別Ver.
俺の席は窓際の後ろから二番目。見た目がアレで周りからは結構恐れられている。
けれど授業はちゃんと出ている(ときもある)し、前と比べれば断然でている方だ。教科書もちゃんと持ってきているし、ノートだってある。
しかし今日は筆箱を忘れた。いつもなら隣のクラスのトラファルガーか右隣に(無理やり)借りるが、生憎どちらも休みのようだ。
とりあえず授業は聞いておくかと座っていると、教師であるシャンクスが書くものを持っていない俺につっかかってきた。
「ユースタス、お前はまた…」
「忘れたっつってんだろ」
「お前なぁ…そりゃまあ遊びに来るのはいいがなぁ」
「いいのかよ!…じゃなくて!早く授業しろって…」
「ユースタスくん。シャーペンと消しゴム、落ちてたよ」
シャンクスとふざけた言い合いをしてる俺に、はい、とシャーペンと消しゴムを渡してくる女。
「先生、早く授業すすめちゃいましょ」
そういわれてシャンクスは「ティナーに感謝しろよー」と俺を小突いて前へ戻り、授業を開始した。女―――確かティナーはというと、それを確認した後、俺に向かって微笑み隣の隣の席に腰を下ろした。
面白ェ女もいたもんだな、と思い、始まった授業に耳を傾けた。
授業がおわり、女にシャーペンと消しゴムを戻しに行く。俺がガタリと席を立った瞬間、前の席のヤツは驚いて肩をすくませていた。
隣の隣の席にいき、座っている女を見下ろす。すぐ近くに誰かが来たのに気づいたのか、女が俺を見上げてきた。
「ユースタスくん。どうしたの?」
「助かった」
す、と借りた二つを差し出すと、女はそれと俺を交互に見て言った。
「まだ授業出るんでしょ?ならいいよ。てゆーかあげるよ、それ。机の中に入れておけば忘れても使えるから」
全く持って変なことを言う女だ。
いや、俺にシャーペンと消しゴムをかしてきた時点で変だと思わなきゃいけない。普通なら、声もかけねェのに。
「…いいのかよ」
「うん、平気だよ。それ、可愛くないからいらないし。あ、色ペンもいる?いらない四色ボールペンだけど」
とりあえずよく見かけるごく普通の四色ボールペンだったので貰っておくことにした。
「はい、これ」
「おう」
手渡された四色ボールペンは本当にありきたりな赤と青と緑と黒のペンで、確かに普通の女子高生が持つには質素だと思った。
「サンキュ、」
「うあっ」
コツンとティナーの額に軽く握った拳を当てて、ぱっと目の前で手を広げてみる。
中から落ちたのは俺には似合わないフルーツのど飴。トラファルガーに面白半分に貰わされたやつだ。たまたまポケットに入っていたので礼にくれてやる。
飴を目の前で落とされた本人は目を丸くしてこちらをみた。
「え、」
「礼だ、貰っとけ」
何か言いたそうな顔をしていたが、俺はそれをさせないようにすっとすぐ背中を向けてティナーに軽く後ろ手に手をひらひらと振る。
俺はそのまま教室を出ていった。
面白ェ女だ。ティナー。
楽しみがまたひとつ、増えた。
隣の隣の
席のやつ
(この時の俺は、これが
恋なんてものに発展するなんて思ってもみない)
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ボツver.
というかいろいろとあってこれからお話を変えたという。