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舞台上で踊らされた 〔 1/2 〕




探す。


と言ってもなぁ……。
いざ冷静になって考えてみれば、僕はそれがかなり無謀な事に気付いた。

きっとそのレオという子はシンオウ地方から出る事はまずないと思うが、されどシンオウ地方。
この広い地で探すのは難しいのでは?
ゲンのように波動が見えれば少しは楽かもしれないが────どうしたものか。
ゲン曰く、レオという子は凄まじいバトルの才を持ちながらもジムは回らないらしいし、ジムをしらみ潰しに当たるという手も無理そうだ。

ならば、僕ができる事は─────………、


「根回し、かな」


御曹司という立場を使って、様々な人に根回しをする。これだ。
パーティーという人が集まる場を使ってもいいかもしれない。「“碧眼のキモリを連れた、藍髪で左目に眼帯をした少女”を探している」って。
あ、これは中々良い考えかも。

その呟きを聞きながら僕を乗せて空に羽ばたいていたエアームドが「……シャアァー…」と何やら呆れ顔で鳴いていたが、何て言ってるのだろう。
………「権力乱用…」かな。多分だが当たってる気がする。
無言微笑んでエアームドの頭を撫でた。
ゲンは波動使いだから、同じ波動ポケモンであるルカリオとの意思の疎通は簡単だ。
そして、波動ポケモンじゃなくても感情などは読めるらしい。

僕も長い付き合いである、このエアームドを初めとした仲間達の感情は何となく分かる。今は、呆れている。
けど、言葉は分からないから、ゲンが心底羨ましい。

────話が逸れた。
僕は軽く息を吐いて、前を見据えた。
澄んだ水色の空を浮かぶ白い雲を貫いて進むエアームドが僕を見上げた。


「………シャァア?」


今は何と言ったのだろうか。疑問系なのは確かだけど。
分からないが、多分こういう事だろうなと目星をつけて僕は頷いた。


「……うん、とりあえず何処かで降りよう。

あ、勿論大きな街は駄目だよ」


大きな街にエアームドで降りたら、色々面倒だ。
僕は仮にもチャンピオンで御曹司だ。その肩書きのみならず、この容姿が目立つものだって自覚はしている。特に、女。
大騒ぎになるのだけは御免だ。

だから、此処から一番近い町とか村に降りようね。そう言ったら、少しエアームドは高度を落として短く鳴いた。
何となく下を見ると、小さく見える陸地。遥か下に存在する町が見え、思わず笑みを緩めた。

風を切って大空を渡っていた僕等の丁度進行方向の真下に、クロガネシティが見えたのだ。

クロガネシティは良い町だ。
石が沢山埋まってるし、あの町の住人とも話が合う。何より、ミーハーも人も少ない。
そういえば、ヒョウタとも地下通路の探索を約束してたんだった。今度こそ果たさなければ。


「…じゃ、そうしようか。エアームド」

「シャァアン」


了解、なんて声が聞こえてきた気がして、僕はもう一撫で、エアームドの美しい鋼の翼を撫でた。



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