1.世界が始まる (2/4)
不意に、自分の携帯電話が鳴り響いた。
その言い方だとホラー的な要素を感じるが、そんな雰囲気をぶち壊す為に設定したかのように……ポケモンアニメのオープニング曲の「OK!」のサビが流れる。好きだ。愛してます。
ポケモンは癒されんなぁ……なぁんて、呑気に思いながら、最後ともいえる気力を振り絞る。
机の上に置いてある携帯に手を伸ばし、通話ボタンを押した。着メロが消えて一瞬だけこの部屋に静寂が戻る。
それから変わりに、青年の声が聞こえた。
明るく聞こえる、声。
《もっしもーし?
おっひさー、レオちゃーん?》
無駄に明るくて、大分聞き慣れていたけど、懐かしく感じる声だ。
その声に、俺は目を閉じる。
「…、
…おはよー……縁(ユカリ)ー…」
────彼が、
親友のユカリが、自分に電話をよこした事に正直、驚いた。
彼はハーフで、今まで外国に住んでいたという過去があり――――って、そういう情報は今はどうでもいい気がする。
とりあえず、彼は様々な理由から俺に電話をする事は、最近は無かった。
それ故、突然の電話に少し驚きながらも、落ち着けるユカリの声に脱力感を覚えた。
ごろんと床に寝転がりながら天井を仰ぐ。
………あれ、今…おはよう、か?
《おはよー………って……、
おま、今、夕方だぞー?》
ああ、やっぱりと、引き攣った笑みで苦笑した。
ちらりと窓に視線を送れば、カーテンの隙間から零れる光は赤く輝いている。紛れもなく夕陽。
《まさか………、
今起きたのかよ? レオ》
「はは………ごめーとー…」
因みに、今日は平日。月曜日だ。
学校が記念日とか、夏休みだとか、そんな訳はなくて、普通に授業もある。
今起きたのだから、寝坊だ。
うわぁ…あっりえねぇ、自分…。
《…?
あれ……レオ…、お前、風邪引いたか?
元気ねー?》
力ない、俺の声に疑問を感じたのか、ユカリは不思議そうに尋ねてくる。
相変わらずの彼の心配性に、思わず笑みが零れた。
《ちゃんと飯食ってっかー?
掃除してっかー?
ポケモン育ててっかー?》
「……オカンだな、ユカリ。
つーか、ポケモン関係ねーじゃん……」
《関係あんじゃん。
レオ、ポケモンゲームやんないと……ほら、弱るじゃん?》
「あーうん…否定はせんが…、
……だから、疲れてんのかなぁ……」
「あー だからかー」なんて、絶対間違っている事を受け入れて納得してしまう。
そんな俺はきっと疲れてるんだろうな……。
神経が完全にマヒしてしまっている俺はDSを掴み、電源を入れる。
カセットは、ポケットモンスターのプラチナ。5週間前に発売し、勿論当日に手に入れた。
イェス、ポケ厨ですとも。可愛いよな。ピカ一族。
今回の御三家も最高でした。ヒコザルを選びましたが、ナエトルもいい勝負。
ってなんのはなしだし。
*← →#
2/4
back top