拍手Log | ナノ







冬島に定着中のハートの海賊団。現在雪は降っていないものの、数日前に降った雪が未だにあたりを白に染めていた。
風邪を引くから外に出るのは極力避けろと船長であるローに言われていたが、やはり雪というものは魅力的で、足は自然と甲板へと向かっていた。


「わ、夜でも真っ白」

月明かり星明かりに白い雪がキラキラと反射し、夜という闇に包まれていてもその存在を主張していた。
時折吹く風が少し寒いが、この海賊団のユニフォームは首もとが暖かいため今の状況ではとても感謝している。夏の気候ではクソ暑いのだが。


「風邪引くぞ」


後ろから声をかけられ、肩にそっとブランケットが掛けられた。後ろを振り向けば、ペンギン。

「雪、みたくて」
「…はぁ、だと思って」
「はいよ、ミルクココア」
「キャスケット!」

ペンギンの後ろからひょっこりと顔を出したのはコック長であるキャスケット。その手にはミルクココアの入っているであろう、私のカップが湯気を立てていた。

「俺たちは見慣れてるからな」
「…北の海出身だしね」

温かいミルクココアを口にすれば、冷えていた身体が変化していく。
ふと、空を見上げた。暗い夜空に輝く月と星が視界いっぱいに広がる。


「う…わあ、」

キラキラと輝きを放つ星たちに、声が出ない。こんなにきれいな星空は初めてだ。

「おっ 星スゲーな」
「きれい…」
「北の海には負けるがな」
「「「船長!」」」

ひょっこりと三人の中に入ってきたのは船長であるローだった。ローに続き、ベポも加わり夜空を眺める。


「私、冬の星空が一番好き」


カラッとした空気に、澄んだように輝く星たち。それがパズルのピースがぴったり合ったような、そんな感覚を起こさせる。

「北の海じゃ、これ以上のモンが見られる」
「北の海、かあ」

クルーの大半が出身の北の海。私は生憎、グランドライン出身であるため本格的な冬は迎えたことがない。しかも冬島とは反対の夏島に近い島だったため、冬の夜空は珍しく、私の心をくすぐった。

「ねえ、船長」
「あ?」
「グランドライン一周したらさ、北の海に連れてってね」

私の言葉に目を丸くする船長。隣のペンギン、キャスケットにベポさえ驚いていたが、フッと船長が笑えばそれに続けて微笑む。



「ああ。連れてってやるよ」




その約束を胸に、船は次の島を目指す。




- ナノ -