庭球 | ナノ

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後輩くんが侵入し、私が暴言?というか文句を言われてからしばらく経った。

その後のことを聞こうと思ったのだが、柳くんには上手くはぐらかされてしまうし、幸村くんには笑顔ではぐらかされてしまう。真田くんは「知らん!」の一点張り。…絶対知ってるのに。柳生くんとジャッカルくんには「俺たちから言うことじゃない」と言われるし、仁王くんと丸井くんは「気にすんな」だし。
私もいらんこと言っちゃったから、それなりに心配してるのに!

こうして何も教えてもらえぬまま、試験期間へと入っていった。



「真結、出来たあ?」
「なんとなくなら」
「うわっ 出たよ裏切り者〜」
「恵美…あんた、教えてあげたのに出来なかったんじゃないでしょうね」
「え、えーっと」

中学から持ち上がり組の真結と恵美は試験はいつもこうらしい。私も夏芽と勉強したりしたがなかなか高得点は難しい。
立海は学校のレベルもそこそこ高いし、それなりの勉強は維持しないとなあ。マネージャーをやり始めたから時間が減ったのは確か。でも部員は私以上にそんなことを言えはしないんだから。


…で。試験期間も終わり、部活も再開。
試験も全教科返ってきた本日、何故だか幸村くんと柳くん、真田くんにコートの端っこに連行されている。


「藍沢さん、テスト結果どうだった?」

まずはにこやかな幸村くん。笑ってるけど纏う空気が怖いです。逃げられない。
あ、あれ、私仕事したいなあ!…威圧感に耐えられません。

「え、っと…」
「「まあまあだよ」…とお前は言う」
「うぐっ」
「あっはは!見事に被ったね!」

柳くんが私の言葉を言い当てる。幸村くんは笑ったけれど真田くんの顔は険しい。

「点数を教えろ」
「て、点数?!おおお、覚えてないよ」
「大体でいいよ、大体で」

真田くんのフォローのように素早く言葉を足してくれた幸村くん。良かった教科の点数は覚えていたけど、悪かった教科の点数は正直ぼんやりだ。それを誤魔化しながら、記憶に新しいそれを思い出した。


「…まあそんなところだろう」
「何を基準に」
「お前の今までの試験結果からだ」

はっ!そういえば柳くんは人のことを探るのが趣味だった、と思い出す。
さては今までの点数を知られているのでは…。そっと柳くんを盗み見るとフッと鼻で笑われた。絶対知ってる!

「得意な教科は点数が高いが、不得意またはそこまで好きではない教科は平均か、平均を少し下回るのが藍沢の特徴だ」

柳くんに言われて、しかも正解だから何も言い返せない。うぐっと言葉につまれば真田くんがため息にため息を吐かれる。


「マネージャーだが、定期テストもしっかりしてもらわねばテニス部の顔がたたん」
「まあまだ、ダメダメじゃないだけいいじゃないか。なあ蓮二?」
「平均点が妥当だろう」

平均点が妥当と言われて若干へこむ。だったら残念がられた方がいい…。
三人が揃うと威圧感があるのに、この会話の所為で増している。私への圧力のかかり方が多大だ。


「まあ、次からは弦一郎か柳生に勉強をみてもらおう」

さらさらとノートにそのことを書き足した柳くんに私は危機を覚えた。
だって聞いたことがあるのだ。柳生くん、真田くん、柳くんは学年内でもトップを誇る頭の良さだと。なんで普通に部活してんのに頭いいんだよ!と思ったけど元がいいんですよね…。
そんな人たちに教えてもらうなんて恐れ多いし申し訳ない。

「大丈夫だ、きっと点数があがる」
「いや、それは心配してないんだけどね」
「じゃあ何?なにか文句でもあるの?」
「よろしくお願いします!真田くん!」
「あ、ああ…」


柳くんが心配してくれたけれど幸村くんの笑顔には逆らえません!
真田くんもそれに気が付いたのか、私の無理矢理な笑顔に渇を入れることはしなかった。




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試験はこれから一緒に勉強ですね(笑)

書き終わり:12.11.16.
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