鳥籠の中の王子様


「アナタには私しかいないのよ、フェル」
「僕は…僕には…」
「そう、フェルには私だけ。皆アナタなんて必要ないのよ」
「僕は…誰からも必要と、されて…な、い…」
「そうよ…フェル。いい子…」
深緑色の長い髪をなびかせ、魔女は王子を抱き締めた。
「僕は…いらない、子なんだ…」
魔女に魅入られた王子は虚ろな目で毎日同じ言葉を呟き、精神は絶望に飲み込まれていった。
「誰もがアナタをいらないと言っても、私にはアナタが必要よ…」
「ミカ…エラ」
「ここで一生飼ってあげるわ…フェル」
「そこまでだ。悪い魔女サン」
「あら、騎士が何をしに来たのかしら?」
「王子を返してもらおうか」
「嫌だと言ったら…?」
その魔女の言葉に騎士は無言だった。ただ射る様な冷ややかな視線を魔女に向けた。
「本当に忠誠心の立派な王族の狗に成り下がったのね、イア」
「成り下がったとは心外だな。彼を守る為ならどんな手段でも使うのが私だ」
「でも、守りきれなかった…でしょう?」
「黙れ」
「そしてフェルは私の所に来た。アナタにとって一番憎い存在の私の所へ…」
「黙れ…ッ!」
声を荒げる騎士を見ながら魔女は微笑む。
「感情を露わにするアナタは好きよ、イア」
「嬉しくない褒め言葉だ」
騎士はそう吐き捨てると、腰に提げている剣を抜き魔女へ突き付けた。
「あら、女性にそんな物を向けるなんて最低な男ね」
「貴様にどう思われようが知ったことでは無い」
「冷たい人ね…そんな人は」
パチンと指を鳴らすと今まで薄暗かった部屋が明るくなり、無数の魔物が部屋全体を取り囲んでいた。
「魔物に食べられちゃいなさい」
「くっ…!」
魔女の言葉が終らないうちに飢えた魔物達は騎士に襲いかかる。一匹二匹と襲い来る魔物を斬り捨てるが、その度に魔女との距離が遠くなっていく。
「さて、私達は踊り狂う騎士の姿でも見ていましょうか。ねぇ、フェル?」
「あぁ…そう、だね。ミカエラ…」
そして二人はその場から姿を消した。
広い部屋には魔物の咆哮が響いた。

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設定は童話ちっくです
キャラは
王子→フェルナンド
騎士→イア
魔女→ミカエラ
です

話の続きは書きたい。書きたいけど予定は未定





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