「ホラよ」


そう言って金蝉は紙束を机に叩き置く


「…何だコレは」
「遅れてた書類だ こっちはあの猿がきて以来休む暇もねえよ こんな仕事他の奴に回せってんだ」
「…楽しそーじゃねェか」
「ざけんな 人に面倒なモン押しつけやがって」
「の割にはいいオトーサンしてるんじゃねーの?」


観世音菩薩のそんな言葉に金蝉は『そんなことより』と呟くと


「西方軍元帥の天蓬という男を知ってるか?」


そう問うて…


「ああ…あの変わり者と名高いキレイな顔の兄ちゃんな……奴がどうした?」
「天界軍上層部の動きに不信を抱いている 頭のキレる男だ後々上層部にとって危険な存在かもしれん」
「…お前さんの友人なんだろ?そんなこと俺にチクっていいワケ」
「あんただから言うんだ 上が何を考えてるかは軍とは関係のない俺の耳には入ってこない だが、ここ最近の不穏な動きは火を見るより明らかだ」
「…残念だが俺にも知らないことがあるんでね 今の時点では何とも言えねぇな」


その言葉に観世音菩薩はそう言って『ただ』と付け足す


「ただ?」
「どうせロクなことじゃねぇだろうさ ま、俺も天界では一責任者だ 飼い犬の躾には気をつけるよ」
「ああ」


その言葉に頷いてから金蝉は『それから』と言って


「『祈りの巫女』を知ってるか?」
「………」


問うた。
その単語に観世音菩薩は一瞬ハッと眼を見開いてから…


「翡翠童子の事か…」
「……翡翠童子?」


観世音菩薩が言った名に今度は反対に金蝉が眉をしかめ……
観世音菩薩は『知らなかったのか?』と問う


「『祈りの巫女』には名前がない『翡翠童子』は呼びやすい様に付けたアダナだ」
「……じゃあ やっぱり悟空が会ったっつてたのは…」
「会った?あのチビが……?」


金蝉の呟きに観世音菩薩は少し驚いた様にそう言って……『そうか』と呟くとフッと笑って……


「これは?」


見た先には秋桜の花が飾られていて……


「あの猿が勝手に飾ったんだよ その辺で摘んできたんだろ」
「ふーん キレイじゃねぇか」


観世音菩薩のそんな言葉に金蝉がその花を見つめながら『そうだな』と呟くと


「…変わったな 金蝉」
「何がだよ さっさと帰れ」


フッと笑ってそう呟く


「いいんじゃねぇの?不変の物なんざつまらないだろ退屈なだけさ」
「………まあな」





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