焼き付いて離れない。
『…ちょっと……散歩…してくる………』
消え入りそうな程小さくそう呟いた言葉。
何もかもを諦めた様な瞳には……
生きる意志さえ感じられなかった。
なのに………
それなのに僕も悟浄も、只呆然とするだけで引き止められなかった。
それは……何故…?
傷は翠花が治してくれた。
腹の傷は流石に完治はしていなかったけれど……
この3日で断続的な痛みもほとんど引いた。
なのに……どうしてだろう。
ねぇ、翠花……
胸が………
痛いんだ
。
『
夜明け前
』
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