ポッキーゲーム!
「キッドー」
自室で海図を見ていると、ティナーが珍しく部屋を訪れた。この時間は大抵、食堂か下っ端達と雑用をよくしているのに。
「ねぇねぇ、知ってる?」
「何がだ」
「今日はポッキー&プリッツの日なんだって」
「へぇ」
「って事でさ、ポッキーゲームしない?」
「…はあ?」
じゃーん、と言って目の前に現れたのは赤い箱のお菓子。紛れもないポッキーだ。
「……するかよ」
「ええっ キッドなら絶対すると思ったのに」
「甘ェのなんか食いたくねぇ」
「みんなも絶対やるって言ってたのになー」
「あいつら…!」
全く。絶対こいつに教えたのもクルーだ。
キラーはああ見えてからかってくるから正直面倒だ。ティナーが簡単に行動に起こすのもキラーが言うからであって。
「ちなみに提案はキラーだよ」
ほら、こうだ。
キラーの提案にクルーの大半は乗ってくる。それにおされてティナーが行動に移すのだ。
「やらねぇ」
「なんでよう」
「甘いからだ」
「よーし、開けよう!」
「誰も食うなんて言ってねェ!」
バリッと破かれる袋。開けられた部分からはいい焼き色の持つ部分が見えた。
ティナーはそれを一本つまむと、それをキッドに向けてくる。
「はい、あーん」
「だから食わねぇ」
「あーん」
堅く閉じた唇に割って入り、ぐいっと口に押し込まれる。甘いチョコレートが口に広がった。
すると、キッドがくわえたポッキーのもう片方から、ティナーがポリポリと食べ始める
「なっ」
だんだんと近づく目を伏せられた顔に、キッドはたまらなくなって自らも口を進める。
距離は縮まりやがて触れあうと、ティナーは頭を固定され、キッドからの深いキスが送られる。
「…っ、んぅ」
「……甘ェ」
離した唇。
舌を出して苦いような表情をするキッドを知ってか知らずか。
「もう一本」
そう笑顔で誘うティナーに、キッドはニヤリと笑った。
2010.11.11.