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■長政考察■

『もはや、今の私には義も愛も残されてはおらぬ。』

『浅井氏を北近江の戦国大名として成長させ、織田信長と同盟を結ぶなどして浅井家の全盛期を築いたが、のちに信長と決裂して戦い、破れて自害。浅井氏は滅亡した。(中略)信長の降伏勧告も断り続け、最終勧告も決裂。長政と仲睦まじかった妻のお市は運命を共にする決意であったが、長政から諫められ、帰還を決意。お市が信長の陣営に帰還する時、浅井・織田軍も一切の攻撃をしなかったと言われている。結局、長政は切腹という形で人生を終える。享年28才』
(以上・Wikipediaより抜粋)

長政の生涯は、史実によるとあまり恵まれた物とは言えないような気がします。

様々な紆余曲折を経て浅井家の3代目当主としての地位を手に入れたのも束の間、彼の人生は条約を裏切って攻め込んできた織田軍により終演を迎えます。

そんな彼は自サイトにおいて、三國の馬超と同じような背中に影を背負った男という設定で話を書いています。

『一族の滅亡』という言葉に表せない程の重い業をその背に背負った長政と馬超は、他の男達とは少々違ったスタイルで夢主に対して迫ってくるのではないかなというのが自分の中にはあります。

夢主を腕に抱く事でほんの刹那の間であってもこの世の苦しみを忘れ去ろうとする馬超。夢主に近づいてその権力を奪い取る事で失われた浅井家の復興を達成しようとする長政。

夢主に接近してくる動機やきっかけ自体はそれぞれ違う物だったとしても、二人が夢主に対して求めている物は似ていそう…というのが私のイメージです。

次に、では彼らは一体夢主に対して何を望んでいるのだろう?というのを自分なりに考えてみました。

『人生に復讐される』という言葉がありますが、まさにその道筋を突っ走っている彼ら二人が夢主に求めているのは『魂の救済』なのではないだろうか、と思っています。

『この世には 神も仏もましまさぬかや あら恨めしの浮き世や 恨めしの浮き世や…』

と言うのは能の葵上の口上ですが、曹操と信長によって一族を惨殺されたという馬超と長政の心の中はまさにこの葵上と同じような思いを胸に秘めている物だと推測されます。

普段滅多な事では他人に対して弱みを見せない意思の強さを見せる彼らだとしても、その実態は今でも度々その光景を思い出してしまう程の激しい自責の念、そして仇に対する深い哀しみと憎しみに彩られています。

「この哀しみをどうすりやいいんだ。誰が俺を救ってくれるんだ。俺の事を救ってよ…。」

と馬超が『BEAST』の中でそう思いながら夢主をその腕に抱いているシーンを書いてみましたが、勿論そこには雄としての男の欲望も無きにしも有らずといった所ではありつつも、ただそれだけの事で軽々しく夢主に手を出すような男達でもないのではないかと思います。

夢主を力ずくで手に入れようとする所までは他の男性達と同じだとしても、義を重んじる彼らにとって正当な理由付けもなく夢主に手を出す訳にはいかず、なんとかその理由を自分なりに捜し出そうとしそうです。

長政にとってはそれが自らのお家の復興をかけたからこその行為なのだ、というのが彼が自ら導きだした結論なのですが、この事についてはまた個別考察にて長々とお話をさせて頂きたいと思います。

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