不毛だ


『わたしのために喧嘩しないで!なんて言葉言ってみたいなあ』

私はある映画を見て、そう思ったのだ。
映画にでていたかわいらしいおんなのこが二人の男の子とあーだこーだーする普通のラブストーリーの映画。
私だって女子だ、漫画や映画、ドラマのような恋、シチュエーションに憧れる。


「言わせてやろうか?」


なんて言ったのはユーリだ。彼とは腐れ縁で昔から一緒にいる。


「ハイトはよくばりなんだね」


とさわやかに言うのはこれもまた腐れ縁で昔から一緒のフレン。


『二人とも私のことバカにしたでしょ』

「してねえよ、なあ?フレン」

「そうだね、そんなことを言うのはやっぱりハイトも女の子だね」

『あんたは私のことなんだと思ってたの…』

「フレンはお前のこと女としてみたことねえってよ」

「ユーリ、それは失礼だよ」

『いやフレン、お前は否定しろよ』

「ははは」


笑うってことはそうだってことなんだ、ごまかしたなフレンめ!


「なんでそんなこと言い出したんだよ」

『あー、映画みたんだよ〜』

「だからか」

「ラブロマンス…ハイトみるんだね」

『なんだ、私は見てはだめなのか』

「だめじゃねえけど」

「似合わないね」

『ぐぅ…!』


フレンのさわやかな笑顔で言われるのが一番ダメージくらうよ…!


「お前にいわれてダメージくらってるぞ」

「それが狙いだよ?」

『この腹黒め…!』

「ハイト、そんなこといっていいのかい」

『ダメです、ゴメンナサイ』

「お前ホントにフレンに弱いよなあ」

『なんでだろう、いつからだろう、フレンに勝てなくなったのは』

「それは…であったときからだろうね」

「だとよ」

『フレン嫌いー』

「へー?」


フレンの笑顔が怖い。怖すぎる!


「ハイトって昔から馬鹿だったよね、ユーリ?」

「ん?まあ、そうだな。ってか馬鹿っていうかアホだな」

「そうだろうか?昔3人で遊んでいた時かくれんぼして誰もみつけられなかったこともあったね、あれは可笑しかったなあ」

「それこそまさにアホとしか言えねえだろ?よくなにもないところで転んだりな」

「馬鹿だから足元おぼつかないんだよ」

「アホだからだろ」

「馬鹿だからだろ」

「フレンてめえハイトはアホって相場が決まってんだよ!」

「ユーリこそ、ハイトが馬鹿だってみとめたらどうだい?」

「んだと?!」

「やるかい?」


まさに一触即発


『ちょっと!ふたりとも私(くだらないこと)のために喧嘩しないで!』

「言えたじゃねえか」

『ちっともロマンチックでもなければ思いもよらぬ展開でね』

「夢かなったじゃないか」

『不本意ですが
ケンカの理由が理由ですが
これが狙いかフレン、ユーリも悪ノリすんな!』

「いいじゃねえか、楽しかったろ」

『いや、どちらかというと』


実に不毛
時間であった


なんて言ったら二人に殴られた。

.


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