めーちゃんめーちゃんと揺さぶられる。手を払う。めげずに再び揺さぶられる。酔っ払いの頭には少々きつい。女は鉛のように重い瞼をうっすらと持ち上げて、剣呑に真っ青な指先を睨めつけた。
 男は構ったふうもなく、起きたね、だなんて図々しくも宣う。いつものように飄々と笑った。女はその顔を見て嫌な予感を抱く。気がつかぬうちに顔をしかめていた。
 外はうっすらと闇を薄め始めていた。しかし、それでも朝にはまだ遠い。

「……悪いけど、もう一回寝させてもらうわ」
「二度寝にはもう遅い時間だよ、めーちゃん」
「じゃあ起きるから、そこをどいて頂戴」
「起きるにはまだ早い時間だよ、めーちゃん」
「どうしろって言うのよ……」

 男はにこにこと笑っている。

「簡単さ。僕とセックスしよう、メイコ」

 女は額を押さえて呻いた。それにも構わない男の、触れた唇は死人のように冷たかった。







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