蘭華に引き取られた私は、それから色々な教育を受け、武術も剣術も習った。
そして……


それは私が十四歳になった頃の事。



『力を持つ者と交わると力を得られるらしい』



そんな噂が天上界に広まった。
噂は噂を呼び、尾ひれがついて……
当時、軍人だった苓徨はその噂を聞き……


「それは…本当なのか?」
「あぁ 何でもソイツは『翡翠童子』っていうアルビノのまだ十四歳頃の少女だけどな」
「……翡翠童子」


何かを思案するように呟いた。



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一方その頃、蘭華は観世音菩薩の元へ翡翠童子を連れて来て居た。
この頃、彼女は蘭華の教育の賜かとても素直で明るい少女に育っていた。


「最近……変な噂を聞くわ」
「噂?」
「ええ…『力を持つ者と交わると力を得られる』って」


蓮池を覗き込む翡翠童子を見ながら、眉根を寄せてそう言う彼女に観世音菩薩は『でも噂だろ?』と問う。


「そうだけれど……嫌な予感がするわ」
「……そうか…でも まだチビの事と決まった訳じゃねえんだろ?」


そう言って『眼を離さない事だな』と呟く。
その瞳は……


「ねぇ 観世音」
「何だ?」
「アナタもしかして……母性本能でも目覚めたの?」
「…………蘭華……俺は一応『慈愛』と『慈悲』の神様だぜ?」


まるで……我が子を見る様なまなざしだったという……。





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