私は知らなかった。
『生きる』というのが、こんなにも大変な事だったなんて。
だって私は生まれてからずっと、人が目の前で殺される様な場面に出くわした事なんかなくて
『生きて』いるのが当たり前であり『死ぬ』事なんて、まだまだ先の話だと思っていた。
でもこの世界に来て、人が人を殺す様を見て、私自身もそんな凶器を手にしている事実に改めて『死』という恐怖が足元から私の体を支配して行こうとしているのだと知った。
共に旅をする事を了解してくれた彼らは、そういう世界だからと割り切った考えを持っているが、私にはそんな事、出来る筈もない。
銃の扱いも闘いの基本も運動神経さえ皆無な自分に一体何が出来るというのか…
そこまで考えて、私は改めて『あぁ、自分はこんな所で死んでしまうのか』という思いが頭の中を過ぎった。







9.あの人、この人、その人、みんな





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