もうすぐ三年。
どうしたら手に入るのかと考えていた。
少なくとも、この三年間は我慢しようと思う程には理性的だった。
だから、三年目、俺の担当クラスにお前がいたのは想定外だった。
物理的に会う回数が増えたのは、俺にとって幸運じゃない。
「(欲しい。今すぐ、欲しい。)」
「(焦るな。確実に手に入れろ。逃がさない。)」

そうして時間は過ぎ、季節は間もなく、冬─。

【狂愛教師】

有村真弓は、３年Ｚ組の一人だ。
濃過ぎる生徒だらけに囲まれたせいで影は薄い。
いや、この環境が特殊なだけで、有村は過不足なくクラスにも馴染んでいるし、それが普通なんだろう。
１年時と２年時は俺の担当じゃない。
けど、その頃から有村の事は知っている。
ひと目見た時から、運命だと思った。
こんなのは初めてだった。
見た目、仕草、内面を知っていくとさらに夢中になった。

「先生、今朝の小テスト回収しました。」
ホームルームを終え、また騒がしくなる教室の中で、有村は俺の横まで来てプリント束を手渡す。
この距離まで近付いてくるのは、大きな声を出しても喧騒に掻き消されると学んだからだろう。
「ん、悪いな。」
俺がプリントを掴むと同時に有村は頭を下げてサッと自分の席へと戻っていく。
嫌われてはいないんだろうが、好かれているとも思いにくい。
まぁ、俺みたいな教師が、真面目な有村にウケるとは最初から思ってはいないが。
(良い匂い…美味そう…。)
無意識に喉がごくりと鳴った。
触れたい。撫でたい。脱がせたい。舐めたい。噛み付きたい。縛りたい。犯したい。
朝っぱらの学校でそんな事を考えてる教師がいるなんて誰も気付きやしない。

立場は理解している。
有村は俺の生徒で、俺は担任の教師だ。
何かあって良いわけない。
ふいに触れたプリントの下部に違和感があった。
(このプリントよれてる…。有村の手汗か…。)
俺は知らないうちに口角を上げていた。
「ははっ…、可愛い…。」
教師と話すの緊張するんだ？
本当に有村の小動物のようなところ、加虐心に刺さる。
(あの瞳を俺だけで埋められたら…。)
それには、有村が卒業するまでに"どうすれば卒業後に有村を俺に繋ぎとめておけるか"を考えなきゃいけない。

「見て見て！この前の模試が良かったから買ってもらっちゃったぁ！」
クラスの女子が周りに自慢する声が教室中に響く。
(目立ちたがり屋で派手な部類、有村とは対照的だ。)
その手には、真新しい財布が握られていた。
俺にはよく分からんが、どこかのブランド物だという事だけは察した。
「素敵！それ私も欲しいけど、お小遣いで買うには厳しいのよねぇ。」
「お妙さんッ！！クリスマスという聖夜に勲サンタがプレゼントするので結婚しましょうッ！！！」
「話に入ってくんじゃねぇぇぇ！！！」
志村姉と近藤はいつも通りのコントを繰り返す中、クラスの女子のほとんどがその財布に興味を示していた。
「その財布を売れば酢コンブ何箱分になるアルか！？」
神楽だけは他とは違う興味の示し方だったが…。
有村は遠くからそれを眺めている。
(財布なんかに金掛ける心理は全く分かんねェな。)
最近の女子高生は流行りに敏感で大変だなと思う。
…有村も、あの財布が欲しいと思ったりするんだろうか。
そんな事を考えながら、俺は教室を後にした。


そして、事件は放課後に起きた。


「無い…！私の財布が無い…！！」
今朝とは違う騒がしさ。
生徒だけではどうにもならないと俺を呼びに来たのは土方だった。
「何、何の騒ぎ？」
「今朝見せびらかしてた財布が鞄から消えたんだと。」
「へぇ…。」
そんな高価なモン学校に持ってこなきゃいいのに、と内心思ったが、それを飲み込み、クラス全員を着席させた。
「その財布、いつ無くなったか分かるか？どこかに置き忘れたとか、心当たりは？」
「分かんない…。ずっと鞄にしまってたし…。」
半泣きになりながら女子生徒はそう答えた。
この様子だと自分から財布を移動させた訳ではないらしい。
「んー、移動教室の時に盗られたかもしンねェな…。一応、全員自分の持ち物が無くなってないか確認しろ。他にも財布盗られた奴いたら困るしな。」
俺の指示に従い、各々机の上に鞄を置いて、無くなった物がないか確認を始めた。
「先生ー！私の酢コンブが二箱無くなってるネ！！」
「はーい、先生それはどこに消えたか知ってまーす。お前の胃の中だよ！！見てたぞ、俺の授業中に貪り食ってンの！！」
「先生、俺も鞄にしまっていたマヨネーズが、」
「お前もだよ！！自分の行いをきっちり振り返りやがれェェェ！！」
緊張感の無い奴らだと呆れるが、これはクラス内に犯人がいる訳がないと思っているから出るボケだ。
(そうだよな。どうせ教科書の間に挟まって見付からなかったとか、冷静に探せば出てくるに決まっている。それは、クラス全員が思ってるだろうよ。)

ふと有村に視線をやると、顔色を悪くしていたのに気付いた。
「有村？体調でも悪いのか？」
「ッ！！」
ゆっくり近付くと、有村はビクリと体を震わせて鞄を抱きしめた。
「もー！皆ちゃんと心配してよー！」
「違うクラスには見せに行ったりしてない？」
クラス中が騒いでいるから有村の異変には誰も気付いていないようだ。
「…有村。」
小刻みに震える有村の手から鞄を取り上げ、その中を確認した。
「………。」
見付けてしまった、あの財布だ。
有村は目にいっぱいの涙を溜めて俺を見ている。
俺は大きく溜息を吐いて、小さい声で言った。
「はぁ…。有村、あとで話をしよう。帰る前に国語準備室に来なさい。」
「はい……。」
有村の力無い返事を聞いて、俺は財布を白衣に隠して有村から離れた。
「他の奴は鞄の中、異常無しだな？…こういうのは他人が探した方が見付かンだよ。先生に貸してみ？」
女子生徒の鞄をさっと引ったくり、教卓に向かうようにして背を向ける。
そして。
「オイオイ、やっぱりな。教科書の下に埋もれてたぞ。ちゃんと確認したのか？」
生徒の方を振り返り、鞄に戻した財布をさも見付けたかのように振る舞う。
「えっ、嘘…。やだ、騒がせちゃってごめんなさい…。でも、見付かって良かった…。」
安心したのか泣きながら喜ぶ女子生徒に、貴重品管理はしっかりな、と伝えて解散になった。


「失礼します…。」
それから数十分後、有村が国語準備室に来た。
「ん。入って。」
俺は有村が来るまで採点していた答案用紙を裏返して、有村を真っ直ぐ見た。
目線は合わない。
有村は俯いたままドアを閉めて動かなくなった。
俺は椅子から立ち上がり、有村の肩に手を置いて移動を促す。
こんな入り口にいたら、話が全部漏れてしまう。
さっきまで自分が座っていた椅子に有村を座らせ、本題に入る。
「…で、どうして財布なんか盗んじまったんだ？」
「………。」
有村は返事をしない。
まだ俯いたまま、両手を握りしめて少し震えていた。
何かを言おうとして薄く開いた唇をじっと見つめる。
(触れたい、きっとすごく柔らかい…。)
有村は浅く息を吸って、弱々しく言った。
「…盗んで、ません…。」
それだけ言うと、また黙った。
意外だった。
謝ると思っていたから。
「じゃあ、何で有村の鞄に他人の財布が入ってる訳。」
少し強めに言えば、ビクリと肩を震わせながら有村は答える。
「それは……。」
やっと目が合ったが、俺の顔を見るなり、また言葉を詰まらせた。
怯えた表情が堪らない。
(一体俺は今、どんな顔でお前を見てンだろうな。)
暫く待ってみたが、有村がその続きを言う事は無かった。

俺はわざとらしく大きい溜め息を吐いて有村に言った。
「あのさ、この時期に問題起こす事の意味分かってる？…せっかく、推薦受けられるはずだったのになァ？」
「！？」
驚きに大きく目を見開く有村に冷たく言い放つ。
「出来心なのかもしンねェけど、理由を話してくれなくたって、お前の鞄から財布が出てきたのは事実だし。教室では庇ってやったけど、一応盗みは立派な犯罪だからな。」
「そんな……。」
ついに有村は泣き出してしまった。
(泣いた顔も、可愛い…。もっと、泣かせてみたい…。)

そう思った瞬間に、何か、回しては行けない歯車の回る音がした。
けれど、止められない。

「黙ってやっててもいいよ。」
「っ、本当、ですか…？」
有村の瞳に僅かに希望が灯った。
俺の一言一言で有村の反応が変わる様を見て、良くない支配欲が満たされ始める。
(そうか、俺の掌に有村の未来が握られてンのか。)

本当はここで帰してやるのが正解なのは分かってる。
分かって、いる。

「あぁ、黙っててやる。…その代わり、有村も黙ってろよ？」
「え、」
返答を待たず、俺は有村を抱き上げ、机の上に乗せた。
採点途中の答案用紙がバサバサと宙を舞った。
「せ、っせんせ…、！」
状況が飲み込めない有村は身を捩るが、俺に押さえつけられて実際には少しも動けていない。
「今から犯す。」
耳元で低く囁やけば、この状況を嫌でも理解せざるを得ないだろう。
そのまま耳朶に舌を這わせて、右手をセーラー服の中へ突っ込んだ。
「ゃ、やめ…、」
「やめない。」
ブラをずらし、柔らかな胸に触れる。
「あっ、んん、っ」
「今感じてンのは、胸？それとも首？」
有村の首筋に浅く歯を立てたり、痕が残らないように吸う。
「ふ、乳首立ってきたな。悪かねェみてーで安心した。」
そう言うと有村の顔は羞恥で真っ赤になった。
(いいねェ、ずっと見てみたかった顔だ。)
大声を出されたら解放するしかないかと思っていたが、進路の事が効いているのか有村が声を上げることは無かった。
(エロい啼き声も聞きてェけど、まァ及第点だな。)
セーラー服を目繰り上げ、散々感触を楽しんだ胸をじっと見下ろす。
それを制したいのか、有村は自由になった手で俺の腕を掴んだが、か弱すぎて意味を成さない。
「いただきまーす。」
「やだっ、…おねが、っ、せんせぇ…」
国語準備室は、声にならない有村の吐息と、有村の胸を堪能する俺の唇の音で満たされる。
首筋では気を使ったが、ここなら幾ら痕を付けてもバレやしない。
有村が俺の手に堕ちた記念にたくさん印を残しておこう。

一頻り堪能した後、有村の顔を見ると呼吸が乱れて薄く開いた唇から唾液が伝っていた。
俺は避けられない様に有村の顎を押さえて舌先で唾液を舐め取ってから言う。
「何、もうバテちゃった？もうちっと付き合ってくれねェと黙っててやれねェんだけど？」
「っ…私、…やってない…、」
「……。はぁぁ、理解力低いんだなァ。お前が何を言ったところで無罪にはなりゃしねェの。…進路もそうだけど、親や友達はどう思うだろうな？今までみたいには生きていけないだろうなァ、可哀想にィ。」
少し大袈裟なくらい酷薄に嘲笑ってやると、有村は言葉を失って黙り込んだ。
綺麗な瞳が絶望で濁るのも、そうさせたのが俺だという事実も堪らない。
「いい？有村。俺はね、大事な生徒の未来を心配してンの。お前に幸せになって欲しいの。でも、罪は償わなきゃ、だろ？」
言いながらむき出しの脇腹を指先でくすぐる様に撫であげてやる。
有村は俺の機嫌を損ねないように反論せず耐えているみたいだったが、ビクビクと身体が跳ねてしまっていた。
(良い反応…。可愛い…可愛い…早く犯したい…。)
俺は脇腹を触っていた手を素早くスカートの中に突っ込んだ。
太ももを撫で上げた時、必死にスカートを押さえて抵抗しようと有村の両手が伸びてくる。
俺は片手で有村の両手首をまとめて捉え、そのまま何事も無かったようにスカートの中を弄った。
(細ェ手首…、こんなんで俺を止められると思ってるなんて健気だねェ…。)
鼠径部を撫で上げる頃には、再び有村は抗議の声を上げてきた。
俺が最後まで止まる気が無い事を確信したからだろう。
「も、…そこは、っ……、」
「そこは？じゃあ、こっちなら良いンだ？」
指をずらして下着に触れ、その中央を割れ目に沿うように何度も往復させる。
「ひっ！ちがっ…、あッ、こ、擦んな、いで…！」
足を閉じようとしてきたのを体をねじ込む事で阻止する。
捉えていた有村の両手を解放してやり、そのまま有村の片足を持ち上げ、俺の肩に乗せさせた。
足が閉じられなくなった有村は身を捩って逃げようとするが、場所も体勢も味方する事はない。
有村は自由になった両手で俺の肩を押し退けようとしたが、敵わないと理解して自分の口を塞いだ。
「汚れんの嫌だろーし、脱がしとくな。」
俺は手早くショーツに指を掛け、片足から外す。
有村は小さく悲鳴のような声を上げたが、その後はただ震えるだけだった。
(流石に濡れちゃいねェか…。)
俺は有村の秘部に顔を近付け、その芽に舌を這わせた。
「ッ！！？」
有村は声にならない悲鳴を上げた後、上擦った声で言う。
「っや、やだやだやだやだ！先生っ、やめてください…っ！」
俺の行動に驚いたのか、有村は俺から逃れるため、今まで以上に焦ったように身を捩り始めた。
それでも、普段受ける事のない刺激に有村の身体が幾度も跳ねる。
「やだって言っておいて、そんなキモチイイの？」
「…違、っぁ、…、」
行為を続けながらも有村の表情をちらりと見ると、その頬は羞恥で耳まで真っ赤になっていた。
(最高…可愛い…。)
加虐心で腹の辺りがゾクゾクしてくる。
蜜壷に指を指し入れると、奥からじわりと愛液が溢れてきたのが分かった。
(やっぱ処女かね…。指一本でこの狭さなら、ちゃんと解さねェとキツそうだな…。)
最後まで犯すつもりでいたが、有村の初めては丁寧にじっくり味わいたい。
「有村、今日はイキ顔見せてくれたら終わってあげる。…頑張れるよな？」
抜いた指に絡まる愛液を有村に見せつける様に舐め取る。
「先せ、い…。むり…、ゆるして…っ」
「ククッ、拒否出来る立場だとでも思ってンのかよ。」
俺はもう一度秘部に指を這わせて敏感な部分に強めの刺激を与えてやった。
「ひぐっ、…あ、あ、…やだ……んんッ」
呼吸が荒くなるのを至近距離から見下ろす。
その表情はずっと見ていたくなる程に扇情的だった。
嫌がる有村の言葉とは裏腹にどんどん溢れてくる蜜に指の滑りが良くなり、さらなる快感を与える。
「あぁッ、も、…だめ、っ」
「もうそろそろイキそ？…コラ。イく時はちゃんと先生の目を見ながらイキなさい。」
背けようとした顔をこちらに向かせ、固定するように顎を押さえる。
有村は何とか堪えようとしたみたいだったが、直前でぎゅっと目を瞑り達したようだった。

「あーあ、先生の指でイッちゃった。有村はいけない子だねェ。」
ぐったりしている有村に話しかけながら、白衣のポケットから携帯を取り、有村に向ける。
「せんせ………？」
「あ、そのままでいいから。ハイ、記念撮影。」
「！」
有村が慌てて身体を起こしたのと、俺が携帯をしまったのはほぼ同時だった。
俺の様子を伺いながら、有村は言う。
「消して…は、くれないですよね…。」
懇願と諦めが混ざった表情。
返事が出来なかったのは見惚れていたからだが、有村は肯定の意味で受け取ったようだった。
下着を履き、服装を整えながら有村は弱々しく言う。
「あの、これで先生は黙っててくれるんですよね…？」
「………黙るって何を？」
「っ！私の進路は大丈夫かって聞いてるんです。」
「………は？何言ってンの。お前の進路が大丈夫かは、お前の頑張り次第だろ？」
決して"黙ってやる"とも"大丈夫"とも言い切らない俺の態度に、有村の表情は悔しそうに歪む。
罠にハマったと気付いても、もう遅い。
「さて、先生は残りの仕事するから、有村はもう帰りなさい。

……あぁ、心配しなくても進路の"相談"の続きは、また明日、な？」

真っ直ぐに有村の目を見て言ってやる。
有村はそのまま暫く立ちすくんでいたが、それ以上の答えを得られない事を理解して、閉口したまま帰って行った。



「ッく、…はぁ、はぁ、…真弓、っんぁ、…」
有村が帰った後、自慰の為に鍵をかけ直して有村で抜いた。
思えば有村に触れたそばから完勃ちしていたし、よく踏み留まったもんだと自分を褒めてやりたい。
(くそっ、フリじゃなく本当に写真撮ってやりゃ良かったな…！)
先程までそこにいた有村の身体の柔らかさや熱を思い出しながら、欲でぬるぬるになった自身に強い刺激を与えていく。
「はぁっ、…真弓っ、はぁ、…真弓、ぁあ、…ッ！」
想定よりも早くイッてしまった。
「クッ、はは…。こんなに出てンのに萎えきらねェとか…。」
白濁でどろどろになった両手を見ながら、それで有村を汚したいという欲で頭が支配される。
(三年我慢してたのにな…。もう抑えらンねェわ…。)

身形を整え、散らばった答案用紙を揃えながら、頭の中ではいつもの声が響く。
「(欲しい。もっと、欲しい。)」
「(焦るな。確実に手に入れろ。逃がさない。逃がしたりしない。…絶対に。)」
我慢は今日で終わりにしよう。
一度踏み外してしまえば、もう元の道へは戻れない。
"どうすれば卒業後に有村を俺に繋ぎとめておけるか"。
ずっと悩んで、悩んで、諦めかけて、悩んだ。
…簡単だった。
今のうちに有村の心を折って壊して、俺に縛り付ければ良い。
「明日からが楽しみだなァ…真弓…。あははははははは！」

無事に卒業出来るように、先生が見守ってやるから、なァ？


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