態づいて、



そして、


いつも、一緒にいてくれる。



いつの間にか、
狂おしいくらいに、俺は君のことを、




いや、違う


もっと、ずっと前から、俺は…




―――――――

一歩前には、いつもその姿が。
昔から変わらず、そこにある。


「作」
「何だよ」
「ちょっと呼んでみただけ」
「はぁ!?」
今日も、君は俺の手を引く。
たかだか学校から帰るだけだというのに、君は相変わらず俺の手を引く。
中学三年生ともなれば、男女の間には、肉体的な差も随分現れる。
現にこうして見比べるだけでも、身長や肩幅なんて、昔に比べれば大分差が出たものだ。
加えて、声の低さも。
周囲から見れば、この光景は微笑ましいものに見えるのだろうか。
歳も歳なので、「恥ずかしいだろ」と言えば、瞬時に眉間に皺を寄せて、

「手を離したらまたすぐどっかいくだろーが!少しは自覚しやがれ!」

と、怒鳴られる始末。
結局、俺はされるがまま、手を引かれ続ける。
自分では別に何処かに行ってしまうという自覚はないので、彼女をはじめ周囲の人間が何故そこまで言うのか、正直なところ理解し難い。(よく歩く道でも、何故か気づくと隣町にいるということはあるが、単なる偶然だろう)
歩き慣れたこの通学路も、ほとんど一人で歩いた記憶がなかった。
いつも、この手に引かれている。


もっとも、引かれているのは、手だけではないのだが。


(なあ、作)
触れた先から、伝わる体温。
きっと、彼女は特に意識もせずに、ただ自分に課せられた義務と認識しているだけかもしれないが。
(お前は、感じるか?)
物心つく頃から、いや、

もっと、ずっと前から、

お前に触れるだけで、

心臓が、破裂しそうなほど高鳴るんだ。

それはもう、狂おしいほどに。


「…熱でもあるのか?」
「え…何で?」
「顔が赤いし、手も汗ばんでるぞ」
すかさず、握られていた手が伸びてくる。
(あ、)
額に手をあてられた瞬間、鼓動が一層大きくなった。
「…やっぱり少し熱いな…」
その顔が、真っ直ぐこちらに向けられている。
瞳の色も、雰囲気も少しも変わっていない。けれど、大きな変化もある。
矛盾するその感覚は、自分と「彼女」とで、根本的な部分で違ってしまったものからくるのであろう。



…ここで抱きしめてしまえば、この想いは伝わるだろうか。
遥か遠い昔から、君の存在に想いを馳せ、今再び、共にある。


たとえ君が、何も覚えていなくても。


「…誰の所為だと思ってるんだよ…」
「あ?何か言ったか?」
「別に…」
触れていた手が、額から離れる。
やめろ、まだ、もう少しだけ。(やば…)
そう思うよりも早く、自分の手がその手を掴んでいた。
「な、何だよ」
「いや…その…」
このまま触れていたい、その顔も、髪も、手も、君の全てに。
とにかく身体は正直で、なかなかその手を離そうとはしない。
「…ったく!」
(殴られる!!)
今までの経験上、思わず瞼をかたく閉じる。
が、拳が飛んでくることはなく、それどころか、手を、痛みを伴うほど強く握り返された。
「痛っ!何す…」
(あ れ)

ちらりと見えるその頬は、ほのかに赤い。
かたく握られた手が、どこか熱を帯びている。

「―――さっさと帰るぞ」
そして、再び俺の手は君に引かれる。
先程と何ら変わることのない光景。
だが、確実に「何か」が違う。
二人を取り巻く空気が、どこか、何処か違う。
触れ合う部分の熱は、果たしてどちらのものか。
勝手に緩む口元を見て、顔を赤くしたままの君は言う。
「何笑ってんだ!!」
「いや、別に笑ってるわけじゃ…」
「じゃあその顔はなんだ!」
そう言われても、なかなか元に戻すのは難しい。
君のその顔、その反応を見てしまっては。
(感じるか?)
繋いだ手を、強く引き寄せる。「うわっ…!」
(聞こえるか、俺の、)





君へのこの想い












(ななな何すんだ馬鹿!)
(もう我慢の限界)





―――――――――――――
君の手を引いて歩こう」企画提出物です。
企画参加は初めてなもので…駄文で申し訳ないです。しかも転生ものになりきれていない感が…

参加させていただき有難うございました!!





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -