2011/01/22 19:05





姫集うこの舞踏会に参加できた貧しい薄幸少女は、
姫に化けた王子に恋をした。

姫君達は誰しも王子が居ることを知らない。
知っているのは薄幸少女だけだった。


「ねぇ良いでしょ?
キスして気が済んだら、元通りになれるんだよ?」


王子様、王子様。
この願いが届いたら、私は貴方にかけられた魔法を解きます。

「ちょっと待て!
俺はあくまでも話し合いで解決したいんだっ」


お願い。
断らないで。

私に振り掛けられた強い魔法を溶かして。


「無理だよ…話し合いで解決出来るほどわたしは聞き分けのいい子じゃないもん」


震える唇。
喝を入れて動かす。

そう。
私は此処でいつまでも貴方に恋をしている訳にはいかないのです。



「修史にして欲しいの。

キスしてくれたら、全部終わるから。

避けたりしないで、ちゃんと普通にするからっ」


嗚呼私は薄幸少女。
ドレスもティアラも似合わない。
硝子の靴を焼き捨てて、
私は貴方に言い放つ!


「たった一度だけでいいから…
一瞬でもいいからこの恋を実らせて!」



そして、
3、2、1で魔法は解けて、貧しい私はマッチ売りの少女に戻るのよ。






薄幸少女と解ける魔法。






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