「水浴び大会はじめるでー」
白石の声にコートのはじでだらだらとしていた部員たちが反応を示す。しかしコートに白石の姿は見えず、どこだどこだとコートからでていけば、マネージャーとともに水道場で待機をしている白石をみつける。
「えいっ」
白石みつけた、と口を開けた瞬間、バシャっとかかる水に驚きを隠せないのは…
「謙也あほー!」
「おま、なんやねんいきなり!」
「ナイスタイミングや、マネージャー」
「いえーい」
ハイタッチをする部長とマネージャー、そして水に濡れた忍足をみた他の部員たちにも火がつく。
「ぶふっ ホンマ、謙也さんアホや」
「ねーちゃん、俺にもかして!」
「ホースあと二本あるから使っていいよ」
「ほれ、謙也さん。もういっちょ」
「やめんかあほォオオ」
忍足がやられたらやり返し、財前へと水をまき散らす。しかし財前は華麗に交わし、側にいた一氏が犠牲になる。
「謙也!なにするん!」
「あ、すまん財前にかけようと」
「小春にかかったらどうするんやお前!」
「わ、悪…」
「仕返しやあほー!」
連鎖的にどんどんと水をかぶっていく部員たちに、白石がフッと笑う。
「あ、白石あぶない!」
マネージャーの声に白石が振り向けば、顔面にかかる、水。べっちゃりと頭からユニフォームの前を濡らした。
「うわ、白石大丈夫!?」
顔に張り付く髪を分ければ、ホースをもったマネージャーの姿。しかしマネージャーがそんなことするはずもなく。犯人がマネージャーならばあの時の声はマネージャーではない他の誰かでなければおかしい。
ということは…
「…金ちゃん」
「え…なんで俺やてわかったん!」
「こないなことするん、金ちゃんしかおらへんやろ!」
「ど、毒手は堪忍ー!」
ぎゃいぎゃいと騒ぎはじめる部員たち。白石が混じって数段笑いのレベルがあがる。
終いにはマネージャーすらびっちょりに濡れてしまった。
「うわ、びっちょりー」
「マネージャー、下着透けないん?」
「ばか!」
そんな光景を、少しはずれた木陰から見守る影がある。
「…皆、楽しそうたい」
四天宝寺は楽しい水遊びで暑さ対策。