恋、それは愛の半分だと目の前の女は言った。恋は一人でもできるものなんだ、って愛は二人だけのものなんだ、って言った。俺にとっちゃ中学生の恋愛なんておままごとに過ぎない。だってそうじゃろ、一体日本、いや世界の人口の何人が中学ん時付き合ってた奴と結婚したんじゃ?ゼロに等しいじゃろ、そんな話。だから中学生の恋愛はおままごと、くだらんお遊びじゃ。好きって気持ちがわからんやつらの大人ぶった遊び。
「あは、仁王君て案外つまらない人なんだね」
「おー、つまらんぜよ冷めとるきに」
「冷めてなんかないよ」
そいつは俺を哀れむような目でみて仁王君は人一倍愛に飢えてるんだねって笑った。悲しいね、って笑った。べつに愛に飢えてる訳じゃなか、ただ恋だの愛だのがくだらないと思えて仕方ないだけじゃ。それなのに悲しいとか、コイツあほじゃろ。さっきから言ってる事わけわからんし。
「別に悲しくなか、お前さんのが悲しいじゃろ」
「あたしは仁王君とは違うよ」
「やってる事は一緒じゃ」
そんな事言うコイツも、俺と同じで男取っ替え引っ替えしとるくせに、なに言っとるんじゃ。
「あたしは、片割れを探してるのよ」
「は?」
「あれ、知らない?」
人間っていうのはね、もとは二人で一人だったの、でもね、神様に盾突いたから、怒って神様は人間を二人にわけたの。人が恋をするのは、自分の片割れを探しているからなの。
「だからね、仁王君あたし達、似てると思わない?」
つまりコイツは自分に似てる俺を、片割れだとおもっとるんか。ほうほう、まあ、確かにな
今からキミに恋をします
(意味わからん持論にも)
(悲しい笑顔にも)
(道理で惹かれる訳だ)