【強制カレシ】
 
「…っ、…ゃ!あ、ぁ、」
月明かりだけが差し込む、真夜中の真っ暗な部屋。
ギシギシと軋む簡易ベッドに真弓を押さえ付け、俺はその身体を蹂躙する。

【強制カレシ】

「なァ、…っは、…お医者さんごっこでもする?環境、完璧だし、っ」
腰を打ち付けながら喋る言葉は荒い息で途切れ途切れになる。
優しく話し掛けたつもりだが、真弓はそれに答える余裕は無いようだ。
何回も休み無しでイかせたし、それに関しては仕方ないか。
俺は繋がったまま腰の動きを止めた。
「ホテル探してたら、近くにこんな場所があるなんてな。…時間無制限だし、人も来ねェし。」
真弓を連れてきたのは、取り壊し前の廃病院。
工事は一旦、中止されているらしい。
何でも幽霊関係だっつー事だが…。
実のところ、今はそれを気にしてはいない。
霊ってのは激しいセックスをしてる奴ンとこには来ねェってのと、そんな事考える暇が無ェくらい俺は真弓に溺れてるからだけど。
俺に組み敷かれている真弓は肩で呼吸をしていた。
瞳からは涙が零れて、その目は少し虚ろだ。
「…苦しかった?…でも、その顔すげー可愛い…。」
夢中で貪るように真弓の唇を犯す。
呼吸が乱れたままの真弓が我慢出来ずに唇を開いた瞬間に舌を滑り込ませた。
「んんー、っ、ん!…んぅ、」
抵抗するように逃げる舌を捕まえると、真弓の瞳から新たに涙が零れた。
「ん、…っあー、堪んね…。あ、やべ、」
キスだけなのに大きさを増す自身に驚いた。
刹那、真弓もそれを感じ取ったようでヒュッと息を飲む。
俺はゆるゆると律動を再開して、真弓の内壁を抉った。
「…っあ、も…やめ、…ゃ、あぁ…っ、」
結合部からはいやらしい水音と肌のぶつかる音。
真弓はずっと拒絶の言葉を吐くが、身体は随分俺に馴染んできたように思う。
「はぁ、は…、っ真弓のナカ、すげー気持ち良い…!」
もどかしい快感から上り詰めたくて、自然と腰の動きも早くなる。
「ひっ、…や、ゃ、…苦し、…っあ、ぁ、」
「真弓っ、…あ、出る、……っく、」
「ッや、嫌、…ふぁ、あ、ああぁ…ッ!!…っ、…」
俺は我慢なんか出来るはずもなく、そのまま真弓のナカにたっぷりと欲を流し込んだ。
同時に真弓も果てたらしく、ビクビクと身体を痙攣させている。

「…っは、…最高。」
俺はようやく自身を引き抜くと、真弓からとろとろと溢れ出した蜜が月明かりで厭らしく光るのを見た。
その背徳的な光景にまたすぐに欲情する。
真弓自身が媚薬で出来てるのかと問いたくなるほど、自制が効かない。
ここに連れてきてすぐ抱いたせいもあって、ようやく与えられた休息に真弓は少しだけ安堵の息を漏らす。
月明かりが真弓の裸体に生々しい影を作らせて、身体に付けた赤い痕と飛び散った白い液の存在を主張させた。
「…真弓、休憩終わり。…舐めて?」
やはり自制が効かなかったなと呆れに近い笑みを浮かべながら真弓に言うと、真弓は微かに震えた。
「……ゃ、…許して……。」
「あのね、真弓チャンがそんなエロい顔してるから銀さんの銀さんが大変なことになってンの。その責任は取ってもらわねェと。……ナカに出される方がお好みならそっちでも構わねェけど?」
「…っ、」
「一番最初に言ったよな?お仕置きするってよ。俺さァ、これでもまだ優しくしてるつもりなんだよォ?それとも、優しくない方が良いの?」
少し声のトーンを低くして言えば、真弓は呻きながら体を起こした。
ずっと同じ体勢で俺に押さえ付けられて激しく揺すぶられていたから、身体が軋んで痛いんだろう。
連れてきた最初は破れたシーツの切れ端で身体を縛り上げたり、少し手を上げてしまったのも原因かもしれないが。
(でもあれは真弓が、怖い怖いって黙らなかったからで…。)
まぁ、廃病院連れてこられて仕置きって言われりゃ怖ェかもな。
そんな事を考えているうちに真弓は俺に向き合って座り、そのまま俺の股に顔を沈めた。
真弓は震える両手で誇張した俺自身を包み込み、許しを乞うようにチラリと俺の顔を見上げる。
その表情だけでイキそうだ。
「……いい子だから。分かるよな?」
「………。」
「…あ、抵抗したり噛んだりしたら、…もっと"タノシイ事"すっから。」
眉を下げて困惑するような表情をしながらも、真弓は大人しく視線を手に持ったそれに移した。
「っ、」
真弓の舌先が俺に触れる。
先端をちろちろと舐め上げる舌に、思わず吐息が漏れた。
「ッ、ぁ、…いいよ、真弓。そのまま咥えて。」
また不安げな顔を俺に向けてくるかと思ったが、真弓はそのまま少しずつ俺を呑み込んでいく。
真弓の唇が震えているのが分かって堪らない気持ちになる。
必死に俺を咥え込んでいる真弓の頭を優しく撫でた。
「もっと舌絡めて。…そうそう、…上手だよ真弓。」
真弓は時々えづきながら、俺で口の中を一杯にしている。
本当に愛しい。
頭を撫でていた手を滑らせて、頬に触れると真弓はピクリと舌の動きを止めた。
「…勝手に休憩したら怒るよ?俺がイくまでフェラ続けてもらうから。ほら。」
続きを促すと真弓は先程よりも、しっかりと俺に舌を絡ませて刺激する。
貪るように俺自身を口内で激しく愛撫する真弓はひどく扇情的だった。
「やれば出来ンじゃねェか…、っ、真弓、このまま出すぞ…!」
真弓の後頭部をしっかり押さえ付けて、その口の中に欲望を吐き出した。
「……っん、……!」
「こら、暴れンな!溢したら承知しねェぞ。」
「………っ、」
少し強めに言うと真弓はピタリと暴れるのを止めた。
そのおかげで全てを真弓の口の中に注ぐことが出来た。

「真弓、今、口の中どうなってるか俺に見せて?」
真弓の口からゆっくりと自身を引き抜いて、伏せていたその上体を起こしてやる。
また涙が溜まった真弓の瞳はあまりに綺麗で、でも俺によって汚されているという矛盾が堪らない。
真弓は少し顔を上に向けて恐る恐る唇を開いた。
「…まァ、そうなるよな。」
口の中には飲み込まず、吐き出す事も許されなかった俺の精液が溜まっていた。
この中にさっきまで咥えられていたのだと思うと、また下腹部が熱くなってくる。
それには気付かなかったフリをして真弓の口に指を突っ込み、ぬめる舌を撫でた。
「はーい、ごっくんして。」
「!!」
「…あれ?分かンねェ?飲み込めって言ってンの。」
真弓は震えながら首を横に振る。
慣れない味なのは分かるが、一度口に入ったものなんだから飲み込めなくはないだろう。
「…早く。」
「……、」
どうしても譲らない真弓に一度溜め息を吐いて、その口を押さえながら後ろに倒した。
ギッと鈍い音を立てるベッドに真弓の両手首を左手で押さえ付け、口を塞いでいた手で鼻をつまんだ。
暴れられないように体には俺の体重を掛けてある。
「好き嫌いは駄目だってガキの頃言われただろ?銀さんが見ててやるからさァ、……飲め。」
「……!……!!」
最初は呆然としていた真弓だったが、次第に慌てて絶望を顔に表した。
分かってる、口の中に液体がある状態では呼吸なんて出来るわけがないんだ。
真弓は恥ずかしがり屋だから、進んでアレを飲み込めるとは思ってない。
でも、ここまで手伝ってやるんだから報いて貰わないと意味がない。
「死ぬのと飲むの、どっちが嫌だろうなァ?」
「…!…!………、ぁ」
限界だったんだろう、真弓の喉がごくりと音を立てた。
それと同時に気管にも流れ込んでしまったのか激しくむせ返る。
俺は真弓から手を離し、その呼吸が落ち着くまで待つ。
「あーあー…。結局溢れちまったなァ…。」
思ったことをそのまま口に出しただけだが、真弓が怯えたのが分かって優しく微笑む。
「怒ってねェよ。真弓が頑張ってくれて、すげー嬉しい。ま、理想としては次からは全部飲んで欲しいけどな。」
真弓の唇から垂れた、唾液とは違う白濁した液を親指で拭ってやる。
上からも下からも真弓を犯した充足感が俺を満たす。
仕置きなんて言ったが、真弓とこうやって繋がっていられれば、もうどうでもいい事のように思う。
それでも問わなきゃいけない問題はあるのだが。

俺は真弓の太ももを掴んで左右に大きく開かせた。
「ッ!ゃ、…!」
真弓が小さく悲鳴をあげて両足を閉じようとするが、その力はあまりにもか弱い。
それがまた可愛くて、加虐心を煽るのをきっと真弓は知らないんだろう。
「今度は俺の番ね。」
真弓の下腹部に顔を近付け、俺のと真弓のでぐちゃぐちゃになっている秘部に舌を這わせた。
舌先で芽を集中的に刺激してやれば真弓は俺の髪を掴んで押し返そうとする。
ココが弱いことは最初から知ってる。
一人でシてる時も真弓が一番感じてるのはこの場所だから。
「ゃ…、…ッ、…!」
「…ンな嫌がんなよ。気持ちいいンだろ?もっと啼けよ。」
「う、ン…、何で、こんな…ぁ、」
「"何で"?…俺が知らないとでも思ってンの?」
真弓の鼓膜を音で犯すように、なるべく厭らしい水音を立てながら舌を動かす。
吸い付く度に真弓の身体がビクビクと跳ねた。
「んぁ、は、…ゃ、も、…っ許し、ぁあんっ、」
真弓のナカからとろとろと密が溢れ出てきて、俺はそれを指先で掬いながら真弓の太ももに塗り付けた。
ぬるりと怪しく光るそれは完全に俺を誘っている。
「許せねェからお仕置きしてンの。…アイツにもこんな姿見せたンだろ?」
「…は、…?」
「誤魔化せると思うなよ。お前、今日の夜ホテルに入ったよな?……土方と。」
その名前を出すと真弓は信じられないとでも言いたげな目で俺を見た。
信じられないのは俺の方だ。
真弓が土方と一緒にいるのはよく見掛けていた。
他愛ない会話をして、飯食って、それで解散。
今までずっとそうだった。
友達として付き合ってるのなら仕方ないと自分を落ち着かせた。
真弓が魅力的で、傍に置きたい、一緒に出掛けたいと思うのは俺が誰よりも分かってる。
だけど、真弓は俺のものなのに。
土方は真弓の手を引いてラブホテルに入っていった。
ああ、思い出しただけで吐きそうだ。

「だ、って、……ふ、ぁっ、ぁ、」
「言い訳を聞きたい訳じゃねェよ。俺もう見ちまったし。…すげー傷付いたンだよね。」
淡々と告げながら、舌と指で真弓を追い詰めていく。
「なァ、土方にもココ舐められたの?脚の付け根にもキスマーク付いてンだけど。」
「……っ、は、…ひぅっ、…ゃだ、…ぁ、ッあぁン!!、」
「あァ、悪ィ。もっと焦らしてやろうと思ったけど我慢出来なかったか。…真弓のココ、もうこんなになってるよ?ククッ、やらしィー。」
放心状態の真弓の手は俺の頭を撫でるようにするりとベッドに落ちた。
ぐじゅ、と音を立てて大洪水を起こしている真弓のナカに指を入れて内壁を擦る。
収縮するそこは、きゅうきゅうと俺の指に絡み付き締め付ける。
「こっちは素直なんだけどねェ。……あー、俺ももう我慢出来ねェわ。」
完全に勃ち上がった自身に真弓の秘部から溢れる愛液を塗り込み、そのまま入り口にぴたりと宛がう。
真弓は混乱と快楽に溺れて、もう拒絶の言葉すら吐けなかった。
「可愛いよ、真弓。俺だけを見て?」
ゆっくりと自身を真弓のナカに埋め込んでいく。
「、ぁ、…あッ、…ん、」
「土方に汚されたとこは、っ全部俺が上書き、してやっから…。」
腰を真弓に打ち付けながら、そう告げる。
身体のキスマークは全部俺の痕にしたし、上も下も俺の精液を流し込んでやった。
俺以外が真弓に触れるなんて有り得ない。
「ゃ、め…っ!、は…ぁん、あ、ぁ、」
「はっ、そんな気持ちよさそーな顔しながら言われてもなァ…?俺、真弓のこと誰にも渡す気ねェから。だから今後、俺以外の男とヤったら、……殺すからな。」
「…!…んぅ……嫌ぁッ、…助け、」
「なーんてな…。でも、そういう気持ちだよ、俺ァ。」
怯えてる真弓は本当に可愛い。
無理矢理ガツガツと最奥に当たるように腰を振れば、一際大きく嬌声が上がった。
「は、ぁあんっ!あん、…っあ、!」
「つーか、お前には俺が居るでしょ。誰に助け求めてンの?…もしかして、土方?」
激しく揺さぶられて真弓が俺の声を聞き取れているかは分からなかった。
俺は体を曲げて赤い痕がいくつも残る胸に舌を這わせた。
ラインをなぞるように舌を動かし、頂には歯を立てたり吸い付いてやる。
「…ひじかた、さ……、ぅ、…ん、っ、」
「この状況で他の男の名前呼ぶとか…、銀さん嫉妬で頭オカシクなりそうだわ…っ。」
俺の肩に真弓の震える手が添えられる。
太ももを掴んでいる手を離し、真弓の両手首を捕まえてベッドに縫い付けた。
「………ゆっくり横向いてみ?もう目も慣れてきた頃だろ。」
「…?」
真弓は乱れた呼吸を整えながら、のろのろと首を横に向けた。
首筋に浮かぶ無数の赤い痕に、優しく唇を落とす。
「見える?横のベッド。…最初からそこにいたンだよね。俺等が愛し合ってるの見せ付けてやろうと思ってさ。」
笑う俺とは逆に、真弓の表情はどんどん凍り付いていく。
真弓のそういう優しいところも、俺は好きだ。
なァ、まだ俺が見たことない表情も全部見せて?
俺は真弓の全てを愛してるから。

「…ど、…して……。」
「あらら。さっきまで銀さんに夢中で気付かなかったくせにィ。…きっと真弓は名前を言うと思ったから連れてきてやったンだよォ?…"ソレ"。」
「ぅそ、だ…嘘、こんな…。いやっ、嫌あぁぁッ!!」
想定通り暴れる真弓を冷静に押さえ付ける。
「大丈夫だいじょーぶ。怖がンなくていいよ、

"ソレ"もう死んでっから。」

真弓を落ち着かせる為に優しく微笑んでみたものの、真弓は泣き出してしまった。
月明かりの弱い光でも、暗闇に慣れた目なら充分にその姿を確認することが出来る。
横のベッドで血塗れになっている、土方の姿が。
確かに爽やかなもんじゃないし、こんな汚ェのは真弓に見せるべきじゃなかったか。
俺に動きを封じられた真弓は怯えた目で俺を見上げる。
「…っは。その顔、興奮するンですけど。今、銀さんちょっと大きくなったの分かる?」
「っ、……ぁ、…私も、…殺す、の…?」
「いいや?悪いのは全部アイツだから。…さすがに手こずったけど、ね。」
呆然としている真弓の意識を俺に戻す為、律動を再開した。
「あっ、や…、ひ、人殺し…、ふぁ、ぁ、…も、」
「何、俺が怖くなっちゃった?っ、あー、すげ、締まる…ッ!」
真弓は俺に揺さぶられながら、なんで?とか、どうして?ばかりを繰り返す。
それはさっき説明したばっかりなんだけど。
土方を殺した理由?
そんなの真弓に手を出した以外に必要か?
「鎮魂歌代わりに真弓の可愛い声、聞かせてやれよ。そんで、一緒にイクとこも見せ付けてやろうぜ。」
「あッ!ゃ、だ…っ、ダメ…、ぁあ、ぁ、」
変わらず拒絶の言葉を吐くけれど、それがまた俺を煽る。
真弓だって土方の横で犯されてンの、興奮してるくせに。
「ん、ッ真弓、…お前は、永遠に俺のモンだ…、くッ、」
角度を深くして真弓のナカを抉れば悲鳴に近い喘ぎ声が上がり、二人同時に果てた。


真弓は静かに涙を流しながらぼんやりと天井を見上げている。
俺は真弓の髪を梳くように撫でて、額にゆっくりキスを落とした。
「本当は俺だって真弓のこと大事にして、もっと優しくしてやりたかったンだよォ?…でもま、今日のは仕方無ェよな。次はうんと優しくしてやっからさ。」
微笑んで涙で濡れている真弓の睫毛を親指でなぞる。
真弓はぎゅっと目を瞑って、浅く息を吐きながらそっと俺に視線を合わせた。
…ああ、どうして。
土方に汚されて、俺に犯されても、なお美しいのか。
「…、……なの…?」
「ん?」
震える唇で真弓が俺に問う。


「あなた、…一体誰なの…っ?」


それだけ言うと真弓はそのまま唇を噛んだ。
そんなに噛むと血が出てしまう。
俺は一度、真弓の唇をぺろりと舐めて、その澄んだ瞳に答える。
「忘れた?ここに連れてきた時に言ったよ、俺。

"初めまして。今から真弓の彼氏になる坂田銀時です。"

…てな。これからも末永くよろしくな?」
「…………っ、土方さん…助けて…。」
「…はぁ、まったく。本当に真弓は悪い子だなァ、オイ。もう土方とかどうでもいいじゃん。それとも妬かせてェの?」
言いながら俺はベッドサイドに置いた薬品の蓋を開ける。
真弓が疑問に思うより早く、その開いた唇の端に指を掛けて薬液を流し込んだ。
「、っん、…な、に…!」
「んー?睡眠剤。用法よりちっと多いかもしンねーけど。疲れてるだろうし、すぐ眠くならァ。…その間に片付けてくっから。」
チラリと土方に視線を流せば、真弓は暴れる力も無いくせに、じたばたと俺から逃れようと身を捩る。
「…心配しなくても、土方が死んだのは俺達に関係が無いように細工しとくから安心しろって。」
「……、土方さ、」
「ああもう!!真弓はもう俺のだろ!?その名前は二度と口にするなッ!!」
真弓の言葉に思わず大声を出してしまったが、いつまでも土方土方って言うからだ。
不規則に下手な呼吸音が聞こえる。
分かってる。
大声を出してしまったから真弓が俺に怯えてしまったんだ。
俺は一度真弓から離れ、土方の服を弄って手錠を取り出した。
使い道は、当然。
「っや!」
抵抗する真弓を押さえ込んでその手首とベッドを手錠で固定する。
「怒鳴ってごめんな?…今はゆっくり眠って。目が覚めたら気持ちも落ち着くだろうしよ。」
「……、…トシ……、っ…。」
音にならないような声で真弓は何かを呟くと、そのまま眠りに落ちた。
身体が冷えないように真弓にシーツを掛けてやる。
戻ってきたら、その身体を綺麗にしてやるから待ってて。

無駄に重い土方の体をベッドからずるりと引き摺り下ろす。
「どこに捨てっかなー…。せっかく病院なんだし、道具は色々あるんだよなァ…。」
血塗れの土方を引き摺り歩いても、とっくに乾いた血は床に付くことはない。

月が綺麗だ。
ずっと眺めることしか出来なかった。
だけど、ようやく手に入れた。
「安心して良いよォ、土方君。真弓のことは、テメーがそうした以上に大切にすっからさァ?」

目が覚めたら、またたくさん可愛がって愛して大切にしてやるから。
俺の真弓。

俺は薄ら笑いながら、月明かりの届かない闇へと歩き始めた。


end

 
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