天を仰いで星を見る。
珍しくふぶいてないシロガネ山の頂上では、それは他のどこで見るよりも美しく見えた。
目の前の人物も空を見上げ、手を伸ばしている。
レッドは何を、掴もうとしているのだろうか…
その肩に乗っている黄色はこちらに気付いた様だが、肝心のそいつの主人は気付いてない。
ゆっくり気付かれない様に彼に近付く。
肩のピカチュウは睨み付けては来たが特に何もしてこなかった。
がば、とレッドを後ろからきつく抱きしめる。
反動で肩にいたピカチュウが落ちたが気にしない。

「…だれ?」

ぽつりとレッドはそう言い、暫くして

「グリーン、でしょ」

「…よく、分かったな」

「ぅん……」

上に伸びていた手は抱きしめている俺の腕にそえられた。
すると背中に衝撃。

「いっ!」

驚いて思わずレッドを離した。
ピカチュウだった。
しかも凄く怒っている。

「…ピカチュウ」

レッドがそうぼそりと呟いて、ピカチュウをボールに戻した。

「いいのかよ」

「大丈夫、ピカチュウ…優しいから」

…それは多分、レッド限定だと思う。
とは、口にしては言わないけど…
レッドは崖の方を向いて座り込んだので、隣に座った。

「今日は晴れてるんだな」

「うん、珍しいよ」

そう言ってレッドは俺に体を預けて来た。
夜だから寒いけど、くっつけば結構暖かかった。

「レッド」

「なに?」

「さっき何掴もうとしてたんだ?」

するとレッドは、見られてたかぁ、と言う顔をして、

「月」

「月?」

「うん、月」

冬の夜空は星がよく見える。
それと同時に月も、よく見えた。
山の頂上だけあってか、それはいつもより大きく見えた。

「満月か」

「掴めるかなって思ったの」

触れるかな、取れるかなって、頑張って手を伸ばしても、やっぱり無理で。
そんなレッドは、少し子供じみてるから。

「月は自ら発光してるわけじゃないんだぜ?」

「…そうなの?」

レッドは変な所で無知だったりした。

「あんなに綺麗なのに…」

「太陽の光を反射してるだけなんだよ」

「ふーん……」

所詮、月は脇役なのだ。
太陽には勝てない。
そんな風に考えた自分もなんだか子供っぽくて、少し笑える。

「でもおれは、月の方が好き」

レッドはそう言って、少しはにかんで、

「グリーンは?」

「俺は、」

そんな事、考えた事なかったから、少し言い淀んだ。

「俺も、月かな…」

「…なんで?」

「レッドが太陽だったら、俺は月かな」

なんて、くだらない事考えて、卑屈になって。

「……」

ぴしっ、と無言のレッドにでこぴんされた。

「グリーンらしくない」

「…」

じっと、見つめられて…それに少し怒っているみたいだった。
俺らしくない、か。
まあ、

「それもそうか」

「それに、」

レッドは一度言葉を切って、

「おれは、太陽なんて物じゃないよ」

それを最後に、レッドは黙りこくった。
それに少し笑ってから、乱暴にレッドの頭を撫でてやった。



でも多分、俺の言った事はあながち間違ってなくて…
それでも、レッドがそう言うんだったら…それでいいって、思ったんだ。
レッドが、好きなら…それでいい。
そう考えていたら、また、レッドに、でこぴんされた。




葉菜>>心月

グリレはやはり糧ですよ、なかったら何をおかずにごはんを食べろと(略
グリレが好きなんだ、グリレ好きさんがもっと増えればいいと思うよ。
ちょっと卑屈な緑が書きたかったんです。
緑が脇役とかそんなことは全く思ってないよ、私は。
グリレもっと増えろ!






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