【媚薬】
 
『銀時殿!これを暫く預かって頂きたい。実は若に見つかりそうになって、』
途中までその手紙読んでゴミ箱に投げ入れる。
それと一緒に届いたバカでかい段ボールの中身を確認して、すぐに蓋を閉めた。

「はあァァアァァ!?何なの!こんなの万事屋に送ってくンじゃねーよ!どうすンだよ、これ!見つかったら俺がアウトじゃねーかァァァ!!」

俺以外誰もいない万事屋に俺の叫びが響く。
いやマジで神楽居なくて良かったわ。
何の為に、俺が自宅兼仕事場にエロい物を持ち込まねェように心掛けてると思ってンだ!
それをお前…、何で柳生ンとこの変態の変態グッズを預かる羽目になってンのこれェェェ!!
「銀ちゃーん!」
「どぅわッ!!!?……お、おかえりィ、神楽チャン。」
びびった…!!
ちょ、コイツいつから俺の後ろにいたの?
見られた?見られてねーよな?
「…何アルか。今何を隠したアルか。酢昆布だったら差し出すヨロシ。」
「そ、そそそれより神楽ァ!?今なにか言おうとしてたンじゃねーの!?」
くそっ、どうして俺の持ち物じゃないのに、こんなに取り繕わなきゃなんねェんだよ!
無理矢理会話をぶち切ると、神楽は思い出したように手を打つ。
「そうそう!そよちゃんがお泊まり会しようって言ってくれたアル!銀ちゃんもどうしてもって言うなら連れてってやっても良いアルよ?」
「あ、…いや、俺は平気だから、うん、女子会楽しんだら良いンじゃねーの?」
「キャッホーゥ!憧れの女子会ネ!銀ちゃんの代わりに姉御誘うアル!!」
「そ、そうね…。うん、楽しんで来たら…?」
神楽はそのまま、タッパーに晩御飯詰めて帰ってきてやるヨ!、と叫びながら万事屋から飛び出して行った。

よ、よし…。
とりあえず、一番心配していた神楽はどうにかなったな。
「やべ、一応新八に今日は臨時休業っつっとくか。掃除任せてっから隠しようねェしな…。童貞には刺激強すぎンだろ、これ。」
もう一度段ボールの中身を見る。
何回見ても、変態が変態行為を行う為だけに存在する、俗にいう玩具の山。
中には銀さんをもってしても使い道が分からねーのもあるぐれェだし、アイツの変態っぷりのガチさに軽く引く。
あー…もう、いっか。
明日のゴミの日に出しちまえ。
全部この世から消す為に燃えるゴミで構わねェよな?
俺は段ボールをリビングから自分の部屋に運び、新八に電話を掛ける。
これで、とりあえず新八は今日は来ねェ。
一仕事終えた俺はいつも通りソファーに寝転がりジャンプを広げた。
ギンタマンを読んでいたら、そのつまらなさに欠伸が出て、俺はそのまま眠りに落ちた。

「……、……っ、銀ちゃんっ!!」
「…?んあ…?……、真弓??」
聞き覚えのある声に現実に引き戻される。
真弓は、俺の顔を覗き込むように立っていた。
「窓開けっぱなしだし、こんな時間にソファーで寝てたら風邪引くよ?」
「…ん、今何時?」
言いながら体を起こして窓の外を見ると、空はすっかり橙色。
どうやら俺は随分と惰眠を貪っていたらしい。
「親戚の叔父さんがお酒送ってくれたの。銀ちゃんと一緒に飲もうかと思って!」
真弓が目の前でガサリと揺らしたスーパーの袋には乾きものやら氷やらが入っていた。
「おー、今日は俺しか居ねェからゆっくりしてけよ。」
「うん。………え?」
途端に真弓の顔が赤くなる。
付き合ってそこそこの長さにはなるが、コイツのこういう反応は未だ健在で俺の加虐心を刺激してばっかだ。
「何を想像したらそんな顔になンの、真弓チャン?…やーらし。」
「ば!ばか!!この万年発情天パ!!」
真弓は大した破壊力も無い捨て台詞を吐いて、台所に消えていった。
「くはっ、相変わらず可愛いねェ…。」
行為中も小動物みてェに震えてるし、未だに恥ずかしがるし、でもいつも俺でいっぱいになって溺れるように息をする真弓が愛しくて堪らない。
台所を覗くと真弓は簡単な料理を始めたようで、俺はそれを確かめた後、自室に戻った。
(神楽も新八も居ねェし、今日に限ってこんなもんが届いた…。)
銀さんってば、いつでも少年の心を忘れたりしねェわけよ。
…せっかく真弓がいるんだし、ちょっと借りても罰は当たンねェだろ。

「しっかし、至れり尽くせりだなー。マジであの変態野郎何に使うつもりだったんだよ…。」
段ボールを引っくり返して、確認しながら中に戻していく。
手錠やらローターやらバイブはまだ良い方で、蛍光色に光る怪しげな液体やら妙な形状の機械は完全に用途不明。
「お!これ、いいンじゃね?」
50mlサイズの瓶に"媚薬"と書かれている液体。
こっそり真弓の酒に混ぜてみっか。
バレたら怒られるかもしンねーけど、本人の意思と逆行して乱れて困惑する真弓とか、想像するだけで臨戦態勢にならァ。
…うん、ちょっと使う方向で決まりだな、これは。
「つーか、何味なんだ?」
俺は開栓してみて、舌先で一舐めしてみた。
「…不味、くはねェけど…。何か人工的な甘さだな…。」
まぁ、媚薬なんつーモンは個人差があって然るべきだし、気分的に少し盛り上がれば良い方だろう。
そう思うからこそ真弓に飲ませる前に味見出来る訳だし、そもそも得体の知れねェモンを真弓にだけ飲ます訳にもいかねーし?
「銀ちゃんー?お酒準備出来たよー?」
台所から真弓が俺を呼ぶ。
俺は媚薬の瓶を胸ポケットに突っ込んでから、自室を出た。
この時の俺は、この媚薬がただの媚薬じゃなくて、あの変態の持ち物だった事を完全に失念していた。

「んー…、酔ってきた…。」
「ちょ、早くね!?まだそんな飲んでねェだろ。…おい、寝るな寝るな。」
ふにゃりと机に体を預ける真弓を見て、俺は慌てて席を立つ。
「眠気覚まし持ってきてやらァ。」
冷蔵庫の前まで来て、取り出すのはいちご牛乳。
これなら多少甘さが上乗せされても違和感無ェだろうし。
コップに注いだ真弓の分に媚薬を混ぜ、俺は間違わないようにパックのまま席に戻る。
…いや、俺が飲んで万が一があったら、…真弓が泣こうが嫌がろうが止めてやれねー気がするし。
(ま、普段から止めてやれてるかと言われっと怪しいもんだけどな。)
そんな事を考えながらコップを真弓の前に置く。
「ほれ、飲め。」
「う?…これ銀ちゃんの?」
「そーそー。お裾分け。」
目がとろんとしたまま真弓は、ん、と返事をしていちご牛乳に口を付ける。
こくこくと喉が上下する。
(えっろ…。)
煩悩を振り払うように、俺もいちご牛乳を胃に流し込んだ。

それから数時間、最初は媚薬の即効性に期待してみたが、真弓に変化は見られなかった。
…ま、そんなもんですよ。
分かってたけどね、銀さんは。
「おーい、こんなとこで寝てっと風邪引くぞー。」
「んー…。」
夕方と立場が逆転したな、なんて苦笑しつつ真弓を抱え上げる。
すると、真弓は俺の首に腕を回して首筋に噛み付いた。
「…んっ、…どうした?」
返事はない。
噛み付くとは言っても、それは限りなく甘噛みに近くて煽られているとしか思えねェ。
「普段ンな甘え方してこねェくせに…。こりゃ、ちったァ効果あったかね?」
「………する。」
「あ?悪ィ、今なんて、」
「……何かムラムラする。」
「!!」
時間差で効いてきたらしい。
「マジでか…。」
「どうしよう、銀ちゃん…。助けて…。」
ここで期待に応えてやらなきゃ男じゃねェわ。
「俺の布団に運ぶけど構わねェよな?」
「……ん。あり、がと…。」
媚薬すげーなオイ。
普段だったら、待って嫌だ恥ずかしい、の三拍子なんだが今日はそれどころではないらしい。
こんな乗り気の真弓が拝める日が来るとは…。

足で自室の襖を開けて、敷きっぱなしになっていた布団の上に真弓を降ろす。
「銀ちゃんの匂いがする…。」
こてっと布団に転がる真弓に背を向けて、大きく深呼吸。
媚薬の効果か、今の真弓はやたら素直だ。
それに自分から俺を求めてきたのも初めてで、もう可愛くて仕方無ェ。
「…あー、真弓チャン?ちょっと今日の銀さんは手加減してあげれそうに無、」
振り返った真弓を見て思わず言葉が止まる。
真弓はいつの間にか体を起こしていて、その周りにはさっきまで着ていた着物や帯、下着が落ちている。
申し訳程度に肌が隠れているが、限りなく全裸に近い。
「ぎんちゃん…ぎんちゃん…っ。」
「ッの!そんな声で呼ぶンじゃねェよ…。くそっ、手加減出来ねェって忠告したからな!?」
着流しをその場に脱ぎ捨て、俺も上半身は裸になった。
向き合って布団の上に座ると、真弓は熱っぽい瞳でじっと俺の目を見つめている。
手の甲で頬から首を滑るように撫でてやると、真弓は気持ち良さそうに目を細めた。
そのまま手を下に降ろし、真弓の胸に触れる。
恥ずかしがりも隠しもしないのは初めてで、どんな顔してンのかと覗き込めば瞳の奥からでも伝わるほど興奮が隠しきれてなかった。
「…っ、煽り過ぎだコノヤロー。」
右手で真弓の胸を掴んだまま後ろに押し倒す。
真弓は衝撃で小さく呻いただけで、抵抗する事は無かった。
(つーか、当たりめーだけど…やらけー…。)
やわやわと両手で真弓の胸を揉んでいると、先端が固くなり始めたのと"銀ちゃん"と呼ばれたのはほぼ同時だった。
「…どうした?やっぱ恥ずかしいか?」
「………ない。」
「へ?」
「っ、足りない…、そんなんじゃ、…も、…我慢出来ない。」
驚いて真弓の顔を見ると目にたっぷり涙を浮かべて辛そうで、媚薬に引き起こされた欲情は真弓のキャパを振り切る程強いらしい。
「銀ちゃんが、……もっと欲しい、の…。」
惚れた女に、こんな涙目で切なげに求められちまって平常を保てる訳ねェって。
ごくりと喉が鳴る音がやけに大きく響いた気がした。
「真弓、…………はい?」
名前を呼んだ瞬間、カチャンと冷たく金属の音が聞こえた。
随分と近くで聞こえたな、なんて思ってたが…それもそのはずで。
「え、ちょ、オイィィィ!?な、なにこれ!どういう事ォォォ!?」
俺の手首には手錠が掛けられていた。
何で真弓がこんなもん持ってンだよ!?
「つーかまーえたー。」
嬉しそうに笑ってるが、どことなく妖艶に見えるのはやっぱ薬のせいか?
「銀ちゃんの手、おっきいなー…、好き…。」
「ッこら…!」
俺の両手を小せェ手で包むように握ると、指先をぱくりと食んだ。
たったそれだけなのに、相手が真弓だという事もあって、下腹部がぞくぞくと騒ぐ。

それにしても、…真弓の様子があまりにもおかしい。
媚薬で気持ち良くなってンのかと最初は思ったが、ここまで本質と違うと酒で泥酔しているのと同じで本人の意思は無ェんだろう。
…それなら話は別だ。
媚薬を仕込んでおいて言えた台詞じゃねェが、真弓が理性的に考えられなくなってンのにつけ込む訳にはいかねーよ。
(本音言えばすげー勿体無ェんだけど!マジで!!)
俺は真弓の上から体を起こす。
「悪ィ…、また今度仕切り直しな?」
「やーぁー。」
嫌々と首を振る真弓に、今すぐ食い散らかしたくなる衝動を抑えて諭す。
「ほら、普段ンな事言わねェだろ、お前。今日はいつもと違うんだって。だから、」
「だーめー…!」
そう言うと真弓はバッと上体を起こし、俺の手錠の鎖を握って、そのまま後ろに倒れる。
普段の真弓の力なんざたかが知れてるが、全体重をふいうちで掛けられると流石に俺だってバランスが崩れる。
「……!っぶね…。」
両手の自由を奪われたまま真弓の上に倒れ込む直前、体を捻ってすぐ横に落ちた。
…危うく真弓潰すとこだったわ、やべ。
「銀ちゃんー…。」
何かに操られるかのように、ふらりと真弓は立ち上がり、俺の腹の上に腰を下ろした。
「…真弓チャン?まずはコレ外してくンねーかなァ?そしたらちょっと銀さんと冷静にお話しましょうかァ?な?」
「銀ちゃんは…そーいう気分じゃない…?」
バカヤロー!もう、そういう気分全開だっての!
なけなしの理性で我慢してンの!!
真弓はお構い無しに俺の手錠の鎖を掴んで、拘束された腕を俺の頭の上に置く。
うぉ、眼前に胸が晒されてるんだが、あぁもう食らい付きたくなンだろーがよ。
何これ、俺試されてる?
「………んー…いただきます。」
「! んぁ、…コラ、くすぐったいでしょーが!つーか、銀さんの言葉は無視ですかァ?」
真弓は俺の唇や首筋に何度も舐めるように舌を這わす。
普段の真弓がそういう事をした事が無い名残なのか、舌先が恐る恐る動くのに決して止めようとしないのが、また俺を煽る。
今の真弓を無理に止めようとも考えたが、どう動くか分からねェ状態で暴れてしまえば手錠が真弓の柔肌を傷付けンじゃねーかと不安になる。
「銀ちゃん、かわいー…。」
真弓は俺の耳元で囁いて、そのままラインをなぞるように舐めた。
それと同時に真弓の指が俺の乳首に掛かる。
いやいやいやいや!やっぱりコレおかしくない!?
考えてみ?
手首拘束されて、耳を舐められて、胸弄られて。
……はい、おかしいィィィ!!
これは俺が真弓に対してやるなら分かるし、正直やりてェよ?
メタ的な事、敢えて言わせてもらうわ。
これ…夢小説だよな?そうだよな??

「銀ちゃん…気持ち良い?」
「っ、…だから、」
「……私、銀ちゃんに欲情してる。止めらんない…。」
「真弓っ…、待て…!!」
真弓は後ろ手で俺のベルトを外して熱を持った俺自身を外気に晒す。
既に熱ィし、固くなってンのも分かる。
…俺だってさっきからずっと真弓に欲情してるっつーの。
「…銀ちゃん…。」
「ンな物欲しそうな顔すンじゃねーよ…。俺も我慢すっから、お前も辛いだろうが我慢、」
「じゃあ、いい…。これ。」
真弓は熱に浮かされたように俺から下りると、すぐまた俺の上に戻る。
何、俺の上に乗ってると安心すンの?
こっちは気が気じゃねェっての。
真弓が手に持っていたのは、ピンク色のローターだった。
やっぱりというか、手錠もこれもあの段ボールにしまい損なったやつか。
「ひとりで、する…。」
「ちょ、まさか…、」
真弓はローターの電源を入れると自分で秘部に当てた。
「っ、ぅ、…あッ、あ、」
薬のせいか普段より真弓の感度が良くなってるのは、かなり前から分かっていた。
腹に真弓の愛液が溢れて、真弓が微かに動くだけでぬるりと滑るからだ。
今も、その液は増える一方な訳で。
ここまで我慢してやってる俺を誰か誉めてくれても良いンじゃないの、ねェ!?
「…ンだよ、そんな姿俺に見せ付けて煽ってンの?それとも、俺が見てた方が感じるってか?…はっ、淫乱なこって。」
なるべく冷静を装って冷たく言い放ったが、あまり真弓には効果が無かったようで、
「はぁ、…んッ、…どっちも、だけど…?あん、ぁ、」
肯定をするその姿さえ妖艶で厭らしくて、堪らない。
「……っ。…まだ足りない。……銀ちゃん。」
「はぁ…。分かった、分かりましたァ!もー、真弓が納得すンなら好きにしやがれ。」
結局、元凶は俺に違いねェし、真弓をこの状態にしたまま我慢しろっつーのも確かに酷な話だよな。
「…うん。銀ちゃんのが良い…。」
「!」
ンな事言われたら、こっちは罪悪感と優越感の板挟みだわ。
真弓はローターを投げ捨て一度腰を浮かすと秘部に俺自身を宛がう。
「え、何、真弓が上なの?手錠外してくれたら銀さん頑張っちゃうよ!?」
「……………鍵分かんないもん。」
「は、はいィィィ!?おま、今しれっと何、……ちょ、待て待て待て!!」
「ふ、ぅあ、…っあ、ん、」
俺の話を聞かずに真弓はすっかり行為に夢中になっちまってる。
これ真弓の一生分の性欲使ってンじゃねーだろうな…。
「今日はまだ慣らしてやってねェんだから、急に挿入たら辛いだろ!?焦んなって…!!」
「…やだ。……待てない…、銀ちゃんっ、…早くちょうだい?」
赤く染まった頬で軽く首を傾げながら懇願してくる破壊力は、冗談抜きにやべェ。
「……お前が言ったんだからな?もう俺も我慢してやれねェぞ。」
「ひゃっ、…あん、あっ、…んぁ、は、」
「っく、…どーよ?お待ちかねの銀さんは。」
「やん、っ、…きもち、いっ…、もっと、…あぁっ、奥、…っんん、」
「マジ、真弓エロ過ぎ…!無理矢理にでも犯したくなンだろうがッ!」
「銀ちゃん、なら、良いよ…。犯して…?っふ、…っあ、ぁ、…ゃあ、」
真弓は俺自身をきゅうきゅう締め付けながら、俺の首元に顔を埋めて舐め上げたり噛み付いたりする。
どっちがどっちを犯してンのか、分かンねーよコレ。
「銀ちゃんっ、…あぁっ、…はぁ、は…、イきそう。」
「おー、イかせてやらァ。っ、そしたら、ちったァ楽になンだろ。ッおら、大サービスだ、イけ!」
「きゃ、っあ、あん、あぁッ!や、激し…、んぁ、…あぁん、あっ、も、イッちゃ…っ、あぁあッ!」
「ぅあッ、ンな絞めたら…ッ!!」
びくびくと蠢く真弓のナカで、俺自身も欲を開放した。
…いや、銀さんだって大分我慢したんだって、これでも。

「…はぁ、…は、……ごちそうさま。」
舌舐めずりをしながら真弓が腰を浮かすと愛液で濡れた内腿に、俺が吐き出した白濁した液が絡むように流れ落ちてくる。
興奮が覚めないのか息は微かに乱れていて、目も蕩けたままだ。
(絶景だな、こりゃ。)
真弓は俺から下りるとスルスルと俺のズボンとトランクスを脱がせ始めた。
「きゃー、真弓チャンのエッチ!!」
なんて物真似は真弓に完全に無視されて空気に溶けて消えた。
今更汚れようと関係無いだけに不思議に思っていると、真弓が少し開かされた俺の足の間に座る。
「…私ね、…いつも銀ちゃんのが私の中に入ってるの、気持ち良いの…。」
「真弓?」
「銀ちゃんと厭らしい事するの、…好き。」
「!!」
媚薬様ありがとうございまァーす!!
言葉責めしても、どんだけ誘導しても、絶対に真弓が言わない言葉を自発的に言わせるとは…。
「だから、ね…。」
真弓はいつの間にか左手に極太のバイブを握っていて、右手にはローション。
「銀ちゃんにも気持ち良くなってもらいたいなぁって…。」
充分すぎる程ローションでぬるぬるになったバイブを指先で塗り込むように撫でる真弓の姿は、それだけでヌけるぐれェ扇情的だった。
くちゅくちゅと粘り気のある水音が響く。
「じゃ、もっと足開いて?」
「………………は?」
「銀ちゃんの気持ち良いとこ、見せて?」
「あああ、あの、真弓?尻にぬるぬるしたバイブみたいなモンが当たってンだけど気のせいだよな?な!?」
「大丈夫。すぐに悦くしてあげるからね。うふふふ。」
「いや、嘘だよね?冗談だよね?そこは出す所であって、ぬるぬるのバイブ入れる所じゃないからね?…真弓?真弓チャン?真弓様?後生だから、」
「優しく抱いてあげるね…?」
微笑んだ真弓を見て可愛いとか思う余裕もなく、それが俺の尻に侵入して思わず叫ぶ。
「ぎぃやぁぁあああぁぁ!!!!」


「おはよー、銀ちゃん。昨日もしかして布団まで運んでくれた?全然覚えてなくて…、台所の片付けもありがとう。」
「お、おぅ…。何かごめんな…。」
真弓はキョトンとしていて、どうやら昨日の記憶は残ってないらしい。
誤解の無いように言っとくが、俺の尻は無事だ。
(いや、先っちょだけ入っちまったけど…。)
必死で暴れたら所詮プレイ用の手錠、すぐに壊れてくれた。
…壊れなかったら、銀さん完全に犯されてたわ、あっぶね。
真弓には悪ィけど、久々に人を手刀で気絶させた。
俺が薬で真弓をおかしくしちまったのに、意識を絶たせるとか…、最低だな、流石によ。

「真弓。ゴミ捨てしたら、デートすっか?今日はうんと甘やかしてやるぞォ?」
「えっ、どうしたの?…う、うん。銀ちゃんとデートするのは楽しみだけど。って、これ何ゴミ?」
「燃えて燃えて消火の仕方に困るゴミってとこだな。俺の手にゃ余るわ。」
「ふーん?じゃ、さっさと捨てて出掛けよ?」
俺に笑い掛ける真弓の笑顔からは妖艶さが抜け、太陽のような朗らかな印象を受ける。
…どっちも好きだけどね、俺は。


後日、柳生ンとこの変態が段ボールを引き取りに来たが、手違いでゴミに出されたと伝えておいた。
…あ、あの媚薬はどこで手に入れたか聞いときゃ良かったな。


まだまだ俺の知らない真弓がいると思うと、もっともっと知りたくなる。
ひとつ確実なのは、俺はどんな真弓も堪らなく好きだって事か。
とりあえず、今日はでろでろに甘やかす。

…また媚薬使う時は、用量に気を付けねェとな?


end

 
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