突如クロガネタウンを襲ったのは、プテラだった。
何者かに操られているのだろうかと仮説をたてた僕は、彼女………レオにプテラを任せ、僕自身はその操っている犯人を捕まえる為に動いた。
まさか犯罪者を女の子に任せる訳もいかないので、この配分になったのだが……、
僕はフードを目深に被った誰かをことごとく逃がしてしまい、
更にレオはプテラを捕獲したものの重傷を負った。
僕はそれがとても怖くて、申し訳がない。
そのプテラ騒動後、すぐにレオは意識を失い、PCに担ぎ込まれた。命には別状がないと聞いて泣きそうになるほどほっとした。
彼女を見ていると、心配になってくる。
いつの間にか消えて、果てていなくなってしまうんじゃないかって。
確かめるようにその肩に触れてみても、彼女の体温は低くて、分かりにくい。
でもここにいるはずだからと、自分に言い聞かせていた。
ポケモンの力を借りつつ復興作業を行っていたら既に辺りは真っ暗になっていた。
夜、10時くらい。
復興作業は1日である程度すんだ。ポケモンの手助けはやっぱり助かる。明日には終わるだろうか。
休憩にしようとPCのロビーに入った時、僕はジョーイさんに声をかけられた。
お疲れ様です、と言われ、お荷物が届いております、とも言われ、僕のいつも嘘ばかり張り付けていた表情が意図も簡単に綻んだ。後者の言葉に、だ。
受け取って僕は名義と中身を確認すると、そのまま僕の部屋のすぐ隣にあるレオの部屋へ向かった。
……そういえばなんでこんなにも近い部屋なのだろう。謀ったつもりなど一切ないのだが。
「帰れ」
「………まだ用すら言わせてもらってないんだけどなぁ」
レオが借りている部屋に行くと、出迎えてくれたのは眉間深いに皺を刻んで殺気を惜しみ無く送ってくれるアイクだった。うん。予想してたけどいらないなぁこのオプション。
僕は彼に嫌われていると再確認をして苦笑する。悲しくはないし、仕方ない事だと思う。
でも申し訳ない気持ちもある。
あれは僕が悪いのだから。
僕が馬鹿だっただけだ。
「何の用だツワブキ」
「…苗字で呼ばないでって。
僕は君に用がある訳じゃなく、レオちゃんに用があるんだけど…」
「知るか帰れ」
「おーい、アイ君やい。
俺への客を追い払わねーでくれよ」
不毛なやりとりをしていたら、奥からレオちゃんがぬっと顔を出した。
立ち上がり、普通に歩いている彼女に少し驚いていると案の定、レオはアイクに何で寝てないんだと殴られていた。
いや、怪我人にその行為は………………レオちゃんがけろっとした顔でアイクに飛び蹴りを食らわせ悶絶させたから、いいのかなぁ。
………あ、まずい。レオちゃんに慣れてきてしまってる。
順応性が早い自分に怖くなった。
こうして僕は、うずくまってぷるぷる震えるアイクを不敏に思いながらも、レオちゃんに招き入れられリビングへと踏み込んだ。