07.ゴミ箱



ペンを握ったまま、少女は固まっていた。
机の上には書きかけの手紙、しかしそれには渡す相手の名前しか書かれておらず、少女は無表情のままずっと何かを考え続けていた。

そうしてしばらくして、少女は一つ小さな息を吐き出すと意を決した様にその紙を破りゴミ箱に放り込むと、次の便箋に一言小さく書き付けた。


差出人の名前も受け取る相手の名前もない手紙は
しかし、渡すべき彼にちゃんと少女の気持ちを届けてくれたのだった。





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