「真ちゃん、今度星空デートしない」


 雨の日の帰り道、オレは真ちゃんにデートを申し込んでみた。雨の日はチャリアカーは使われないので真ちゃんと並んで帰れる。チャリアカーをこぐようなのはオレだけだから、チャリアカーをこぐ限りオレは真ちゃんと登下校をする唯一の人物である。もし歩きなら、真ちゃんはオレ以外の誰かと帰ると言い出すかもしれない。そんな怖さはあるのだが並んで歩くという誘惑は強く、秘かに雨が降るのを楽しみにしていたりする。


「断る」


 真ちゃんはあさっりとバッサリオレの提案を切り捨てた。


「えー、いいじゃんか。夜中に二人で星を見に行くんだぜ」
「そんな時間に外に出たら補導されるのだよ」
「そんなこと言いなさんなって。補導なんてオレと真ちゃんの愛で乗り越えるね」
「現実的に考えろ」


 緑間真太郎という人物は極めて現実的にものを考える。たいていオレが何かを言っても現実的に理論的に切り捨ててくる。だが、あえて言おう。緑間真太郎はロマンチストだと。受け答えがどんなに現実的だろうとも、真ちゃんはなんというか、現実主義ではない。
 ラッキーアイテムを例に出さずとも日々の生活の中でロマンチストは発揮されている。ラッキーアイテムはロマンチストとは関係ないか。今だって本当は行きたいのだ。たいていロマン的なデートに誘うと結局はオッケーしてくれるのだから。現実的に見えるのは理論的なたいてい考え方をするからだろう。でも根本はロマンチストだ。時々オレの方が現実的なんじゃ、って思う。


「うー、オレは星空デートがしたいんだよ」


 いつもの様に強く押す。真ちゃんは素直じゃないから強く押さないと通らない。


「な、いいだろう。真太郎」
「…。い、一回だけなのだよ」


 ほらな。仕方ない、という風にしながらオッケーをくれた。でも嬉しそうにしているのを見逃さない。素直になれない真ちゃんは本当に可愛いと思うのは惚れた弱みだろう。
 現実主義を気取ったロマンチストの恋人に対してオレはロマン主義を気取ったリアリストになれたらお似合いだな、なんて思ってみたりする。




リアリスト・ロマンチスト








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