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海幸さまから (1/3)

<以下、海幸さまのメールから抜粋>


いつも楽しんで読ませてもらってます。

『空し契り』の一読者の海幸です。

本編とまっったく異なっております故に、レオ以外の名前は漢字表記にしております。


※例1)アイクはツンデレ+ヤンデレになっております








ごろつきつぶしという名目のもと行っている喧嘩で負けたのはかなり久々だった。




いつも通りの喧嘩だった。

気を抜いたわけでも、相手が強かったわけでもない。



ただ、…月に見とれてしまったのだ。

こんな狭い路地裏に、光が届くなんて事は滅多にない。

月は太陽に近寄られすぎても、遠すぎても光を放てない。

適切な距離感を保ち続けることができない関係。

波があって、どうしようもない関係。



そういうものが、なぜか急に、愛おしく思えたんだ。

ぼろぼろになった手を空に向かってのばすと、消え入りそうな月が目を細めて俺を見る。


「あ……水心さんにしかられそー…カステラは買えないし」


あのときはちょっと怖かった……

カステラ様々のおかげで助かったが、いまはそうはいかない。

草木も眠る丑三つ時に開いている店なんかあるものか。

しかも今回は負けているため、酷くぼろぼろだ。

意識もあるし、人間相手だから、プテラ騒動ほど酷くはない。

ただ、骨は結構折れている気がする…。(汗)


昔から怖いものは地震雷火事親父っていうだろ←

いや、水心はおとんだよ。

親父じゃないけどサ……あ゛ー……コワい。


冷たい冬の風が頬をかすめた。

コートは忘れてしまったから、寒さが身にしみる。

子供体温でもこれはきつい。



でもまあ、舗装されてない分まだましだと思う。

雪も降ってない……あれ、俺はこんな運がいいやつだっけ?

などといつも通り??の思考回路で空を見る。

星が見える夜空はキモチワルイ。っていうやついたな〜


俺は、そう思わないけど、夜空が藍色なのは当たり前。

夜空は色を失わない。

星が散らばろうと、月があちこちを見渡していようとそっぽ向いていようと、藍色であり続ける。





ーー藍色………

『…もし、だ。
 てめぇが失望させるような事したら、
 俺は迷わずてめぇを…殺す』


契ったのだ、あの藍色に。あの揺らぐことがない意志に。

だから、俺は勝手に死ぬ訳にはいかない。生きなくては。




約束を、約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を約束を守らないと。早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く…………

警鐘が鳴り響く。


分かっている。分かっているから黙ってくれ。

ノイズから逃れようと、動こうとするが、あまりの痛さに動けない。

動かそうとすると、ギシリと嫌な音が立ちそうだ。それでも




帰らないと。あの場所へ。ああ、伸ばした手は月に届かない。


   


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