それは、相も変わらず私は罰ゲーム付きのゲーム戦に負けた…そんなある日の出来事。

罰ゲームの内容を知らされないままにコンビニまで連れて来られた私は、一体何が起こるのか最初こそビクビクしていたのだが帰り際には既にそんな思考は消えてしまっていて…だから普通にコンビニの籠に入れられたソレが一瞬何かわからなかった


「…え?」
「はい、後のお会計は牡丹ちゃんがよろしく」
「パッと行ってパッと帰ってくりゃ恥ずかしくもなんともねーから」
「ちょ、ちょっと待って…だってコレッ」
「ん?ああ―――何ならもう一個追加しとく?」
「けっ…結構ですッ!!


それはまぁ、アレ…そういう事に疎い私だって否が応でも保体の授業で習うあのもので
私は一見したらお菓子か何かの箱の様な華やかさを放つソレを持って意地悪く笑う久保田さんに眉を寄せると、とっきーから籠を奪う様に引ったくった
後ろから『心配しなくても変なコトされたら助けてやるから』とか『店内に居るから大丈夫』とか聞こえて来たが、そーゆー問題じゃないと思う。
第一私はまだ高校生だし、そうじゃなくても童顔で中学生とかに間違われるのに…


「……悪魔だ…」
「いらっしゃいませ!」
「―――あ…」


多分…もう二度とこのコンビニは恥ずかしくって入れないだろうなと思いながらレジの前まで行くと、何とも間が悪い…そこには何時もお昼に行くとレジに立っているお兄さんがいた
久保田さんととっきーとちょくちょく来てるお陰か、それともこの人も私を中学生か何かと勘違いしているのか時々オマケをしてくれたりする親切なお兄さんで…だからこそ、私は気まずくって顔を見るなり素早く俯いた

袋のガサガサ言う音ととっきーが大量に買ったお菓子のバーコードを打つ音だけが耳に入る


「21点全部で3,520円になります」
「は、は……っ、はい」
「1万円からでよろしいですか?」
「はい」
「お釣りが6千円と480円になります」


財布を開けてそれだけが目に入った瞬間に私は一瞬にして血の気が引く気がした…というか
元々、罰ゲーム事態が既にコレと決まってたって事に今更ながらに気付いた…
でももう、お釣りを貰おうが貰うまいがこのコンビニに寄れないのは確かなんだからと若干の諦めが勝った私が渡されたお釣りを受け取って商品の入った袋を掴もうとした時、だった…


「あ、あの」
「…え?」
「あんまり気にしちゃダメだよ…俺もそういう罰ゲーム時々だけどやらされちゃうんだ」
「――――…ほっ…んぐ!?」
「ハイハイ、買ったらさっさと帰りましょーねー」
「後ろつっかえてンだからさっさとしろよ」


正直驚いた
声を掛けられるとは思ってなかったし、その上にコレが罰ゲームだってちゃんと理解してくれていた事が嬉しかった
だってつまりそれは、これからもココに寄れるし買い物だって出来るって事なんだから…だから私はつい浮かれてしまってこれ自体が罰ゲームだという事を忘れてしまっていたのだ

私が何か言う前に後ろに回った久保田さんが口を塞ぐ、とっきーはレジ台に置かれた商品を抱えて…――――


「……あ、はは…参ったなぁ…」


ピン、ポーンという退店のインターフォンの音と困惑した彼の呟きがお客が居なくなった店に静かに響いていた…





(…ちょっと…苦しいってば!)


レイラの初恋

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