嬢ちゃん、というヘイゼルの声に私はピクリと身を引いた。
こういう時にかぎって何故だかこんな組み合わせになってしまう…

森の中での襲撃、数の多さに自然バラけてしまった筈なのだが、一番近くに居たのがまさかヘイゼルだとは。
もしこれで後に八戒なんか現れようもんなら私は現実逃避をするしかないだろう。


「なんや、エラい処まで追われて来ましたなぁ」
「そうですね…早く三蔵達探さないと」
「何でですのん?」
「何でって、そりゃあ置いて行かれたりしたら困るし…」
「そないな時はウチらと一緒に来たらええんちゃいます?」
「……いや、それはちょっと。」


遠慮っていうか、何かすごい嫌な予感がする。

ヘイゼルの何を考えてるか分からない笑顔に眉を潜めていると、不意に前方から翠花!と私を呼ぶ声がして、少しホッと息を………吐けなかった。
だって聞こえたのは間違いなく八戒の声で、百歩譲って悟空と聞き間違えたとしても身長が違いすぎる……と、いうか。

今すぐ逃げてもいいですか?

嫌な予感ほど当たるとは言うけれど、何もこんなに予感通りじゃなくてもと内心で思っていたら、前方からやって来た八戒はヘイゼルに眼を止めて少しだけ眼を細めた(怖い)


「ウチとおった方が何かと便利やと思いますえ?」
「え、えぇっと…」
「ヘイゼルさん、すみませんが 勝手に勧誘しないでもらえますか?」
「ちょっと、八か」
「これはウチと嬢ちゃんの問題なんやけどなぁ…」
「…あ、あのー」
「勧誘するならきちんと僕らを通して下さらないと、まぁ 引き抜きなんて許しませんけどね。」
「………」





(意志の尊重、って大事だと改めて思った)




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