声が聞こえる。



誰かが私を呼んでる。



誰?



あなたは……




誰なの?






その日、一人少女の命が消えた。
白青院 翠花
ごく普通の高校生だった。
只、周りと違うのは彼女のその少し変わった容姿と両親が居なかった事だけ。
だから、遺体は引き取り手は無く、警察病院の霊安室に只一人で寝かされていた。



闇の中で……蝋燭の火が揺れる。


一回



二回




三回




「――…」


「……翠花」


誰?


「翠花」


誰よ、五月蠅いなぁ。


「起きろ。」


嫌よ、だって私死んだんでしょう?


「翠花 起きろ」
「………え?」


有無を言わさぬ声、それがあんまり『起きろ、起きろ』と五月蠅いから、文句の一つでも言ってやろうと目を開くと、そこは………


「どこよ……此所」
「天界だよ」


ちょっと低めなハスキーボイスに振り替える。
私を真っ直ぐ見つめていたのは………

ある意味放送禁止な服(と言えるのか?)を着た、めちゃくちゃ容姿がお綺麗な女の人(多分)


「天界って……天国って事?」
「まぁ そんなもんじゃねーか?」


私が尋ねたはずが、解答は疑問型
いやいや、聞いてる私に聞かれてもなぁ………
そんな内心突っ込み所満載の女性は、優雅に足を組み替えると『翠花』と静かに私を呼んだ。


「はい」
「俺は観世音菩薩様だ」
「………はい」
「何だよ その間は」
「いえ……ちょっと」


確かに、私は死んだ。
だから天国か地獄には行くだろう、でも……だ。
どこの世界に自分の事を様付で呼ぶ神が居るのか…………いや、ここにいた。
自称『観世音菩薩様』は『まぁ良いがな。』と呟いてから、再度私の名を呼んだ。

そして………


「お前 命が欲しいか?」


そう問うた。

命……
ついさっき失って終った……私の命……


「――…はい」


愛情なんて知らない。
大切な人なんて居ない。
守るべきモノなんて無い。

それでも……
もう一度、生きたい。



「よし その願い叶えてやろう。」


………はい?

今………なんて言いました?


「叶えるって……ッ!!」


私が反論しようとした時、眩い光が私を包んだ。





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