海賊 | ナノ

生物実験室の秘め事


学パロ
先生(マルコ)×生徒(ヒロイン)
ローの「帰り道の憂鬱」と一部リンクしています。



「せんせー」
「…なんだよい」
「イモリのあれがわかりません」
「イモリのあれってなんだそれ」
「局所生体染色法」
「知ってんじゃねぇか」
「内容が覚えられません」
「そら知らねえよい」

授業も終わった放課後、私は生物実験室にいる。生物実験室で、生物担当のマルコ先生とお勉強と言う名の補習。外から部活のかけ声が聞こえる室内で静かに響くシャーペンの音。

カリカリカリ…

その音を出しているのは私だけでマルコ先生はプリントを凝視している。
あーあ、格好いいなあ。理科の先生らしく白衣を着て、しかもメガネでイケメン!みたいな。白衣の中は結構ラフな格好だけど時たま着てくるワイシャツにネクタイとか…色気むんむん。その度に私は授業そっちのけでマルコ先生をみてたりするん「おい、手を動かせ、手を」…すみません。

「マルコ」
「…先生」
「マルコ先生」
「なんだ」
「2人きりだしいいじゃんね?」
「敬語を使え。俺ァお前より年上だ。敬えよい」
「…なにそれ、ズルい」

こうみえて…というか実は私たちは付き合っている。勿論まわりには内緒だし、禁断系の恋な訳だけど。今のところはバレて――――いや、校長(白ひげ)と教頭(シャンクス)にはばれてるか。その2人を除けばバレてはいない。友達の間ではただの“マルコ先生”の“ファン”なのだ。

「バレてぇのかよい」
「えー、ヤダ」
「じゃあ大人しくしてろ」
「自分から補習組ませるくせに?」
「それはお前が出来なさすぎるからだ」
「えへ」
「…ったく」


…こうして放課後の補習が、いつのまにか私たちの逢瀬となっている。たしかに生物ができてないのは認めよう。でもそれは授業中にやるべきこと(先生を眺めている)があるからであって、仕方ないと言えば仕方ないんだ!しっかり聞いていても決して得意とはいえないと思うけど。
面倒くさそうだけど、それでも課題をだして私にわかるように教えてくれるから、すき。ぶっちゃけあちらもこの補習楽しみにしてるんだし。

「なんか言ったか?」
「いーえ」

再び手を動かして課題に目をやる。…分割とか、受精卵をここまで観察するのすごいな。研究者さすが。

「ねぇ、先生」
「ん?」
「隙ありー」

ちゅっ

「…っ、な」
「………………」
「………お前」
「…さ、課題課題」


隙をついてキスしてしまった。
したかったからしたんだけど、まさか本当に出来るとは思わなかったから、この後のことなど何も考えていない。…どうしよう。絶対怒ってる怒られるー!
そんな私の焦りを悟られまいと課題に向かって練習問題を解こうとすれば、ぐいっと顔を引かれて前を向かせられる。瞬間、視界が暗くなる。唇にあたる、やわらかい感触。

「っ!」
「お前がその気なら、応えてやるよい。…ティナー」
「ちょ、ま……っふ、」

私が強気でやったものと思っているのか、目の前のこの男は触れるキスだけでなく舌を入れてきやがった。ちょ、なにこの仕打ち!ある意味嬉しいけど!

「ん、…まる、こ…ッがっこ、」
「黙っとけ」
「ぁ…っ、も、…!」

学校だし誰がきてもおかしくない。放課後だし生徒が来る可能性も低くはない。万が一バレたらマルコ学校やめちゃうし私退学だよ。それでもキスをやめないのは…やめたくないから。
絡める舌に酔いしれる。先生と生徒。そんな関係が今の私たちには興奮剤になる。ふいに閉じていた瞳を開くと、視界に入るのは生物実験室のドア。そこには人影…というより、押し戸のドアが開かれ、一人の女生徒が室内へと一歩足を踏み入れていた。


「…ッ!」


私と目が合い、女生徒は慌てた表情で静かにドアを閉めて去っていった。直後に聞こえる微かな話し声。…これ、ヤバいんじゃない?

「………ヤベェな」
「………ですよね」

ドアが閉まった後の微かな話し声が耳に入ったのか、マルコは唇を話して生物実験室のドアの方を振り返った。


「覚悟…しとけよ、ティナー」
「退学の覚悟なんて最初から」
「阿呆。嫁ぐ覚悟だよい」
「……………え?」



生物実験室の秘め事

(なんでそんないきなりプロポーズみたいな!)(…ああ、でもいいや)(こんな秘め事、もうやめちゃおうか?)



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ローのお話とリンクしてます

2011.03.23.
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