空に舞う紅葉 (1/8)
今日はなんてツイてないんだろうと、最初ばかりはモミジも思った。
そもそもの事の発端は、モミジが海帝、草眞、翔也、鋼貴達とはぐれてしまった事だ。
いや、厳密に言うと、海帝と草眞が恒例となってしまった喧嘩を始め、八つ当たりを受け翔也がオロオロし、3人を宥めようと鋼貴が意識をそちらに向かわせた時、
ちょうど可愛らしい小さなピチューが、何故かひとりでぽてぽてと歩いていたのをモミジが見付けてしまったのが、事の発展か。
キョロキョロと何かを探しているような、その可愛らしい姿にきゅんとしてしまったモミジは、思わずその子を追ってしまった。
それは仲間たちが喧嘩に巻き込まれなければ、絶対に気付き、食い止められていた事で、ピチューが通りかかったのがそのタイミングでなければ、きっと起こり得なかった小さな出来事。
この出来事がなければ街ですれ違っても、きっと藍色の少女は橙色の少女とは関わりを持たないようにしただろう。
藍色の、その少女はそんなものだ。
橙色の、その少女はだからこそ、彼女に出会う。
関わらない筈の運命のど真ん中で、
とりあえずモミジは、薄暗い路地裏で男達に囲まれ、なんでこうなったと呻いてみた。
*←
→#
back top