「わあ…春島!」
そうして見えてきたのは緑や色とりどりの花をまとう春島。海の上からでも花畑を堪能できてしまうほどだ。
「あまりはしゃぐんじゃねぇ」
「だって!花きれい!」
今までに春島は立ち寄ったことがあるが、ここまで見事な花畑を持つ島は初めて。
「キッドキッド!」
「あ?」
「花畑いこうね」
そう言った自分の女に素っ頓狂な声が自然と出てしまっていた。
「はあ?」
あまりにも間抜けたことを言うからびっくりだ。この俺が花畑?何の罰ゲームだよ。
「えええ」
「なんで俺が行かなきゃなんねーんだ。俺はやることが」
「そうやっていつも仕事しっぱなし!たまにはカラダ休めてよ」
俺の腕に絡みつく腕。絶対離さないと上目遣いで睨むこの女。別に怖くない、むしろ自分に従わせたいと思う。
簡単に払うことは出来る、がそれをしないのはこの女が愛情を注ぐ対象だから。
「…バカじゃねえのか」
「なっ 心配してんのにねえ…!」
怒り気味に俺の腕を締め付けるのを強められた。そこから軽々と腕を抜き取れば目を丸くさせる。
「行ってやるから大人しくしてろ。お前が海に落ちても助けてやれねぇ」
ま、あいつが行きたいなら
行ってやらないこともない。
―――――――
最後にでれるキッドくん