海賊 | ナノ

Please mind !




「ロー」
「なんだ」
「…おなかすいたなぁ」
「そこに飴がある」
「…ちょっと寒くない?」
「毛布があるだろ」
「本読みたいな」
「お前に読める本はここにはない」
「〜〜〜ッ!」


もーっ ローったらずーっと本なんか読んじゃって、あたしに全然構ってくれない!
話しかけても視線は本、華麗にスルーされる会話。
もう、我慢できない!

「…ベポと遊んでこよ」
「………」

今までローの近くに座っていた場所から立ち上がり、部屋の扉を目指そうと歩み出したとき、片手が引っかかって前へ進むのを阻止された。
自分の片手をみると、捕まれている手首。
もちろんその手首を掴んでいるのは…ロー。

「どこ行くんだ」
「ベポのとこ!ローのとこにいてもつまらない」
「構ってほしいなら言えばいいだろ?」
「かっ…!うるさいっ ローなんか本の虫になっちゃえ!」

べーっと舌を出してローの手を振り払う。
自由になると再び扉に向かって歩きだした。と、思われたのも束の間。ふわりと何かに包まれた。


「…どこにもいくな」
「っ?!」

耳元で囁かれる声。
ローに後ろから抱きつかれ、首に顔を埋められていた。

「悪いな、つまらなさそうにしてる顔とかみたかっただけだ」
「…はあ?」
「怒ってる顔も可愛かったな」
「なっ 意味わかんない!」
「わざと構ってやらなかっただけ」

ぎゅっと抱きしめられる力が強くなり、私とローはもっと密着する。

「構いたかったけど、面白かった」
「……いじわる」
「暴言吐いた奴にいわれたくねーな」
「暴言…?」


さらに密着したことにより、ローの息づかいが耳のすぐそこで行われる。
ローはそっと耳にふれるように口を開く。

「本の虫がどうたら、とか言ってたな?」
「あっ あれは!」

抱きしめる力をさらに強くされ、いよいよ体が動かなくなる。
後ろからのさっきに冷や汗が背中を伝う。

「や、あの…ローさん?」
「さ、今から存分に構ってやるからな!覚悟しろよ…」


最後の「覚悟しろよ」が異様に低い声で発せられたのは気のせいでしょうか、キャプテン。
いや、気のせいではございません。
インナーの下に潜り込む、この私より大きな手が真実を物語っています。





(ぎゃああぁあぁぁあぁ!まだ昼間ですよ、昼間!)
(構ってほしかったんだろ?遠慮すんなよ)
(え、や、まじで…い、いやあぁああぁああああぁあ!)

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