ゆらゆら揺れて


ひらひら舞って


この桜の下


ずっと。


花は散るからこそ美しいという、この天上界で桜とは常に咲き誇っているもので……



ひらりと一つ



桜の花弁が部屋に舞い落ちた。




「ああ…いい天気……」




ゆっくりベッドに半身を起こすと外の日差しが目に眩しくて……



そんな、平穏な朝




「あ、おはよう 菖蘭」
「おはようございます ところで翠花様……」




の筈だった。




「約束の時間を二時間も遅れているが……いいのか?」
「…………え?」
「悟空達と花見……するのでは?」
「…あ………」
「忘れていたんだな…」




バタバタと身支度などをする翠花に菖蘭が小さく呟いて……
彼はコホンと咳払いを一つすると




「あまり慌てずとも大丈夫だ 天蓬殿が迎えに来られた折に昼過ぎからに変更して頂けるよう頼んでおいた」
「……昌蘭ーーッ!!ありがとう!!」
「ちょ……翠花様!?」




もう間に合わないと思っていた中で、その神様の様な言葉に翠花は菖蘭をギュッと抱き締める。
方や抱き締められた方は何事かと顔を赤くして『落ち着いて』と言って彼女を引き剥がすと




「とにかく これで弁当の支度など出来るだろう?」
「ええ もちろん!」




彼女に支度を促した。





「あ、来た来た!!翠花姉ちゃんこっちこっち〜!」




時間どうりに来るとすでに悟空と金蝉が居て……




「あれ……天蓬と捲簾は…?」
「捲簾は軍の召集がかかったらしいが…」
「……判ったわ…呼んでくる」




後の言葉をいい澱んだ金蝉に判ったと言って、私は昼食を置くと天蓬を呼びに私室へ向かった。






「天蓬ー!居るのー?」




ドアを叩きながら声をかけてみても反応はなくて……
恐る恐る扉を開いてみると……




「失礼しまーす 天…」
「………」
「…寝てる……?」




本を持って座ったまま小さく寝息をたてていて、私は仕方ないかと毛布を掛けた……



瞬間




「え…?」




グイッと腕を引っ張られて、



「おはようございます 翠花」
「……お…おはようじゃありませんッ!!」




呑気に言った天蓬に翠花はそう言うと『早く支度して下さい』と言って立ち上がると、部屋を出た。




「あーもうッ…なんなの…」
「どーかしたのか?」
「ッ!!」




天蓬を待って居ると、後ろからそう声がかかって……
恐る恐る振り返った処にいたのは…




「け…捲簾」
「オイオイ そんなオバケ見るみたいに振り向かなくてもいーだろ…」
「ごめんなさい……ちょっとビクリしちゃって…」




捲簾で、彼は『こんな処で何してんの?』と問うて




「天蓬を迎えに…」
「ったくアイツは……」
「それより捲簾」
「ん?」
「召集の方は?」
「今終わった処」




言って、天蓬が出て来ると悟空と金蝉の待つ場所まで急いだ。




「あ!皆来た!!」
「すみません遅くなっちゃいまして」
「それじゃあご飯にしましょうか、悟空もお腹空いてるでしょう?」
「うん!食べるッ!!」




桜の下皆でケンカしたり笑ったり……




「悟空 ご飯付いてるわ」
「あ…ありがと!」
「ほら 金蝉も食べる食べる」
「俺は…」
「いいから」




バカ騒ぎして……
こんな時間が私は



今とても愛しい。




『桜木・終』

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