うさぎ
2012/11/19 23:56

子供は闇が怖い、らしい。
僕も小さい頃は恐かったのかもしれないけれど何十年の昔の事だ。今はそんな感覚忘れてしまった。

「これ、何だかわかる?」

自分でも両手で抱えるぐらい大きい、緑のうさぎ。ロップイヤーといって耳は垂れさがっている。それを彼女に渡すとパァと表情が輝いた。やはり、店員の言うとおり子供はこういうものが好きらしい。
すこし、甘やかしすぎかもしれない。数年前の僕がぬいぐるみを種類、大きさ、顔のひとつひとつを店で吟味して、買う事なんて誰が想像していたか。

「うさぎさん!」

まだSの子音が拙い口が嬉しそうに叫ぶ。

相当気にいったらしくその夜はうさぎの隣でご飯を食べて、テレビを見ていた。まだ幼稚園に通う体には少し大きすぎたかもしれない。自慢の長い耳は床に擦れてすぐに汚れてしまいそうだった。


たまには父の僕がと寝かしつけて電気を豆電球のみにする。

「おやすみ」と言った後に暗闇で僕が見ていないとでも思っているのか、こっそりうさぎに口づけしているのを見た。



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