今はまだ、発展途上―土浦→天羽+加地




今の今まで、意識しないで居られたから一番楽な相手だったんだと思う。
他の女子みたいに気を遣わなくても良いし、変に煽ててやる必要もなかったから、まるで男友達と変わらなかった。
スキンシップは性的な意味を伴わないし、叩いて叩き返されるくらいの、そういう関係。

それを、石橋を叩いて壊す所かブルトーザーで突っ込んで来て、ぶっ壊そうとしているひとりの男がやって来た。


「僕さ、天羽さんに告白しようかなって思うんだけど」


俺はその男に奢りだと渡され、口に含んだばかりのコーラを吹き出し掛ける。
それを抑え、噎せた挙げ句、鼻から炭酸水を出す羽目になった。お陰で鼻が痛い。


「こっちがびっくりするような反応を有り難う。まさか、そんなに動揺される何て意外だな」


そいつが、全部見透かした上で言った事を、嫌なその笑みの先に知る。


「別に、俺に報告する事じゃないだろ」
「僕がしたかったんだよ。ふふ、お陰で面白い土浦も見られたし」
「……お前さ、嫌な奴だよな」
「そう?心外だなぁ。そんな事言うの、土浦と天羽さんだけだよ」


正直面倒だと思ってた。
中学の時、女と付き合う何て、めんどくせーって。
男の子と居る方が楽しそう、何て言われたら堪ったもんじゃ、ないだろ。大事にしようとか、どうしたら喜んでくれるかとか、そういうガキ臭い感情何ひとつ伝わらない儘、終わって仕舞うくらいなら。
始まらなきゃ良いって思ってたのに。


「加地君、話って何?」
「ああ、それさ、僕じゃなくて、土浦から」
「は!?お前、何言ってんだ、おい、加地!」
「何、何?ふたりで悪巧み?」


ひらり、手を振ってやけに愉快気に加地が去ってゆく。
おいおい、何て事仕掛けやがるんだ。
発展途上のこの想いは、処方箋すらまだ見付からないのに。

目の前の何時もと変わらない天羽に、何て言えば良いのか解らない俺は、もう一度加地の後ろ姿を睨んだ。



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