「ッ!!」
「雪華…!?」
「あーあ、ハズレちゃった」


残念、という男の声に自分の中で何かが崩れた。
コイツは雪華が必要だったんじゃないのか、だから俺達を殺してでも連れ去ろうとしてたのではないのか…
けれど、そんな思いはどうやら此方の勝手な思い込みだったらしい。
負傷し、あまりの痛みからか半ば意識が薄らいでいるらしい雪華を見下ろしながら、男がまぁいいかと独りごちる。

いい筈がない、雪華は仲間だ。
確かにまだ戦闘も出来ないし、他人行儀でちょっと遠慮してる所もあるが、それでも共に西を目指すと決めた
大切な仲間だ。
今だって、俺の事を助けてくれた
俺の身代わりになって怪我をした
それだというのにこの男は、まるでそんな事気にも止めない様な言い方だった。

気に入らない


自分の中で大きな、真っ赤な炎が燃え盛るのが分かった。







10.独りじゃない、と言いたくて





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