『cut!cut!cut!』

グリーンの部屋でごろごろしていたら、ふと随分と伸びた自分の髪が気になった。
それまでは何とも思わなかったのに、気になり始めると凄く邪魔だ。
そこで、傍にあったペン立てからはさみを引き抜いて、適当に髪を切ろうとしたら、グリーンに止められた。

その後、何故だかグリーンが髪を切ってくれると言うので、素直に従うことにした。
とりあえず邪魔にならない程度に切って貰えれば良かったし、多少変になっても、また伸びるからそんなに気にならないし。



庭で一番日当たりのいい場所に椅子を出して、僕に座るように言ったグリーンは、今は楽しそうにはさみの音を響かせている。

頭を洗うところから始めようとしたグリーンに、以前テレビで見たのを思い出して「ドライカットでお願いします。」と言ったら、「痒い所はありませんか〜ってやつ、やろうと思ってたのになー。」って言われた。
こういうところ、グリーンは結構凝り性だ。



マサラの暖かく優しい太陽と、リズム良く響くはさみの音と、時折まるで撫でるかのように優しく僕の髪を梳くグリーンの手……何だか眠くなってきた。

「こらレッド、寝るんじゃないぞ。急に頭が動いたら危ないだろ。」
「……うん。」

でもやっぱり眠い。
うとうとしはじめた僕が完全に眠らないように、グリーンがペチペチと軽く僕の頬を叩くけれど、それでさえも凄く気持ちよくて、僕の眠気を促進させるものにしかならない。

「しょうがないな、あと少しで終わるから、出来るだけ我慢しろよ。」

ほら、そんな優しい声で囁いたりなんかするから、余計に眠くなっちゃうんだよ。

それでも何とか睡魔に負けないように我慢して、グリーンに「終わったぞ。」と言われたと同時に、目の前に立っていたグリーンの首に腕を巻きつかせて、そのまま抱き上げられた所でようやく眠りについた。



目が覚めると、そこは見慣れたグリーンの部屋のベッドの上だった。
窓から見える日が少し傾いているから、結構な時間眠っていたらしい。

「起きたか。」
「……うん。」

僕に背を向けて本を読んでいたグリーンが、起きた僕に気が付いて、ベッドの方に近付いてきた。

「お前の家に運んでも良かったんだけどさ、起きたらまず感想聞きたかったから、おばさんには今日はうちに泊まるって言っておいたぞ。」
「感想?」
「これだよこれ。」

鏡を手渡されたので覗きこんでみれば、ちょっといつもとは違う僕の姿が映っていた。
……髪を切って貰ったんだっけ。

「上手く切れてるだろ?」
「うん、凄いねグリーン。」

少し跳ね気味だったサイドの髪は綺麗に整っているし、前髪の揃い方も全然不自然じゃない。

「グリーンって、あれみたい……えっと……カリスマ美容師?」
「それはどうも。ジムリーダーだけどな。」

そう言いながらもグリーンは嬉しそうで、ご機嫌な口調のまま言葉を繋げた。

「でもまあ、仕方がないからレッド専用の美容師になってやるよ。だから髪を切る時は俺のところに来いよ?」

何だか嬉しくて頷くと、グリーンは更に嬉しそうに笑った。


これからは、僕の髪はグリーンにしか切らせない。
その代わり、グリーンは他の人の髪を切るのは駄目なんだからね。





Puramu>>

素で甘えるレッドさんと、実はできる子なグリーンさんを目指してみました。
クールなレッドさんも素敵ですが、可愛いレッドさんも大好きです。
フェスで、皆さんの色々な素敵なレッドさんが見られるのが楽しみです。


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