かすていら→あいすくりん→チョコレート→

・即.興.小.説.ト.レ.ー.ニ.ン.グ ログ05。
・静雄×臨也。


自動喧嘩人形と名高い平和島静雄。彼の姿からは想像も付かないが、実は平和島家は、江戸初期から続く武家の家系であるということをご存知だろうか。
情報屋の俺、折原臨也ですら知らないことが、この世に存在するなんて!しかも、かの平和島静雄について、知らぬことがあるなんて!
失態だ。実に情けの無い失態だ。
人間が作り上げてきた歴史、それをも愛する俺に、不備があってはならない。ならぬものは、ならぬのです。
そういうわけで、俺は今日、朝から池袋に出没するなり、シズちゃんのアパートに向かったわけである、寝ぼけ眼で玄関先に出たシズちゃんに、開口一番、

「ねえ、シズちゃん家ってとんでもないしきたりがあるんだって?折角だから教えてよ」

単刀直入に聞いてみた。全ては、それが間違いだったのだ。あんなところで好奇心を発揮するのではなかった。まさかこんなことになるとは、思いもよらなかったのだ。もし、タイムマシンが存在するならば今すぐ飛び乗って、過去の自分に足枷と猿轡を嵌めてやりたい。ヤツの秘密に手を出すな、と。

「ひああ、やだ、もうやめてよお!」

棒読みに近くなってきた自分の声が鬱陶しい。そうでもしないと、この男は噛み付いてくるのだ。ヤツに本気で噛まれたらひとたまりも無い俺は、黙っていやらしい言葉を吐くしかなかった。
しきたり、の中身について問うた後は、シズちゃんに、光の無い視線を浴びせられた。開ききった瞳孔が気持ち悪かった。一言、「み、た、な」とだけ言ったシズちゃんは、俺の腕を掴むと乱暴にアパートの一室に掘り込んでしまった。ぎゃあ、と声を上げようとしたらその口を大きな手で塞がれてしまっていた。なんだこれ、監禁される、と思った束の間、シズちゃんの蝶ネクタイで手首を縛られ、コートを脱がされ足も拘束されてしまった。シズちゃんはそのまま彼のベッドに俺をおろすと、暫く姿を消した。そして、戻ってきた時、彼が抱えていたのは、大量の、黄色い塊。
プリンだった。自家製のバケツプリンだった。
それを俺の頭からどちゃり、と引っくり返して浴びせかけたのだ。噎せ返るほどの甘ったるい香りが充満したかと思うと、半分固まっていないプリンは俺のシャツやらスボンやらに侵入してくる。そして、あろうことか、シズちゃんはそれを舐め始めたのである。
金髪のもふもふした髪を揺らしながら熱心に俺をプリンごと舐める姿は、バター犬……ならぬプリン犬だった。

そう、平和島家には、好きな相手に好物をぶっかけて、文字通り美味しく頂くという、とんでもないしきたりが存在していたのである。
予想外だった。
もう、処女貫通なしに、帰してはくれないだろう。


2013.02.02

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