始まりは一体何時の事だったか、短い間だったようで、でも思い出してみると結構な時間を共に共有していたのだと思う
観世音菩薩から連れて行けと直接命を受けたわけでもない、ましてや初対面の第一印象はお互い最悪だっただろう
けれど、自分が何故あの少女を連れて共に西を目指そうとしたかと聞かれたら、返す言葉はこうだ

『見て居られなかったから』

何も知らない世界で生きる事も死ぬ事も理解していない少女がただ見て居られなかった
特に守りたかった訳じゃない、けれどそうせざる終えない何かを感じていたのも事実だ
だから、きっとこういう事が起きる事も予測にはあった。
少しばかり時期が早かった気もするが、まぁ早すぎる事もないだろう。
アイツは気づいたらどうするだろうか、安堵するのか、それとも愕然とするのか…
でもきっと、これが俺達にしてやれる最後の事なのだと思う。


「じゃあな」


その一言がこんなにも重いなんて、口にするまで気づかなかったけれど。







18.『さよなら』に落涙





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