空契 | ナノ
50.歪んだ国のアリスのように (1/5)

   
   

「このモノガタリはー、そろそろ、ねぇ?」

幼い声が響く。
足元で呻き声が聞こえたとしても、知らぬことだ。
幼き声は、楽しげだ。
この先の物語を渇望するように。
弾んだ声で、
まだかまだかと、
瞳を輝かせ、急かすように。


「動きだすかなぁー?」


この歪んだ物語を。


「───ねぇ、──」


求めた、純白。


    

  
まさかこんな事になるなんて、誰が想像できたのか。

   
    

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