それは大部屋に泊まったある日のこと。

お風呂から上がって部屋へ入ると中には八戒と三蔵だけだった。
まだお風呂に入ってない八戒と交代して、私が髪を乾かそうとドライヤーを手にした時、ふいに翠花と名前を呼ばれた
首を捻って声の主を見れば、私を呼んだ三蔵はベッドから立ち上がって此方へと歩みを進めていて、私は首を傾げたままで、どうしたの?と問うた。
しかしながら、その問いは呆気なく無視されて、三蔵は何故か私の隣へと腰を下ろすと首に手を回して引き寄せた


「え、ちょっと…三蔵?」
「何だ」
「何…って……離して欲しいんだけど…」
「断る」
「いや、断られても困るんだけど!」
「なら俺が納得する理由を言え」
「理由って……」
「最後に『お願いします』を入れて、15文字以内でな」
「な…」


それってどう考えても無理じゃない、そう言ってやりたいのは山々だけれど、言ったらきっと三蔵の思うツボなんだろう。
まるでイタズラに成功したみたいに勝ち誇った笑みを称える最高僧に、私は小さく諦めの溜め息を吐くと共に、夜食の買い出しに行った悟空と悟浄が早く帰って来てくれる事を切実に願った。




15
(問答無用でドライヤー使ったら凄い嫌な顔された)




- 1/5 -


[*前] | [次#]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -