【赤頭巾さんと狼くん2】
 
「………はぁ。」
ンな乙女みてェな溜め息もこれで何度目なのか。
女々しいったらありゃしねェな。
「…はぁ。……駄目だわ、無限ループ恐ェ。」
「銀ちゃん煩いアル。じめじめハァハァして、キノコでも育ててるアルか?」
「おー、自前のキノコがな、」
「アンタら何っつー会話してんですかァァァ!!!」

今日も万事屋は暇だ。
あっ、間違えた。今日は暇だわ、うん。
「そんなに真弓に会いたいなら、会いに行けば良いネ。」
「それが出来ないから銀さん鬱々してるんだよ、神楽ちゃん。真弓さん、引っ越しやら新しい勤務やらで忙しいみたいだし、僕達も依頼が全く無かった訳じゃないし…。タイミングが合わないんだよ。」
ちょ、新八君、それ誰に説明してンの?
…とまぁ、そんな感じで、俺はもう一ヶ月近く真弓さんに会えていない。
一応連絡はつくが、電話しても大体留守電だし、メールの返信は数日後だし、ストーカーよろしく家の前まで行ってみても帰宅してねェわで、すれ違いまくり。
もしかして避けられてる?
いやいやいやいや!自信を持て、俺!!
ついこないだ両想いになったじゃん!
え、夢?いや、夢みてェだけど、夢で堪るか!

「早く会いに行けば良いアル。」
「神楽ちゃん、だから、」
「真弓だったらもう帰宅してるネ!今会いに行けば確実アルよ。」
ぽかんと固まるのは俺と新八。
つーか、え?何て言った?
「オイオイ、神楽チャン?それどこから得た情報ォ?彼氏の銀さんが知らないなんて有り得ねェから!」
「じゃあ彼氏じゃないネ、私は真弓に直接聞いたアル。」
「直接…、は?ちょ、お前、真弓さんに会ったの?どこでだコノヤロー!!」
がしっと肩を掴むと鳩尾を殴られた。
「レディに気安く触るんじゃねーヨ。そこの公園でたまたまバッタリ会ったネ。」
何だよ、真弓さんかぶき町に来てたのかよ。
それ先に言ってくれてたら、俺…。
…ま、仕事で通っただけだろうし、そんなの一々言う人じゃねェのは分かってるしィ?
「今日はリアタイでドラマ見れるって言ってたアルよ、銀ちゃん。…新八、今日そっち泊まっても良いアルか?」
「え?うん、構わないけど。やけに協力的だね?」
「真弓みたいな好物件逃したら、もうこの天パには未来が無いネ。私が一人で留守番してたら真弓は優しいから、銀ちゃんに帰れって言うに違いないアル。これは人助け、人命救助ネ。」
ちょ、全部丸聞こえなんですけどォォォ!!!?
どんだけ駄目だと思われてンの、俺!
銀さん、やれば出来る子だかンね!?
未来なんて沢山待ってるからね!?
…まぁ、それでも、コイツらの気持ちがありがたくねー訳じゃねェけど。
「つーか、夜中に銀さんが帰ってくるって考えは無い訳ね。」
「大人の男女が二人居て何も無い方がどうかしてるネ。このチキン野郎が。」
けっ、と唾を吐き捨てる神楽を見ながら、そんな事言う子に育てた覚えはありませーん、と頭にチョップ。

…ま、でも可能性がゼロな訳じゃねーんだよなァ。
真弓さんが乗り気じゃなかったら、俺からは手が出せねェし。
以前、真弓さんを怖がらせてしまった手前、もうあんな顔はさせないと誓ったばかりだ。
…自分の中の狼を押さえ込むのも結構大変だわ。
なのに真弓赤頭巾さんは、俺の横で優雅に花畑で冠作ってるみてェなもんだし。
横にいるの悪い狼ですよー、逃げて逃げてーってな。
そのまま花畑で勢いに任せて組み敷いても、お腹空いてるなら私パン持ってるから一緒に食べよ?って言っちまうような人なんだよ…。
アンタを食べたいんだけど?って言ったら、きっと真っ赤になりながら、そうだよね狼だからパンじゃないよね困ったな…って俺に押さえ付けられたまま悩むんだろうな。
もう、そうなったら俺の負け。
あ…まだ腹減ってなかったかも…、ってな。
そしたらきっと、この赤頭巾は言うんだ。
お婆ちゃん家に着いたらハンバーグ作ってあげるね、って。
その笑顔に惚れちまった狼は、そりゃ…もうただの忠犬になるしかない訳で。


戸締まりしとけよって言ったら、もう夜分だし帰る、という事で三人並んで玄関の施錠を確認。
「取られて困るようなものなんて置いて無いじゃないですか…。」
「こういうのは気持ちの問題なんだよ、ぱっつぁん。…ほい、解散ー!」
階段を降りて別々の方向に歩き出す。
「新八急ぐアル!ドラマ始まるネ!!」
「え、まだ30分以上も…。神楽ちゃんんん!?」
突然走り出した神楽に続いて新八が追って走り出す。
それを見送ってから俺はスクーターに跨がった。


「着いた…。」
こうやってマンションを見上げていると、マジにストーカーになった気分だな。
オートロックは付いてないから、そのまま部屋の前まで歩くだけなんだが、なんつーか心臓バクバクし過ぎ。
俺、走ったっけ?なんて疑問を持ちそうになるくれェ尋常じゃない。
エレベーターがあンのに乗らずに階段で上に上がる。
すぐにでも会いたいならエレベーター一択だが、少しでも落ち着かねェとこれはマズイ。
…階段のせいで余計息切れしてるのは計算に入れ忘れたけどな。

チャイムを押すとインターホンから、はーいという声。
(やっべ…!マジに真弓さんの声だ…!!)
『? どちら様ですか?』
「っあ!お届け物でェーす!!」
俺のバカヤロー!!なに焦って意味不明な事言っちゃってンのォォォ!?
真弓さんは、開けます、と言ってインターホンを切った。
ドアの前で待ってると、中からチェーンを外す音が聞こえて、まさに壁一枚向こうに真弓さんがいる事にそろそろ心臓が止まりそうだ。
「ご苦労様ですー……って、え…、」
「ち、ちわーっす…。」
「ッ!」
バタン!と勢いよくドアが閉められた。
…ん?…えっ、マジで!!?
真弓さん、俺だって分かってドア閉めた!?
「ちょ、真弓さん?不審者じゃないですよ!万事屋の坂田銀時と申します!…お、覚えてませんかァァァ!?」
『わ、分かってるから…、鍵開いてるから、上がって?』
…何だか様子がおかしくないか?
声もちょっといつもと違うっていうか。
「お邪魔しまー…す。」
ドアを開けて中に入り、後ろ手で施錠。
…あの日を思い出して何とも言えない気持ちになる。
「…来るなら、連絡して欲しかった…。」
俯き加減で俺の前に現れた真弓さんは半袖のシャツにショートパンツという、いつものスーツ姿からは考えられないラフな格好。
露出が増えて、これはこれで…。
それに、その泣き顔も正直そそる。
…泣き顔!?
「なっ、真弓さん!?その顔…!!」
「! や、見ないで…!だから、連絡して欲しかったのにぃ…。」
真弓さんは両手で顔を覆ってしまった。
何これ、俺が泣かしたみたいじゃん!?
「ご、ごめんごめん、すんません!あー、神楽が今日会ったって言ってて、最近会えてなかったし、その…。」
こんな時に限って俺の口は回ンねーし、あぁもう真弓さん微動だにしねェし!
考えろ、どうして真弓さんは泣いていた?
耳を澄ますとテレビの音、…テレビ?
「違うの…。あの、銀時君のせいじゃなくて…、」
「っそういう事か。…真弓さーん、おいでェー?」
どうやらドラマを見て泣いていたらしい。
俺は分かりやすく両手を広げて真弓さんが来るのを待つ。
…来なかったら泣こう、うん。
「銀時君…。」
ふらふらと俺に近付き、真弓さんが俺の腕の中に収まった。
ぐあぁ、可愛い可愛すぎる…!!
なんつーか普段しっかりしてる人が、俺にだけ甘えた姿を見せるってのが堪らねェ。
「あ……。」
「ん?」
「…また分かってないって怒る?」
「くはっ、むしろ俺にだけなら大歓迎です。」
以前、俺も男だって事分かってないって言った事を気にしてるんだろう。
…もう彼氏になってンだから、心配しなくてもいいのに…、いや、だからこそ心配しなきゃいけねェのか??
「会いに来てくれてありがとう…、嬉しい。」
「俺も。真弓さんにやっと会えた…。仕事は手伝えねェけど、それ以外は何でも力になるから、もっと頼って。」
あーもう、柔らかいし華奢だしずっとこのままで居てェ。

「……銀時君、は…さ…。」
真弓さんが震えた声で俺を呼ぶから、少しでも安心させたくてその小せェ体を強く抱き締める。
「何?」
「……本当に私で良かった?今日は会えたけど、予定ではまだまだ銀時君と会えるのは先になるはずだったの。」
それは何となく想像していた。
元々忙しい人なんだから、帰宅時間も決まってはいないんだろう。
休める日が休日になるのかもしれない。
真弓さんは苦しそうに言葉を続ける。
「上手くいかないんだよ…。会えないと冷めちゃうんだよ…。それで別れちゃうなら最初から付き合っちゃいけなかったのよ。お互い辛いだけなんて悲しすぎるもの…。」
「……そ、っすね。俺と真弓さんじゃ違い過ぎて、上手くいかないですよね。」
「っ、…うん、」
「……。なんてな、それさっきまで見てたドラマの話ですか?それとも本気でそう思ってる?…心外なんすけど。」
すっと体を屈めて真弓さんの顔を覗き込む。
キラキラ光る瞳はやけに澄んでいて、この人の心をそのまま表しているようだ。
真弓さんが俺にくれた、夢みたいな言葉を絶対に夢になんかしてやらない。
「俺は1ミリも、ンな事考えてねェですから。…年上とか関係ねェからな?俺、叱る時はちゃんと叱る主義なんで。…つー訳で、罰ゲーム!」
真弓さんの背中を一度撫でる。
パチッと音がして、真弓さんがハッと息を飲んだ。
秘技・ブラ外し。
まぁ、年下の可愛い悪戯ってやつだ。
着物だと出来ねェから、あんまやった事ねェけど。
いやぁ、我ながら手先は器用だと思う。

「ひ、…ゃぁ!!」
「っ!真弓さん…?」
てっきり突き飛ばされるかと思ったのに、何故か真弓さんは俺に抱き付いてきた。
「あ…間違えた、…どうしよう……。」
言いながら俺の背中に回した腕に力が込められる。
真弓さんの胸がすんげー押し当てられてンだけど、これ不可抗力だよな?
「ど、どどどうしたンすか、真弓さん!」
「どうしよう、…。あ、やだ、離さないで!」
顔を覗き込もうと真弓さんの肩を押そうとしたら、真弓さんはいやいやと頭を振った。
何これ!可愛すぎるんですけど!!
離さないで!?絶対に離しませんんん!!!
「ね、ねぇ…銀時君…。…今、ブラのホック外した…?」
「あっ…その…、はい…。すんません、悪戯が過ぎましたァ!でも真弓さんが酷ェ事言うからであって、俺もちょっと傷付いたりしちゃったというか、」
ぎゅむ、と真弓さんに背中をつねられる。
え、俺への仕返しのつもり?
…いちいちやる事が可愛いンだっつの、これ以上俺を夢中にさせてどうするつもりなんだよマジで。
「わ、私も悪かったけど、銀時君も酷いよ…。…あーもう、自分の手で押さえるべきだったのに、どうしよう…。」
「真弓さん?さっきから、何、」
「…ストラップ、着いてないの。」
「………は?」
「だからっ…、ブラ紐付いてないの。…ホック外されたら脱げちゃうの!」
「!!」
は、え、えぇぇー!!?
ちょ、俺、完全に変態じゃん!
いや、否定しないけど!男は皆変態だからさァ!?
「お、俺、目ェ瞑ってますから!」
「…し、信用出来ないぃ。絶対に目、開けない?」
「う…。そう言われると…、え、見られるとマズイ?」
愚問だと分かりながら言ってしまえば、また背中をつねられた。
何これ、照れ隠し?
痛くも痒くもねェけど可愛すぎて辛い。
「………銀時君に見られるなら、一番可愛いの付けとけば良かった…。」
「! 真弓さん、それ反則。…抱きたくなる。」
「ちがっ、…そんなつもり、じゃ…!っ、えっと、決して嫌な訳じゃ…無いんだけど…、まだ…。」
この人は俺より大人なのに純粋過ぎて俺には眩しすぎるとよく感じる。
付き合っても、きっと真弓さんの中には年齢の壁ってもんがあって、俺が気にしなくたって、気になってしまうんだろう。
俺には勿体ねェくらいの人なのに、自分じゃ相応しくないみたいに卑下しちまってる。
きっと優しすぎるこの人は、あの日と同じで、俺がどうしても抱きたいって迫れば、押し負けて俺に抱かれてしまうに違いない。
だから俺から無理強いはしない。
いつか真弓さんが俺を対等に彼氏として認めてくれて、然るべき時が来たら、いずれは。
「はぁ…、生殺し上手いっすよね、真弓さんは。忠犬としてはご主人の"待て"には逆らえねェって分かってて言ってンでしょ?…待ちますよ、俺は。あー、でも本当は忠犬じゃなくて狼を待たせてンだって、自覚だけはしといて下さいね?」
「う、うん…。ありがとう。じゃ、じゃあ銀時君を信じて、目を瞑っててもらおうかな!ね?」
「…あー、やっぱそれ却下で。俺、絶対に目ェ開けるんで。…だからさ、」
真弓さんの髪をゆるりと撫でて耳に囁く。
「俺に着けさせてくださいよ。」
ピクリと真弓さんの肩が動いて、ようやく俺が男として意識された事は理解出来た。
…ま、ステップ的には上々か。
「銀時、君…?」
「その位のスキンシップはさせて貰いますよ。長い事会えなかったし、これからも待つかもしれねェんで。」
「…分かった。あ、あんまり…触らないで、ね…?」
耳まで真っ赤にしちまってるのを見て、本当は着てるもの全部剥ぎ取ってしまいたい気持ちを抑える。
(嫌われたら元も子もねェし、…焦ンな、俺。)

真弓さんのシャツの裾から両手を突っ込んだ。
「ゃ、…冷た、」
ふいに触れた真弓さんの肌は柔らかくて温かくて、その感触をもっと楽しみたくなる。
背中に触れながら、外れたブラジャーを探した。
「ぎ、銀時君…!っ、触り方が、何か…っ!」
「別にやらしく触りたい訳じゃねェんですけど…。指に気持ちが表れてンのは認めます。もうちっと我慢して。」
「っ、…。」
ふるふると震えているのは、羞恥なんだろうなぁと思うけど止めてやれない。
何つーのかね、困らせたいって気持ちになンだよな。
そろりと肩甲骨を撫でると、僅かに身を捩られた。
「くすぐってェ?」
「…あ、あんまり、意地悪しないで。…お願い。」
真弓さんはそう言いながら俺の背中に回した腕にぎゅっと力を込める。
だあァァァ!破壊力最大値じゃねェか、それェェェ!
あんまり焦らすと真弓さんが本気で困りそうだから、俺は手早くホックを掛け直した。
男にとっちゃコレは外すものって認識だから、着けンのはこれで合ってるかは正直分からねェけど。

「ふー…。一時はどうなるかと思った…。」
「はははー…。すんません、出来心で。」
膨れっ面の真弓さんは可愛いけど、その言葉は敢えて飲み込んで謝罪。
「反省してる?…銀時君、ちょっと正座して。」
やば、お説教モード入っちまったかな。
…こうなったら、しゃーねェわ。
俺は大人しくその場で正座する。
だ、大丈夫だよな?もう付き合ってらンねェとか宣告されたりしねーよな!?
「…銀時君、目を瞑って。動かないで。歯食い縛って。」
あるぇェェ!?これガチなやつじゃね!?
ま、まぁ、俺が悪いし?
神楽に殴られるよりは数十倍マシだし!?
「…………。」
「…………。」
真弓さんが息を整えているのが分かる。
こりゃ、結構キツいの貰うかもしンねェな…。
「…銀時、君…。」
囁くように俺の名前を呼んだ後、ふに、と唇に柔らかい感触。
驚いて目を開けようとしたが、真弓さんの手で視界が遮られた。
いやもうこれは見なくても何が俺の唇に触れているかは分かる。
分かる、けど。
「…仕返し。…少しはドキドキした?」
「ドキドキっつーか…、心臓止まるかと思った、っす…。」
「じゃあ、おあいこだね。…私ばっかりドキドキするの悔しいもん。銀時君はいつも余裕だし。」
「…真弓さん、馬鹿でしょ?余裕なんてただの虚勢で、俺のが何倍もドキドキさせられてるんですって。」
お互い真っ赤になって照れて笑って、大人だけど大人には程遠い恋愛。
純粋で優しくて照れ屋な赤頭巾は、やっと狼と対等に戦える関係になったらしい。
「真弓さん…、」
「!」
「仕返しの仕返し。…次は舌入れるンで。」
「っ!」
不意打ちでその唇を奪うと、さらに真っ赤になった真弓さんは一歩後ろに下がる。
逃げられると追いたくなるって、…この人は分かってねェんだろうな。
「か、噛むからね!…っ、噛んでやるぅぅ…!!」
「くはっ、…本当もう俺ダメだわ。真弓さんが好き過ぎて。」
「…………っ、…わ、私も好き…だよ。」

その後は、家にあげてもらって、約束通りいちご牛乳を出された。
…あー、これ飲んだら暴れちゃいけねェんだよな。
つーか、本当に常備しててくれてた事が嬉しくて、会えなくても互いを思ってたのが分かる。
時計を見た真弓さんは案の定、神楽の事を心配して、新八の家に泊まってると聞いて安心していた。
「………俺、泊まっても良いっすか?」
「仕方ないなぁ。夜も遅いから心配だし、泊めてあげる。」
そう言って微笑む真弓さんが、突然、あ!と声をあげる。
「お客さん用の布団無いや…。銀時君、ベッドで寝て?私、床にダウンとか引けば痛くないし。」
「何言ってンですか。俺がベッドで寝るなら真弓さんもベッドでしょうが。…ほら、おいでおいで?」
ベッドに腰掛けて手招くと、私の家なのに…、とぼやきながらも真弓さんは俺の横に座った。
ギシッと軋んだベッドの音にドキリと心臓が跳ねたが、平常心を装う。
「真弓さん、明日も仕事でしょ?何もしませんって。…信じられなかったら今、追い出して下さい。」
「ずるい…。ずるいなぁ、銀時君は…。信じてるから泊まって良いよ。ううん、泊まってください。」
こてっと真弓さんの頭が俺の肩に置かれる。
…こりゃ、マジで色々我慢しなきゃなンねェな。


ベッドは二人で寝るには狭くて、お互いを抱き締めるようにして眠った。
小さくて、温かくて、柔らかくて、絶対に手離したくない存在。
すれ違うことも確かにあるかもしれない。
けれど、きっと大丈夫だ。
だってほら、もう俺達は分かってるから。

赤頭巾と狼は共存できる、ってな。


end

 
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -