狩人と宝箱がただイチャイチャしてるだけ

きんのたからばこ の後日談。
・R-18。性描写有り。
・デリック×日々也♀。
・日々也がモンスターなRPGパラレル。


昔々或る所にイケブクロという町がありました。その外れには青年が暮らしておりました。

「やべっ……、ごめん、中出すっ!」

訂正します、女遊びが生き甲斐のクズ野郎が暮らしておりました。
青年は狩人として生計を立てていましたが、ひょんなことから宝箱を拾い、その宝箱から生み出される宝石を売っては女を買い売っては女を買いを繰り返していました。名を、デリックと言います。もっとも、最近は買わずとも沢山の女が勝手に寄ってくるのですが。
デリックは今晩三人目の女性との行為を楽しみ、玄関まで見送ると、そろそろ眠ろうかと自室に戻りました。しかしいざ横になってみると目が冴えていて眠れません。

「女の子に困ることはないのは嬉しいけど、さっきのも今のも皆俺の金目当てだからなあ。願わくば恋人になって結婚、なんて考えてるんだろうけど」

と、呟きました。
一年前まで荒ら屋であった彼の自宅は今や豪邸でした。衣食住だけでなく、財力、権力、そして女、何不自由ない生活をもたらしたのは、部屋の隅に置かれた金の宝箱。

「ヒビヤ?寝てんのか?」

実はこの豪華な宝箱、ただの箱ではありません。ミミックという宝箱を模したモンスターでした。このミミックはかなり特例のようで、一つの人格を形成しており、また人の言葉を介すため、最早一人の立派な人間とも言えました。ミミックの名前はヒビヤと言います。
しかしヒビヤは体でもあり寝床でもある宝箱の蓋を閉じたまま何も答えません。熟睡しているのでしょう。
デリックは、つまらないなあ、と言って眠りにつきました。


翌日のことです。デリックは遅寝(ほぼ早朝)遅起なので、起きた時は既に昼下がりでした。

「おはようヒビヤ……ヒビヤ?」

なんということでしょう、ヒビヤの宝箱の姿がありません。足のないモンスターであるヒビヤは、ついこの前、最新式のコロをつけてもらったばかりでしたが、もう部屋から出ることができるくらいコロを使いこなしていたようでした。証拠にヒビヤの隣に立てかけておいたボート用のオールが無くなっています(ヒビヤはこれを使って地面を押して前に進むのです)。
言葉を話すミミックは貴重(というか、言葉を話すミミックなど前例がありません)ですから、かつてデリックが思惑していた通り、一歩家の外に出れば悪い村人が商売のために捕まえるに決まっています。ヒビヤを探しに行かなければなりません。
珍しく裸のままではいけないと思ったデリックは慌てて服を着て自室を飛び出しました。
とはいえそんなに遠くには行っていないだろうと考えたデリックは自宅の敷地全てを探しました。が、なかなか見つかりません。雇っていた数人のメイド(全て体は攻略済み)にも探させましたがさっぱり音沙汰はありませんでした。参ったなあ、と溜息を吐きながら裏庭を通り過ぎようとした時、昨日降った雨でぐしゃぐしゃになった土に何かが埋もれているのがわかりました。
沼化した土の中に突っ込んでいたのは予想通りヒビヤでした。デリックはそんなヒビヤの宝箱を引き上げてやりました。コロには草が引っ掛かって回らなくなっていました。

「散歩しようと思ったら泥と草にハマって抜けられなくなったんだな」

引き上げられたヒビヤの身体は、泥の塊になっていました。ぺっぺっ、と口の中に入っていた泥を吐き出してヒビヤは怒鳴ります。

「助けるのが遅いぞ、この大馬鹿下劣駄馬愚民!!」
「お前が不注意なのがいけないんだろ」
「はあ!?元はと言えば貴様のせいなのだぞ!よくも僕に口答えできるな!」
「散歩してミスったのはヒビヤだろ、いい加減認めろよ」
「散歩じゃない、家出だ!!」
「失敗してるのに?」
「これは家出なのだ!!」

きいきい怒鳴るヒビヤの顔についた泥を拭おうとしたデリックの手を、ヒビヤは乱暴に払いのけました。

「昨日もまた女と何時間も遊びおって!」
「仕方ないだろ、溜まるもんは溜まるんだから」
「僕という者がありながら、その身勝手さはなんだ!しかも僕の前で堂々と寝よって……死んで詫びろ!」
「悪かったよ、とりあえず汚れたから風呂入ろうな」
「話を聞け!!」


宝箱の内も外も泥塗れになったヒビヤを抱えてデリックは風呂場へ向かいました。ヒビヤの体を覆う様に中に敷き詰められた宝石もすっかり汚れて、宛らただの小石に逆戻りしたようでした。
湯を沸かしている間にヒビヤの様子を確認していたデリックは、そういえば、と前々から気になっていたことを問いました。

「そういえばお前、風呂入ったことなかったよな」
「そもそもミミックの精製する宝石は人間でいう垢だからな、不要な皮膚が結晶化することで作られるのだ。だからと言って汚くなんてないぞ!純度百パーセントなんだからな!」
「豆知識は置いといて、トイレとかどうしてんの?」
「とっ……!?」

ぼんっ、と頭から煙を出したように顔を赤らめたヒビヤは口を震わせました。

「な、ななななな、なんて破廉恥な……!!うら若き乙女に向かって、と、と、といれなど……!!」
「うら若き、って何百年も生きてんじゃなかったのかよ、ババアじゃねえか。……うん?ババア?」

デリックは耳を疑いました。
ババアかはさておき、うら若き、乙女?

「なんだ、じろじろ見て。気色悪い」

そういうヒビヤはどう見ても少年でした。しかし先程の話が気になります。風呂にも入れる予定だったデリックは、ヒビヤの小柄な身体を抱えると宝箱から引っ張りました。

「さっ触るな無礼者……な、何をする!離せ離せ!千切れる!!」

宝石が邪魔してなかなか身体を出せないヒビヤをデリックはぐいっと一気に引き上げます。

「うわあああああ!」

すぽっ

ミミックの本体が箱から抜けました。そしてデリックは目を疑いました。

「嘘だろ……」

泥がこびり付いて茶色くなった裸体には、あるはずのものがなかったのですから。

「ちょ、ちょっと待て」

デリックは決定的だろうと信じて、ヒビヤの胸に触れました。随分と平らでしたが、ほんの少し、例えていうなら幼女の域から脱したばかりの少女のような、ふくらみはじめの控えめな柔らかさを感じたような気がしないでもありませんでした。

「ち、痴漢ー!!」
「ぐふぉあ」

瞬間、デリックの視界に星が飛び散りました。頭の左側半分が尋常でない痛みに襲われています。

「変態!変態!変態!!」

ヒビヤの変態コールが叫ばれると同時に更に衝撃が走り星が飛び回ります。デリックが倒れ込んで、風呂場のタイルを真っ赤に汚した頃、彼女は涙目になって膝を抱えて彼に背を向けて座りました。
デリックがどうしてこうなったかを理解するまで五分もかかりました。デリックは怒ったヒビヤに蹴られたのでした。それもただ蹴られたのではなく、両足をフルスイングされて。
しかしそうは言ってもデリックの多少整った顔がここまでボコボコにされたのは別の理由がありそうです。
それもそのはず、ヒビヤの両足は噂に聞く人魚の尾鰭の様にびっしりと宝石に覆われていたのですから。
デリックが視線を移した先の裸体も、人間とは違う部分が多くありました。左の二の腕、右の脇腹、腰骨のあたりにも結晶化した宝石が飛び出していました。が、やっぱり泥が付いていました。

「ヒビヤ、女の子だったんだな……」
「ふん!」

ヒビヤは程良く温まった湯に浸かりたいのか、猫足のバスタブまで這っていきます。人間の様に歩けないせいで不自由そうです。バスタブへ身を乗り出しますが腕を沈めることはできても、全部で何カラットあるのか分からない足は入らないのでした。

「……風呂なんて嫌いだ」

ヒビヤは不満そうにムスッとして悪態を吐きました。その光景をデリックは、喉を鳴らしながら舐めるように見つめていたのでした。キラキラ光る結晶を……ではなく、ヒビヤの幼い裸体を。
デリックはヒビヤを抱き上げました。

「お、落とすなよ!落とすなよ!!」
ヒビヤは初めて風呂に入るのが怖いのか、バスタブに落とされるのを心配しているようでしたが、デリックはヒビヤの予想を大きく裏切りました。風呂場を出て、待機していたメイドに、宝箱の掃除をするように言い付けて、自分は自室への大階段を昇っていったのです。

「風呂に入るのではなかったのか?寒いではないか!」

腕の中のヒビヤはぶるりと震えました。宝箱の中は暖かったようです。
デリックは自室に入るなり大きなベッドにヒビヤを寝かせました。もう、することは一つでした。

「うわあ!何をする!……ふ、ふふふ、服を脱ぐな!!」

制止を聞く気がないデリックはさっさと服を脱ぎきってしまうとヒビヤを押し倒してベッドに縫い付けました。

「ど……どういうつもりだ」
「いや、灯台下暗しだったんだなあって」
「な、ななな、何が」
「俺はノンケだから、男より女の子が好きなんだ。愛した相手が男じゃなくて女の子だと知ってもっと愛さないわけがないだろ?」
「は、はあ!?」
「お前が女の子だってわかったら全部辻褄が合うんだよなあ。体重気にするのも、俺が女の子と遊ぶのを怒るのも、ヒビヤが女の子だからなんだよなあ」

そう言ってデリックはヒビヤの短い髪を撫でました。ヒビヤは涙目になって訴えます。

「目の前で、あのようなことをされて誰が嬉しいんだ」
「悪かったよ」
「もし僕が雄のミミックだったら構わず続けていたのだろうな」
「……否定はしない」

ヒビヤは、しゅん、となって目を伏せました。そして何も分からない、と言った顔で問いかけます。

「これは、僕はどう受け取れば良い?僕は長い間洞窟に居たから人間の気持ちは分からない。こういう時に何を返すべきか知らぬのだ」
「素直に幸せだと思えばいい。もしお前が、気持ちの悪い、人間からの求愛を断らないなら」

ヒビヤは答えませんでした。代わりに涙を零しました。涙はシーツに染み込む前に結晶化し、シーツには真珠がいくつも転がりました。
それを見たデリックはヒビヤの唇を奪い、舌を回して唾液を混ぜました。ヒビヤの唾液はミミックらしく独特な鉱物の匂いがしました。デリックは人間の女性は食べ飽きるほど経験していたので、異形の生々しさはかえって欲を掻き立てました。
キスはそのままに、手を下肢へと伸ばします。腰に触れた時に伝わった結晶の冷たさに肌が粟立ちました。デリックは、こんなに可愛らしい女の子なのにやはりミミックなのだ、と実感させられました。
ヒビヤの足を持ち上げて開かせることは、人魚のように融通の効かない足では無理だと判断したデリックはそのままヒビヤの体を横にしてやりました。胸のほんの僅かな膨らみに、夕暮れ時からの行為と、ヒビヤの歳の割に幼い姿とで、背徳感が沸きました。それでも彼はヒビヤに触れることを止めません。
指が秘所に近付くとヒビヤは

「……こわい」

と小さな声でいいました。

「他のミミックとは?」
「出会ったことすらない」

ミミックの交尾がどういうものなのか、デリックは想像すら付きませんでしたが、ヒビヤは人型ですから、呟きから察するにやはり人間の女性と同じ部分が秘所のようでした。
そこに指を沿わせてやるとヒビヤは、ひっ、と息を呑んで、びくりと体を跳ねさせました。デリックはなぞる度に体をぶるぶる震わせるヒビヤを可愛らしいと思いました。ヒビヤは足を抱えて丸まっては敏感に反応する秘所への衝撃を耐えているようでした。堪えきれなくなって鰭のような足がいくらか内側にカーブするようになった時、みっともない音がぬちゃぬちゃと響き始めました。ミミックにもこんな機能があるのか、と頭の隅で冷静に捉えていたデリックの脳の大半は欲で埋め尽くされていました。やたらと喉が渇きます。

「挿れるよ」

ヒビヤは今まさに入り込もうとしている彼の勃ち上がった性器を見て、驚いて目を逸らしました。骨だけ残して食べたネズミよりグロテスクな物を彼女は見たことが無かったからです。
それでも、ヒビヤは胎内に駆け巡る痛みを感じた際にデリックに縋るのを我慢することはできませんでした。今まで発したことの無い悲鳴が口から飛び出して自分が自分で無くなったかのような不安を得ました。腹の中は熱いのに背筋が寒くなって、必死で彼に抱き付きました。マトモに動かない筈の足はこの時ばかりは自力で体を起こすことを助けました。
一気に奥まで挿れるとヒビヤは足をバタバタさせながらデリックに身を預けました。ぼろぼろ流れる涙は固まらずにデリックの肌に流れます。初めてだったのに悪いことをしたな、と彼は思いました。

「ごめんな」

ヒビヤは肩で大きく息をして、デリックはそれが徐々に小さくなるのを待ちました。小さな体に走る痛みに全身を上下させて涙する姿があんまり可哀想だったので、息が整うまで抱きかかえて抜いてやりました。溢れ出した真っ赤な液体が、ぼたぼたと落ちてシーツを汚していきます。
デリックは、ミミックにも膜があったのだと、広がる破瓜の血を見て関心しました。対してヒビヤは汚れたベッドを視界に入れるとすぐに顔を逸らしてしまいました。自分が血という穢らわしいものを出したなんて、と怖くなってデリックの胸に顔をうずめました。

「いたい。こわい。いたい」

いたいいたい、とベソをかくヒビヤの後頭部を撫でてやるとますます泣き声が大きくなりました。
ヒビヤが落ち着くのを見計らってデリックは、体中に沢山のキスを残してやりました。今度はびくびく震えませんでした。大人しくされるがままになっていたヒビヤは、だんだんと吐息に熱を込めました。そろそろ良いかと思ったデリックは再びヒビヤを横抱きにすると、自らの性器をヒビヤの割れ目にあてがい、ゆっくりと彼女を下ろしていきました。

「いた、いたい、いたい!」
「でもさっきよりマシだろ」

そう言われてヒビヤは顔を真っ赤にして俯いてしまいました。全部挿ってしまっても喚かなくなりました。その証拠にヒビヤの胎内は血の混じった蜜で満たされていました。愛液にとっぷりと浸かっていると、ヒビヤは、きゅっと中を締めました。微熱のあるような顔で、もぞもぞとすり寄って甘えてきます。ここまでデレた姿はなかなかお目にかかれないので、デリックは下半身は繋げたまま一切の下心を無くして文字通り可愛がりました。うー、と何事もなくぼんやりと唸り、もそもそ頭を押し付けるヒビヤを、それを掻き消すように突き上げました。突然の快感に驚いたヒビヤは目を見開いて悲鳴を上げました。

「意地悪!変態!」

きいきい怒るところで更に突いてやると、甘い嬌声を漏らして、今日まで誰の物も受け入れたことのなかったせいでキツい肉壁を使って更に締め付けました。
彼女はやっぱりデリックに縋り付くと彼の背中に爪を立てて傷を作りながら揺さぶられています。細切れに出される色付いた声が切羽詰まる頃、限界とでも言うようにヒビヤはいっそう強くデリックを抱きしめました。

「も、らめ……でり…!」

快楽に酔いきったヒビヤが切なげに名を呼び、中を緩めた時を狙って、彼は応える代わりに一気に奥まで突きました。彼女は疳高く啼き、背を、煌めく脚を反らせ、ぎゅうっと胎内を締め、そして少しの潮を吹きました。その時を超える圧力を与えられたことのなかったデリックは彼女が叫ぶのと同時に彼女の中に精を吐きました。昨日も一昨日もそのまた前も、何人もの女に射精したはずなのに、この時ほど長かったことはないように思いました。
泥をどちらのものとも分からない体液で流し終わったヒビヤは気を遣ってしまっていました。デリックは、もう少し手加減してやるべきだった、と後悔し、まさかこんな傍に名器があるとは思わなかった、と感歎し、彼女の代わりになる女はこの世に存在しないだろう、と確信しました。
意識のないミミックの本体は沢山の宝石を身に纏っているためか、ずしりと重く、腕が疲れてきた彼はヒビヤをそっとベッドに寝かせて、悪戯のないキスをしました。
その時デリックは初めて気が付きました。ベッドの上がピカピカ光っていました。色とりどりの宝石が、初めてキスを交わした時と同じように山のように詰み上がっていました。
幼い体から発せられる整った呼吸音を耳にしながら彼は、彼女が目覚めたら、まずどんなことをしてやろうかと考えていました。とりあえずは、一緒に風呂に入って、風邪を引かないよう彼女によく似合うドレスを選び、日がな一日他愛ない話をしようと決めました。勿論、彼は性欲の塊のような男でしたから、明日もたっぷり愛すつもりでした。


翌朝デリックの目が覚めた時、ベッドは、もぬけの殻でした。シーツは汚れていましたので昨日の情事が夢でないことだけは理解できますが、ヒビヤが眠っていた部分に熱は残っていません。
また散歩に出かけたのか、探しに行かないと……そう思ってデリックがベッドを降りた先、部屋の隅には、いつの間にメイドが運んだのか、綺麗に蓋の閉じられた金色の宝箱が鎮座していました。そこに彼女がいることが分かったデリックは声を掛けます。

「おはようヒビヤ」

返事はありませんでした。

「昨日はごめんな、もっと手加減してやるべきだった」

なおも返事はありません。試しに、デリックは挑発してみました。

「でもまあ、あんなに宝石バラ撒いて悦んでたってことは、俺が満更でも無いってことだろ?……そう恥ずかしがるなよ、今更遅いぞ」

彼がけらけら笑い飛ばすと宝箱はムスッとして、

「……家入だ」
「は?」
「家出は失敗したから家入なのだ!だから今、僕は居ないも同然、話しかけるんじゃない!」
「なんだ、ただの可愛い生き物か」
「うるさい!!」

怒鳴りつけました。デリックは、やっぱり食い込んだ宝箱の牙に手を傷めながらも無理矢理宝箱をこじ開けると、御機嫌斜めな彼女を(昨晩自分が付けた痕が生々しく色を放って朝だと言うのに反応しかけたのは秘密です)抱きしめましたとさ。
めでたし、めでたし。


2012.11.10

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