ボクがニンゲンの姿になって四回目の朝…
ボクは鳥がチチチと鳴く声で起きた
悟空の部屋に置いて貰ったベッドから身体を起こしてみると、向かい側の悟空はまだ大きく口を開け寝てた
「キュゥー」
まだ少し眠い目を擦って欠伸を一つ。
最初は自分の意志だけじゃあ上手く歩けなくて、ニンゲンの身体って不便だなって思っていたんだけど、みんなが歩き方とか言葉とかお箸の持ち方とか色々教えてくれたから、今はそんなに不自由だとは思わない。
ゆっくりとベッドから降りて朝日が差す窓へ近寄る、窓から差す日はまだ少し茜色で起きるには早い時間なんだろうなと思った。
窓ガラス越しに空を見上げて、ふと僕は『外へ出てみたい』と思った。
「キュウ」
でも振り返った部屋の悟空はまだまだ起きそうにない
他の四人を起こすにも、まだ多分早い時間だからどうせダメだと言われるだろう…
ゆっくりと鳥が視界を横切った
それを見て、少しだけなら大丈夫だと…少しだけ外の空気を吸って直ぐに戻って来るんだと自分にそう言い聞かせて、僕は依然ぐっすりと眠る悟空を横目に部屋を抜け出した……そして。
「悟空ー、ジープもそろそろ起きないとご飯…」
「ん〜〜〜?何?朝飯?」
「ね…ねぇ、悟空…」
「?」
「ジープ……は?」
「え?」
AM.12:18
漸く目覚めた彼の隣に居る筈の少年は忽然と姿を消していた。
ミモザの初恋
5.まいごになる
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