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▼ 02 Seven month

妊娠が発覚し7ヶ月が経った。お腹も出始め、着ていた服が苦しくなってきたが、安定期に入っているため、行動は幾分か楽だった。

妊娠が分かり、報告を1番にしたのは、まず彼の両親。それはもう喜ばれ、グリンゴッツ魔法銀行のドラコと私の金庫にはとんでもない額のお金が追加されていた。
屋敷は改造され、エレベーターが付いたし、ベビー用品はエントランスに山積み。どこにでも行けるようにと魔法使いの運転手まで雇う始末だ。(申し訳ないと断った)

次に報告したのはオルガとランドールだった。2人一緒に報告したいと話になり、フクロウで手紙を出して屋敷に遊びに来てもらった…ー


___


「レディー!久しぶりね」

「オルガ!ごめんなさいね中々行けなくて…」

「私こそお店が忙しくなっちゃって」


いいことじゃない。と、レディーがオルガをソファへ促した。ランドールはドラコと再会を喜びあっている。2人が会うのも久しぶりのことだ。


「で、今日はどうしてランドールまで?4人で会うのなんて久しぶりよねー、結婚式以来??」

「1回バーベキューしただろ?」

「そうだったわね。ランドールは最近どう?ジョージ社長は元気?」

「俺のことは後でいいって、それよりドラコ、何かあって呼んだんだろ?」

「あぁ」


ドラコとレディーが顔を合わせ、妊娠したことを告げた。もう4ヶ月になるとも。
その瞬間の2人ときたら、なぜカメラに収めておかなかったのかと、ドラコとレディーは後悔していた。ランドールはソファからひっくり返るし、オルガは手を口に当てたまま停止したからだ。


「2人には早く言っておきたくて、わざわざ呼んだの。ごめんなさいね、こっちから行きたかったんだけど」


レディーが申し訳なさそうに言うと、ランドールはソファの裏から這い上がり、「屋敷から動くな!」と指を指した。次の瞬間オルガは目から溢れんばかりの涙を流し、おめでとうの言葉全てに濁点を付けて大泣きした。


想像以上のリアクションに2人は唖然としたが、あまりにも面白いのでケタケタ笑ってしまった。


「だからレディーそんなダボダボの服を着ているのね」


はー涙出た。とハンカチで拭うオルガは、納得したようにレディーの服を見て頷いた。


「性別は決まっているの?」

「まだなの。あと少しかな」

「ドラコやレディーはどっちがいいとかあるのか?」

「無事に産まれてくれればどっちでもいいんだ」


そうだよなー。そりゃそうだよなー。と、ランドールはまだ産まれてもいない赤ちゃんに夢中だった。オルガもずっと上の空で、いいわねぇと言いっ放しでいる。


「ありがとう。絶対に祝福してくれるって思っていたから嬉しいわ」

___

それが3か月前のこと。今では2人からしょっちゅう手紙がきて、辛くないか、必要なものはないかの言葉に「大丈夫よありがとう」と返事を書いては出している。

ちなみに、お腹の子は男の子らしい。分かった時ドラコも私も大泣きして喜んだし、今では名前を考えるのに頭を悩ませている。


「あなたはどんな魔法使いになるのかしらね」


スリザリンかしら、それとも全く違うグリフィンドールもしれない。頭が賢くレイブンクローかも…優しい生徒が集うハッフルパフでもいい。友達をつくって楽しく生活してくれれば、どんな寮だって構わない。
お腹を撫でてゆっくり育ってと声をかけた。

夕方本を読んでいると、部屋のドアがノックされ、カロンが顔を出した。先日ランペル家の庭を整備してきたらしく、素晴らしいガーデンが出来たと喜んでいたから、早く見に行ってあげたい。


「ドラコ様が帰ってきましたよ」

「ありがとうカロン」


部屋から出てエントランスへ向かうと、ドラコがこちらに向かって歩いてきていた。眉間にシワを寄せ、何だか怒っている。


「レディー!部屋にいろと言ったろう!まだ寒いのに風邪をひいたらどうするんだ」

「こんなに暖かい格好してるじゃない!?」

「早く部屋へ行こう」


レディーの服は十分暖かいのだが(ナルシッサが妊婦用の服を大量買いしてきた)。心配でたまらないのかドラコはレディーの手を取るとさっさと部屋へ向かってしまった。


「だっておかえりくらい言いたいじゃない」

「…」

「ドラコおかえり」

「…ただいま」



可愛いと思う。自分の妻は。学生の頃より自分たちは落ち着いたはずだし、嫉妬をすることも無いから穏やかに生活をしている。
だが時々レディーの一言は破壊力を持つ時があるし、顔をとやかく言うのは良くないだろうが
、歳をとって益々美人になっている。かき乱されている自覚がある。


「キスしないの?」


トドメのこれだ。イギリスの4月は、本格的な冬に比べたら多少は暖かいが、廊下はまだかなり冷え込んでいる。早く暖炉のある部屋に入れてやりたいが、どうにも僕は耐えしょうがないらしい。気づいた時にはもう振り向いてキスを落としていたし、お腹の子を気遣いながらも抱きしめていた。


「なんか今日へーん」

「変じゃない。レディーが悪い」

「えー?それってちょっとおかしいわよ」


くすくす笑うレディーを見て、なんて自分は幸せなんだろうと感じた。また手を結んで暖炉のある部屋まで歩んでいく。
きっと中ではプルートやカロンがお茶を用意していて、2人が部屋へ来ることを待っているだろう。


「…確かに、ちょっと変かもしれないな」

「え、ドラコ熱出すんじゃない?」


僕がふっと笑うと、レディーがお腹に向かって「パパはお熱かもよ」と囁いた。
お熱もいいところだよ。ずっと君が好きなんだから。



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