鬼道さんから愛されたら世界の色は変わるかも知れない。鬼道さんから愛されたら世界の色は変わらないかもしれない。鬼道さんに愛されたら世界が爆発してしまうかもしれない。鬼道さんに愛されたらオレのサッカーは変わるかも知れない。鬼道さんに愛されたら帝国だって変わるかも知れない。鬼道さんに愛されたら愛されるという音がするかもしれない。鬼道さんに愛されたら…。
世間的に言えば、お家デートと言う奴だろう。とある休日の一風景というには異様すぎるデート風景が繰り広げられていた。佐久間によって。
佐久間の家にやってきた鬼道にクッションを勧めて、お茶をだし、ニコニコと笑顔を振りまいていたまでは良かったのだ。
ねえ、鬼道さん聞いてください、彼がそういってからの風景は異様なものと化した。鬼道さんに愛されたら…を永遠と続ける佐久間には何かが取りついているようで恐ろしさを感じる。
「鬼道さんから愛されたらって考えたら、関係あることもないことも、次々と浮かんできてしまうんです。それで身動きが取れなくなってしまうんですよ」
やや熱に浮かされたように語る佐久間。対して鬼道は落ち着いたものだった。どこかで聞いたフレーム問題とやらに似ているな、などと冷静な考えが浮かんでくるくらい落ち着いていた。
そして一言、与えた。
「何も考えなくていい。ただオレに愛されていろ」
思考などいらない