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七松と中在家
「ちょーじ。なんだかいい匂いがするな。ん? 柑橘の……」
「……首筋に顔を埋めるな」
「柚子か!」
「……今日は冬至で柚子風呂だったんだ」
「そうか、冬至か。それはいい。最近日が暮れるのが早く、委員会も終わりが早くてなぁ。これでもっと委員会ができるぞ!」
「……無理は、させるな」
「なんだ。ちょーじも滝夜叉丸と同じことを言うのか? 下級生に冬の夜の活動は厳しいとアイツは言うんだ。確かに冬は寒く感覚も冷えて鈍るだろう。けれど冬の夜ほど澄んだ空を見ることはない」
「……」
「この前の鍛錬の時には、裏々々山のその奥へ行ったのだが、流れ星を見た!」
「……それは、良かった。流れ星が流れる間に三回願いを唱えると叶えるらしい」
「三回!? あの一瞬で三回とは、流れ星とやらは長い願い事をさせてはくれないのだなっ」
「……小平太の願い事は長いものなのか?」
「長いかどうかは知らんが、流れ星に叶えてもらうとは思わん!」
「……」
――ちょーじの傍にいるために、どうして他に願おうか!
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