今日は私が一人前の軍師と初めて司馬懿殿に認められた日
「名前様、おめでとうございます」
「受け取ってください名前様」
歩くだけで群がる女官や兵卒の多さ。次々と祝い品を貰うが両手では抱えきれない。と云うか何故皆はこの日を知っているのだろうか。良く分からないけど皆の気持ちは素直に嬉しい
「すげー人気者だな、名前」
「おめでとう、名前」
そこへ声をかけてきた司馬昭殿と元姫。二人は後ろに隠していた何かを差し出した。それは祝い品だ
『えっ、ええ!?』
「なんだ。期待してたかと思ってたぜ」
「子上殿と名前は違う」
「はいはい...んじゃまあ、おめでとさん」
皆よりも豪華な祝い品。ありがとうと云えば司馬昭は振り返る事なく軽く手を振り、元姫は綺麗に笑った。部屋に戻ろうと振り返れば司馬懿殿と張春華殿が立っていた
「浮かれていると思いきや随分とふぬけた顔をする」
『おっおはようございます...!』
「ふふっ。名前」
張春華殿に差し出された可愛らしい祝い品。目を大きく見開くとにこにこ笑いながら頭をそっと撫でてくれた
「これからもその才で師を支えていけ」
人を褒めたり評価しない司馬懿殿から遠まわしな褒め言葉。師匠からのお言葉は何よりも嬉しく思わず泣いてしまった。司馬懿殿が慌てて慰めてくれて、張春華殿が抱きしめてくれた。このお二方は私にとって第二の親でもある
次に司馬師殿に会い祝い品を貰ったついでに書類を頂いた。顔を青くさせると「浮かれるな」とだけ云い残して行った。流石、鬼上官
部屋に戻り祝い品を床に置いていく。しかし量が多い...祝い品と一緒に文も入っている。一枚ずつ読むのが緊張するが嬉しさの方が勝っている。その後も部屋に祝い品を届けにきてくれた女官たちに何度もお礼を云って椅子に腰かけた
『....嬉しいなあ』
私は己の才が嫌いだった。同い年の子と遊ぶと必ず私だけ考えが大人びて回りにいた友は離れて行った。才欲しさに媚びてくる大人、金で買おうとする者。両親は私を隠し護ってくれた。だがある日、司馬懿殿が来て無理矢理私を城へ連れ出し「お前は今日から私の弟子だ」と云ったのが軍師へのきっかけ
司馬懿殿に会わなければ軍師にならなかった、友も出来なかった。そして公閭とも恋仲にならなかっただろう
『凄い人気だな、名前』
「公閭...!」
何時の間に部屋に居たのか。扉に寄りかかってくつくつと笑う公閭...だがいつもと様子がおかしい事に気づいた
『...何かあったの?』
言葉を投げれば公閭は一瞬目を見開いたがすぐに閉じて「流石、司馬懿殿の弟子なだけある」と返した。扉から背を離し私に近寄ると机に腰かけ見下ろされる
「今日はお前が司馬懿殿に認められた日だったな」
『あ、うん』
「くくっ、どうだ。皆に祝われ浮かれる気分は」
『....は?』
「さぞ気分が良いだろう」
何を云うと思えば嫌味たっぷりな言葉
『なにその云い方....』
「本当の事。お前のニヤケた頬が何よりも証拠だが?」
そりゃあ頬が緩むよ、皆からこれほど盛大に祝われれば。だけどものの云い方がある
『なに?ヤキモチ妬いてるわけ?』
「.............」
『反論しないって事はそうなんだ。ごめんね、今日が"特別"な日で』
むかついて嫌味たっぷり返してやった。公閭の顔が歪んだ。その一瞬も逃さない。一回云ったら止まらない
『別に私が祝ってと願ったわけでも強請ったわけでもない』
椅子から立ちあがり祝い品に手を伸ばそうとした。だが手を強く引かれ机に押し倒される。背から伝わる痛み、顔を歪めれば公閭の鋭い目が私を捕らえる。その瞳にはいつもの優しさも愛情も無い
「俺の全てを知っていてそう云っているのか」
『...まあ』
「.....そうか」
『っ...なによ。云いたい事があるなら云えばいいじゃない』
「お前を抱く」
次の瞬間視界いっぱいに公閭の顔、塞がれた口、痛い程掴まれている腕
『――――んっ!!』
理解が遅れ、声を漏らすと舌を絡めとられ口内を荒らされる。息が苦しくなるほど深くて呼吸が乱れていく
「抵抗すればいい。だが俺は止まらぬぞ」
着物を破かれ下着を上に押し上げられる。痛いほど胸を鷲掴まれ悲鳴に近い声がでてしまう。甘噛みではなく痕が付くほどあちこち噛まれ目に涙が溢れる
『ひっ....』
彼を煽ったのは私だ。だがここまで酷くする事は無いと思う
公閭は嫉妬深い。それは私だけでなく城に居る皆が知っている
『っあ、やめ...!』
公閭の指が秘部に触れ中に入っていく。微かに濡れていた中は公閭の指をすんなりと受け入れてしまう。いやだといくら叫んだとしても体は正直。公閭好みに仕上がった体は彼を誘い、求める
『ああッ! あ、ああ...っ』
「どうした。余裕が無さそうだが」
公閭は怒っている。私を狂わそうとしている。ぞくりと背筋に電気のようなものが走った
『(酷い...っ)』
その時、ノックする音が耳に聞こえ体が震える。指を止めた公閭が扉を睨む。まるで戦場に立ち敵を威嚇する時と同じように
「名前様、いらっしゃいますか?祝いの品をお持ちしたのですが」
兵卒の声。こんな時に.....公閭に視線を向けるとニヤリと笑い、足を大きく広げると一気に中を貫いた
『〜〜〜〜ッ!!』
口元を抑え達してしまった。こんなところ誰にも見られたくない。入ってこないで、そう願っていると「入れ」と公閭が云った。扉越しに兵卒が驚いた声をあげるのが分かる
『な、に勝手に...ッ』
「いい機会だ。お前が誰のものか、教えてやれ」
腰を掴み激しく動いた公閭に体がおおげさな程反応した
「失礼しま...っ!?」
「取り込み中で悪いな。名前へ祝い品を持ってきたのだろう?」
普段謝る事のない公閭の嫌味たっぷりな謝罪。グチャグチャと卑猥な音が響き渡る。見られてると思ったら恥ずかしくて死にそうだ。公閭の首に腕を回し起き上がる
「どうした」
『や、やだ...ッ』
「くくっ、見せつけてやればいいものを」
『ッ、おねが、い......』
「ではあいつから祝いの品を受け取れ。さすれば下がらせてやる」
こんな状況に何て事を....頭に浮かんだ"鬼"という一文字。体を反転させられ後ろから突かれる。顔を上げれば顔を真っ赤にした兵卒の姿。かああっと頬が紅くなった。上から聞こえた公閭の笑い声。唇を強く噛みしめ震える手を伸ばした
『...っは...は、やく.....』
「名前さ、ま....っ」
『あとで...お、れい...するからあっ』
恥ずかしさの限界。目から涙がボロボロと流れる。兵卒は私の手に品を乗せると慌てて出て行った。与えられる激しい快楽に手から品が落ちる
『ひああッ!』
「くくっ、兵卒が居た時のお前の締め具合、凄かったぞ」
『っ、ああッ、ん...ッ』
「さきまでの強がりはどこに消えた?」
ああ、もうむかつく男
―――でも、すき
『公、閭...っ』
嫉妬深いところも、自分を犠牲にしてまで司馬昭殿を支える姿も、ぜんぶ、全部
『だいすきだからぁ...優しくして...っ』
肩越しに振り返って涙を流せば公閭は椅子に座り膝の上に私を乗せた。体の重さでどんどん奥へ沈んでいく。頭がおかしくなりそうで何度も彼の字を呼ぶと耳元で「ならば簡単に笑顔を振りまくな」と舌打ちされた
目を覚ませば公閭の腕の中で眠っていた。少し動いただけなのに腰が痛い。すると首元に冷たさを感じて、近くにあった手鏡へ手を伸ばし首元を映せば黒い首飾り
眠る公閭へ視線を動かすが起きる気配は無い
これは公閭からの祝い品
ああ、私の恋人はなんて可愛いのだろうか
きっと一番に祝いたかったんだ
ごめんね、ありがとう。気持ちを込めて唇を重ねれれば腰に腕が回った
【大人気なくても】
嫉妬しちゃうんだよね
(公閭、起きてるんでしょ?)
(...寝てる)
(起きてるじゃん)
(なんだ。怒りの声は聞かぬぞ)
(ありがとう)
紅子様から18000hit祝い頂きました!
しかも逃走軍師番外編(裏)を書いてくれるとは……!裏でいいのです、裏大好きなんで(笑)
強引賈充最高です!
素敵なお話ありがとうございました!
20130901
[*prev] [next#]
[back]